Save.1 「君」は道具屋で妖精便について尋ねた。
「妖精便を利用したい?」
海街とも呼ばれるこの街にたどり着いた君は買出しのために宿の近くの道具屋に足を運んでいた。
店主であるシェスカの返答に君は頷いた。
「そうかい。ただここじゃ受付できねぇんだよ。妖精便を使うには『妖精の呼び鈴』で妖精を呼び出さないとなにも始まらないな」
妖精の呼び鈴? 初めて聞いた名前に君はシェスカに尋ねる。
「『妖精の呼び鈴』は文字通り妖精を呼び出すことができる代物だ。妖精便は妖精を呼び出してから自分で交渉して届けてもらうのが基本で、届ける荷物と届け先によって報酬は変わる。報酬は果物とか……お金じゃないことのが多いから注意しろよ?」
その妖精の呼び鈴はこの店には売っていないのか、と君は尋ねる。
「普通の道具屋にはほとんど置いていないな。ギルドで取り扱ってると思うから、一度寄ってみるといい」
ありがとう、と君はシェスカに伝え店から出ようとする。
「あんた、この町は初めてかい?」
君はシェスカの声に足を止めて振り返る。
昨日この町に来たばかりだと伝えた。
「そうか。ギルドの場所はわかるか?」
そういえばわからない。君はシェスカに場所を尋ねることにした。
シェスカは快く頷くと、君に冒険者証を出すように言った。
「この町は広くないが迷路みたいに入り組んでるからな」
シェスカは君の冒険者証に手をかざすとこの町のマップが浮かび上がった。驚いた君を見てシェスカは面白そうに笑う。
「もしかして冒険者になったばっかりか? 冒険者になったときにもらえるこの冒険者証はこうやって魔力に当てると様々な機能が使えるようになってんだ。町中のマップもその機能のひとつだな」
それは知らなかった、と君は答える。
「でも町の外……つまりフィールドでは詳細なマップは見れないから注意しろよ」
わかりました。君はうなずく。
「そうだ、妖精便を使うときはマップを出しながら町の名前を伝えるといい。町がわからない場合はその人の名前と、あればその人の魔力がわかるものがあると丁寧だな」
シェスカは君に笑いかける。初めはそっけない店主だと思っていたが案外気さくで優しい人だった。
「またなんかあったらうちに来なよ。いろいろサービスしてやるからな」
君は重ねてお礼をシェスカに伝えると君は店を後にした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。