おやすみの日は君と

朝倉二日(アサクラフタヒ)

第1話 おやすみの日は

夏の足音も近づく五月の日曜日、朝は午前八時、けたたましい目覚ましの音が私を起こす。

布団の中から未だまどろむ目を片手でこすりながら目覚ましを止める。布団をめくって上半身を起こし、うーん、と伸びをする。

今日は日曜日、おやすみだ。

布団から抜け出してキッチンへ向かう。おいておいた食パンをトースターに入れてタイマーをセットする。チチチという音がして上の棒が赤く光りだす。

食器棚からお気に入りのマグカップを取り出してお紅茶のティーバッグを入れてポットからお湯を注ぐ。コポコポコポというお湯の注がれる音が心地良い。マグカップに氷を一個入れて、食器棚から少し大きめのお皿とバターナイフを取り出してトースターの近くにいっしょに置いて、冷蔵庫からいちごのジャムを取り出してこれもいっしょに置く。

チン、ときれいな音のベルでトースターが焼き上がりを教えてくれた。蓋を開けてトーストをお皿に移す。熱い。

お皿とジャムを食卓に運び、もう一度戻ってきて湯気のおさまったマグカップからティーバッグを取り出して、その中にお砂糖を少し入れる。そしてその足で食卓へ。

「いただきまーす」

そう言って手をパチンと合わせる。

ジャムをバターナイフで取ってトーストへ塗り拡げる。赤いいちごのジャムがきれいに塗り拡げられていく、見ただけで美味しそうだ。

もう一度、頭の中で「いただきまーす」と言ってからトーストを口へ運ぶ。

いちごの香りと、トーストの香ばしい香りが合わさって口の中から鼻の中へ広がっていく。いちごの甘みと少しの酸味も申し分ない。満足の行く出来栄えだ。

ひとくち食べ終えたら、お紅茶を飲む。ほんのり温かく、少しの渋みがいちごとトーストのクセを取り払って口の中をリフレッシュしてくれるようだ。

この組み合わせが、私の朝の定番メニューだ。


    §


朝ごはんを食べ終えて、食器をさっと洗って食器洗い機に入れる。洗剤をさっと計量して放り込み。スイッチを押す。ピーという音のあと、水音がなりだした。これであとは放っておくだけだ。

私はその足でクローゼットへ向かい、夏に向けて、少し涼しめな色で合わせる。

着替えたら、鞄に必要最低限のものを入れて、靴を履く。部屋の鍵を閉めたら、君の家へ行こう。



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