どうしてもバイトに行きたくないんだが。

馬西ハジメ

第1話 諸事情について


起きたらバイトの時間だった。

厳密には出勤時間の5分前だったのだが、それはどうでもいいことだ。


なぜなら自宅からバイト先まで徒歩→電車→自転車でそれぞれ10分ずつ時間がかかるためである。つまり私は少なくとも後25分前には起きていないとダメだったのである。


まず私はいくつかの判断に迫られている。最もシンプルな選択は概ね「行く」のか「行かないのか」である。


まず「行く」場合。従来の方法でこのまま家を出たとすると、私はおおよそ家の最寄り駅にたどり着く前にタイムアウトとなる。つまり母校の第四中学の校門あたりで私の持ち時間は尽きてしまう。


一方、「行かない」場合。私は今抱いているもふもふの猫ちゃん抱き枕をむぎゅうっとしたまま温かいお布団のなかで生命と時の有限について思考を深めることができる。



うーん。


なんで起きれなかったんだろう。


落ち着け私。

考えろ私。


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