第27話

「ふぅ~、こんなもんかな」


「キュ・・・」




 繁みと竜のところを何往復しただろうか。もうあたりの薬草はほとんど使ってしまった。竜というモンスターの回復力も大きいのだろうが、傷口からはもう血が止まっていた。まあ、何度も苦い草を食べた竜は、最後の方は悟りを開いたような顔になっていたが、死ぬよりマシだろう。




「これは帰ったら怒られるだろうな・・・」




 時刻は完全にもう夜だ。今頃父上たちはかなり心配している、いや怒っているだろうか。




「キュルルル・・・」


「ああ、君のせいじゃないから大丈夫だよ。元々何も考えないで来た僕が悪いんだから」




 僕がそんなことをつぶやくと、竜が顔を寄せてきた。なんとなく目じりが下がって申し訳なさそうな顔をしている。


 モンスターが寄ってくるかもしれないので、もう魔道具の明かりは消しているが、月明りと目が慣れたのもあって竜の姿や顔ははっきり見えた。今から魔道具を片手に暗い森の中を歩くのはあまりにも危険だと思ったので、竜のそばで一晩過ごすことにしたのだ。苦い薬草を飲むのもあんまり抵抗しなかったし、草を食べる前の何かを達観したような顔を見た僕は、この竜に対して警戒する気持ちをとうに失っていた。代わりに、夜の退屈さもあって、僕はこの竜に気になったことを聞くことにした。




「君はなんでこんなに傷だらけだったの? このあたりにはそこまで強いモンスターはいないはずだったし、人間にやられたの?」


「キュルル」




 竜は「違う」とでも言うように首を横に振った。




「それじゃあ、モンスターにやられたの? そのモンスターは近くにいる?」


「・・・キュルル」




 少し考え込むように下を向いてから、またしても竜は首を横に振った。今まで考えていなかったが、この竜を傷つけた存在のことを失念していた。竜というのは珍しいが、自然界において上位に君臨するモンスターだ。もしもまだ近くにこの竜をここまで痛めつけたモンスターがいたら僕らまとめてあっという間にやられてしまうんじゃないかと思ったが、杞憂だったようだ。




「そっか。 じゃあ、君は傷ついて逃げている内にここの来たの?」


「キュル」




 竜は今度は首を縦に振った。


 なるほど、なんで竜がこんなところにいるのかと思ったが、そういうことか。騎士を目指す者として、モンスターに関する情報を集めるのは習慣になっていたから竜の生態についても知っている。竜は普通は人里から離れたところに暮らしているらしい。しかし、知性の高い竜は好奇心旺盛で人の世界を見に来るものもそれなりにいるそうだ。中には人間と協力関係を築く竜もいるらしい。見たところ、この竜はまだ若い、やっと飛べるようになったばかりの竜だろう。そして、何か強いモンスターと戦った結果、負けてモンスターが比較的少ないこのシークラントまで逃げてきたのだろう。もしかしたら、町にゴブリンが来たり、森でやたらと殺気立っていたのはこの竜を恐れていたのかもしれない。




「キュルルル」


「ん、どうしたの?」




 僕が一人勝手に納得していると、竜は僕の服の袖を咥えて引っ張った。その眼は何かを訴えていた。


 僕の注意を引くと、竜は自分の胸に手を当ててから、口を開けたり閉じたりした。




「もしかして、自己紹介したいの?」


「キュル!」




 竜は我が意を得たりというように鳴いた。そうか、竜はかなり知能が高い生き物だし、名前があるのだろう。




「そうか・・・それじゃあ、悪いけど君の言葉が分からないから、僕から言うね。 僕はデュアルディオ・フォン・シークラント。 みんなからは若とかよばれるけど、デュオでいいよ・・って無理か」


「キュル・・・」




 僕がそういうと、竜は悲しそうに鳴いた。しかし、気を取り直したようにこちらに向き直ると、口を開いた。




「キュララルル」


「・・・・ごめん、何て言ってるのか分からないや」




 多分自分の名前を名乗ったのだろうけど、僕には彼の言葉が分からなかった。




「キュルル・・・」


「ご、ごめんごめん、そんなにしょげないでよ。・・・じゃあ、なんの音から始まるのか教えてよ。もし合ってたらうなずいて?」


「キュル!」


「うん、じゃあ、「ア」から始まるの?」


「キュルル」




 竜は首を振った。・・・・・どうやら時間がかかりそうだが、いい退屈しのぎになりそうだ。










「リーゼロッテ・・・リーゼロッテで合ってる?」


「グォウ!!」




 あれからしばらく、地道に質問を続けた結果、なんとか竜の名前が分かった。しかし、かなりカッコイイ名前だな・・・というか




「君、雌なの? どれどっ!?」


「ガアアアア!?」




僕がそう思って確認しようとすると、竜、いやリーゼロッテが吠えてしっぽをビシビシ当ててきた。




「ごめんごめん!! もうしないって」


「キュルルル・・」




 僕が平謝りすると、怒りを収めてくれたのか、こちらを睨むだけになった。さて、どうやって機嫌をとったものかと思っていると・・・




 ギュルルル・・・・




 すると、そんな大きな音がした。音がしたのは僕のお腹と・・・




「お腹減ってるの?」


「・・・・キュル」




 リーゼロッテはどこか恥ずかしそうに鳴いた。というか、かなり感情豊かだな、この竜。


 どうやら、リーゼロッテも空腹のようだ。まさか、僕を食べたりしないだろうな・・・そんなことを考えて少し距離を取った。




「キュル!? キュルルル!!」


「わわ、そんなに引っ張らないでよ」




 すると、なんだか慌てたように僕の袖を引っ張った。瞳を見ると悲しそうな目をしていた。




「わかったよ、疑って悪かったって」


「キュルルル・・・」




 僕が頭を撫でると、リーゼロッテは気持ちよさそうに目を閉じた。うん、この竜なら大丈夫だろう、多分




「でも、本当にお腹減ったな・・・・リーゼロッテは木の実とか食べられる?・・・・・そんな顔しなくても今度は苦くないのを探してくるよ」


「グル・・・」




 僕が何か食べられるものを探そうとすると、リーゼロッテがまた悟りを開いたような顔になった。心配しなくても木の実とかならそんなに苦いのはないのに・・・




「じゃあ、ちょっとなんか探して・・・」


「キュルルルル!?」




 僕が立ち上がって出かけようとした時だ。リーゼロッテが体を持ち上げて、警戒するように鳴いた。


 続けて、ノシノシと何かが近づいてくる足音が聞こえてきた。




「な、何!?」


「グルルルル・・・」




 リーゼロッテが威嚇するように鳴く中、僕は魔道具で明かりをつけた。光に照らされたのは・・・




「フグォォォォ!!」


「オーク・・・」




 緑色をした豚のような顔を持つ人型のモンスター、オークだった。群れで行動する習性の通り、数は3体いる。どれもリーゼロッテを見て警戒しているようだが、退く気はないようだ。そりゃ、鼻の良いオークでなくとも、これだけ血の臭いがしていれば大けがしてるくらいは分かるか・・・




「リーゼロッテは動かないで。 僕が何とかするよ」


「キュル!?」




 僕は剣を握ってオークに向き直る。ここで、僕だけ逃げようとはなぜか思えなかった。ほんの少しの間とはいえ、情が湧いたからか、はたまたオーク3体くらいなら何とかなりそうと言うだけだからか。


 リーゼロッテは驚いたように体を動かそうとしたが、顔をしかめた。僕がやった治療なんて子供のする本当に簡単な応急処置だ。竜の生命力もあってちょっとは回復したかもしれないが、まだまだ危険な状態であることに変わりない。・・・・もしかしたら、リーゼロッテがここまで傷ついて回復していなかったのは、ここに来てからもずっとこういうモンスターと戦っていたからなのかもしれない。


 本人が動けないのならば、僕がやるしかないだろう。




「行くぞっ!! インパクト!!」


「「「フゴォ!?」」」」




 僕は叫ぶと、魔法を奥の方にいる一体に撃った。魔法が当たったオークは驚いたように顔を手で覆う。それを見た僕は、魔力を巡らせてオークに向かって突っ込んだ。まずはこいつらをリーゼロッテから引き離す。




「グガァ!!」


「フグゥ!!」


「わっ!?」




 剣を持った僕を仲間に近づけさせまいとしたのか、残りの2体が僕に殴り掛かってきた。2体から狙われてはカウンターは難しい。僕は慌てて回避し、オークの側面の方に抜けた。




「グゥゥゥ!」


「!!」




 2体のオークを抜けた僕に、ショックから立ち直ったオークが突っ込んできた。これもなんとか躱したが、見ると、残りのオークも振り向いてこちらに突撃してくる。マズい、3体がバラバラのタイミングで来るのは非常にマズい。




「くゥゥゥ!!」


「「「フゴォォォ!!」」」




 僕はオークに背を向けて全力で逃げる。オークたちはターゲットを僕だけに定めたのか、リーゼロッテの方は見もせずに塊になって追いかけてきた。・・・よし、第一目標達成。




「でも・・・」




 走りながら考える。


 リーゼロッテから引き離せても、このままでは僕も何もできない。さっきのオークを見るに、走りながら魔力を溜めて中級魔法を撃っても3体を一度に行動不能にできるかは自信がない。




「失敗したかも・・」




 そういえば、オークの体は脂肪と筋肉が詰まっており、衝撃には比較的強いのだった。下手に魔法を撃ったところで先頭の1匹が吸収してしまうだろう。1匹だけどうにかできても、残りの2匹は健在だ。3匹すべての体勢を崩し、同時に剣で斬撃を叩きこまなければ、波状攻撃にさらされる。




「・・・・」




 僕はオークの方をちらりと見るが、いつの間にか3体は縦一列になって追いかけていた。ならば・・・




「来い!」


「グガアアアア!!!」




 僕はオークの方に向き直って、片足を引いて盾を構えた。先頭にいる1匹が僕に体当たりをかましてきた。




反甲カウンター!!」


「グオオオオオ!?」


「「グギャ!?」」




 使うのは衝撃を跳ね返す魔技だ。突っ込んできた勢いを強化されて跳ね返されたオークは、ビリヤードの玉のように後ろにいたオークにぶつかった。突然現れた肉の壁にぶつかり、他のオークもドミノ倒しのように動きが止まる。


 魔技を使った後の反動を気合で黙らせ、僕は団子になった3体の側面に回り込みながら、剣を握りしめる。




波斬クライ・エッジ!!」


「「「フガァァ!?」」」




 魔力を漲らせて剣を振るい、3体に同時に斬りつけた。オークから鮮血がほとばしり、辺り一面に血しぶきが舞った。手ごたえありだが・・




「くっ、目が・・・」




 赤い雫は僕の方にも飛んできた。オークの生臭い血しぶきが顔にかかり、思わず手で拭おうとして・・・




「グガアアアアア!!」


「がっ!?」




 視界が塞がった瞬間、すさまじい衝撃が僕を襲い、吹っ飛ばされてゴロゴロと地面を転がった。




「くぅ・・・」




 なんとか衝撃を弱めたが、頭がくらくらする。どこかを切ったのか、ツゥっと頭から血が流れているみたいだ。ちくしょう、3体同時は無理があったか。どうやら傷の浅かったヤツがいたらしい。ドシンという足音が聞こえてくる。




「くそ・・・」


「フググ・・・」




 なんとか起き上がると、僕を見下ろすオークと目が合った。胸のあたりから血を流したオークは獲物をしとめたと確信しているのかニヤリと醜悪な顔をゆがめて笑っていた。




「オオオオオオ!!」


「くっ!」




 オークが叫びながら僕に殴り掛かる。僕はふらつきながら盾を構えようとして・・・




「グルルアアアアア!!」


「!?」


「え?」




 突然、視界がオレンジ色に染まった。見ると、火だるまになったオークが地面を転げまわってなんとか火を消そうとしていた。




「え?」




 何が起きたのか、とあたりを見回すと・・・




「キュルルル・・・クホッ」


「リーゼロッテ・・・」




 リーゼロッテが血を吐きながらも、こちらをまっすぐ見つめていた。さっきの火の玉は彼女の援護射撃か。




「リーゼロッテ・・・ありがとう」


「キュルルル、クハッ」




 「どういたしまして」というように、リーゼロッテは鳴いた。そして、また血を吐いた。ブレスの使用で内臓にまた負担がかかったのだろう。




「なんとかするって言ったんだけどな・・・」




 結局助けられてしまった。だが、おかげで助かった。




「エンチャント」




 僕は剣に魔法をかけてから、転げまわるオークに近づくと、魔法を撃った。




「インパクト!!」


「フグゥ!?」


「せいっ!」




 至近距離で衝撃波をもろに受けて、オークの動きが止まった。そこを逃さず、オークの喉に剣を走らせる。昼間のゴブリンのように、このオークも動かなくなった。




「フゴォ・・・」


「!」




 僕を吹っ飛ばしたオークを倒すと、後ろから声が聞こえた。見ると、腹から大量の血を流したオークの死体をどけて、もう1匹のオークが立ち上がるところだった。立ち上がったオークの腹からもドクドクと血が流れているが、その眼は憎しみの炎を灯しながらこちらを睨んでいた。こちらはまだ戦えるようだ。




「グガアアアア!!」


「サシなら負けないよ!!」




 僕はこちらに突っ込んでくるオークに対抗するように、剣を向けて突っ込んだ。




「オオオオオ!!」


「はあっ!!」




 僕はかがんでオークのパンチを躱すと、オークの拳の風圧を頭に感じながら、カウンターの突きを腹に食らわせ、魔技を放った。




震穿クライ・スラスト!!」


「グホォ!?」




 オークに突っ込んだ剣を一瞬だけ凄まじい強さで震わせると、剣が刺さったあたりの肉がはじけ飛び、オークの体がぐらりと揺れた。




「おっと」




 剣を引き抜いて離れると、オークの体がさっきまで僕がいた場所にドサリと倒れこむところだった。当然、もう絶命している。




「はぁっ、助かった」




 かなり危なかったが、オーク3体との戦闘はなんとか僕の勝利となり、僕は大きく息を吐いた。












 パチパチと火が爆ぜる音、そしてグチャグチャと何かを咀嚼するような音が暗闇の中に響く。




「リーゼロッテ、おいしい?」


「ギュルル」




 リーゼロッテはオークの肉を飲み込みながら返事をした。


 今、僕らがいるのは、あの裂け目の奥にあった洞窟だ。どうやらリーゼロッテはしばらくはここにいたらしい。あの後、いつまでもここにいるのはマズいと考えた僕は移動することにしたのだが、そこで、リーゼロッテがついてこいとでも言うようにこちらを見ながらどこかに歩いて行き、着いたのがここだ。


 幸か不幸か、オークという食料も手に入ったので、リーゼロッテをここに寝かせてから、ソナーを使って周囲を警戒しつつ、オークを倒した場所と洞窟を往復して肉を運ぶと、リーゼロッテはとても嬉しそうに肉をかじり始めた。僕も、持っていた魔導ライターでその辺の枯れ木に火を付けてあぶったオーク肉をかじる。味は悪くないけど、硬い。




「キュルルル・・」


「ん?」




 僕が肉を相手に苦戦していると、リーゼロッテが鳴いた。そちらを見ると、肉を食べ終えたリーゼロッテが自分を指してまた鳴いた。




「キュララ」


「リーゼ? 自分のことをそう呼べって?」


「キュルル」




 リーゼロッテは「然り」というかのように頷いた。ちなみに、名前がすぐ分かったのは名前を当てようとした努力のたまものと才能だ。音を聞き分けるのも、一度聞いた音を覚えるのも、僕の得意分野である。




「分かったよ、えっと、リーゼ」


「キュルルルル!!」




 僕が名前、いや愛称か? を呼ぶと、リーゼロッテは満足したように僕の額に舌を這わせた。ちょうどさっきのオークにやられて怪我をした辺りである。




「うわっ!? あ、ありがとう・・」


「キュルル。キュルルルル!!」


「え? なんだって?」




 僕がお礼を言うと、「どういたしまして」というように鳴いたが、続けて何かを言った。先ほどまでの経験を振り返りながら解釈すると・・・




「何かお話しして欲しいって?」


「キュルル」




 そういえば、竜ってのは好奇心が強い生物だったな・・・よし、ここは一丁面白そうな話の一つでもしてみよう。




「うん、いいよ」


「キュルルルル!!」




 僕が頷くとリーゼロッテはまた嬉しそうに鳴いた。










 それから、僕とリーゼロッテは火を前にしていろんな話をした。僕は硬い肉を食べながら話し、リーゼロッテはオークが詰まった腹を撫でながら、相槌を打った。


 自分が普段どんな暮らしをしてるのか、普段何を食べてるのか、人の世界にはこんな美味しいものがあるとか、そんなあたりだ。食べ物の話ばかりなのはまあ仕方ないだろう。




「え? なんで僕がこんなところにいるかって?」


「キュルル」




 一通り食べ物の話を終えた辺りで、リーゼロッテが首をかしげながら僕を指さして言った。




「うーん、僕はね、ゴブリンを追いかけてきたんだよ。ちょっと前に近くの町がそいつらの群れに襲われてね。 そいつらの残党を倒しに来たんだ」


「キュルル?」


「一人だけでって? そうだね・・・なんだかんだで僕は戦う力に恵まれたから・・・それに、絶対に怒られるし・・・・」


「キュキュルルルルル?」


「どうしてそこまでするのか? そうだねぇ・・・やっぱり周りの人を守りたいからかな。 僕の夢は、強い魔装騎士になって、この土地を守ることなんだ」


「魔装騎士が何かか・・・・よし、いいよ、教えてあげる!!」


「キュルル!!」




 そうして、魔装騎士のことや、僕の夢、どうして魔装騎士になりたいのかについて語った。初対面の人の夢の話なんて面白いのかなとも思ったけど、リーゼロッテの顔はとても真剣だったと思う。


 そして、話せることもなくなってきたあたりだった。僕のソナーで強化された感覚が何かをとらえた。




「リーゼ、何か来る」


「グルルルル・・・」




 僕とリーゼロッテは警戒態勢になった。リーゼロッテは体を起こし、僕も剣を握る。




 カツカツと何かが近づいてくる足音が聞こえる。その足音の主はどうやら僕らの位置が分っているようで、まっすぐにこの裂け目の奥に進んでくる。




「キュル?」


「リーゼ? どうしたの?」




 足音がかなり近づいてきたときだった。なぜかリーゼが鼻を鳴らしながら僕の方を向いて何かを言って、僕と足音の主がいる方を交互に指さした。その時点で、かなり足音が聞こえるようになって僕も気づいた。




「近づいてきてるのって、人間?」


「キュルル?」




 人間と分かって、警戒レベルを若干下げる。シークラントの人間ならまず襲い掛かってくることはないだろうが、こんな奥の方までまっすぐにやってくるのだ、かなりの実力者で間違いないだろう。一応剣は握ったままでいると・・・・




「ああ、坊ちゃん、やっと見つけた・・・・・って、竜!?」


「え!? ジョージさん!?」


「ガルル?」




 現れたのは、我が家、シークラント家の使用人兼家族、ジョージさんであった。




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