第6話

儀式が終わり、青年は悪魔と陸路を歩いていた。


学校でいう入学式みたいなもので、別段僕たちには関係がないらしい。

それに、あまり深い意味もないので、形式ばったものだ。事務的に終わった。


真っ暗な雲の下を歩く。

道には何もない。草木も大地も。黒い絨毯の上を歩いているような感覚だ。

かろうじて、上を見上げると、月明かりのようなものがある。

そのおかげで、道を歩いているのはわかるのだが、なにぶん、どこに向かっているかわがわからない。

ふと、疑問がよぎった。純粋な疑問だ。


青年「そういえば、悪魔さんってどうして悪魔さんなんですか?」

悪魔「んん?そうだなぁ、悪いことしたから悪魔になったんだよなぁ。」

青年「悪いこと?」

悪魔「や、酒飲んで、暴れ回ってたくさんの人を傷つけて、誰かに、撃たれて死んだらよ。気がついたら、悪魔になってたんだよなぁ。」

青年「なるほど・・・。それすると悪魔になるんですか。」


悪魔「おうよ。おめえは何したんだよ?随分綺麗な感じだがな。こう、顔とか体とかほっそりしてて。」

青年「僕は病で。」

悪魔「あー、そういうのもあるんだな。まぁこうなっちゃなんつうか。でもやっぱ綺麗だな。なんか。」

青年「そうですね。悪魔さんすげえ醜いっす。」

悪魔「・・・。素直だな。」

青年「あ、でも僕にはツノが生えてないんで。ちょっと羨ましいかも。」

悪魔「お、おう・・・。そうか。あーそういや悔いっていうのか?そういうのないん?」

青年「僕は全く・・・。多分ずっと死ぬ気がしてたんで、やりたいこともなかったんですね。」

悪魔「ほー。たくましいな。俺は悔いばっかりだよ。もっとうまいもん食って酒飲んで女と遊びたかったんになぁ。」

青年「悪魔さん、ツノと尻尾が少し伸びましたよ。」

悪魔「おお?まじか?言われて初めて気がついたわ。ここ、鏡がねえからよ。自分を見れねえんだ。助かるぜ。というか、ええ?!伸びるのこれ!?」

青年「欲望に反応してるんですかね?悪魔さんって僕のこと襲いたいとか思うんですか?」

悪魔「あーんー。まぁそうだな。ちょっといじめたい気もする。なんか同性に見えないからな。」

青年「同性?あれ、言ってませんでしたっけ?僕、女ですよ?」

悪魔「!?えーー!?じゃ、じゃあ。」

青年「嘘です。」




悪魔「てめえ・・・。悪魔を騙すなよ・・・。全くとんでもねえ。魂だ・・・。」

青年「笑。」

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