パイア=キオン

◇パイア=キオン

(ヴィルジール・木霊・ルシエさん)

 不思議な島に連れてこられた少年がその島の恐ろしい秘密を知り、そのシステムを破壊しようとするお話。

 無国籍で時代を感じさせない普遍的な状況描写が、ディズニーの寓話か、外国の民話のような不思議な雰囲気を醸し出し、死や陰謀を扱ったお話なのに清々しく読むことができました。

 何にでもなれる島→商業悪用の部分でネットワーク社会の風刺かと思いきや、無人島サバイバル編に入り、最後は神話の知恵者の解決編で締まる、というユニークな構造は「おっ」と思わされます。

 個人的には、三層構造のそれぞれのテイストが必ずしも互いに相性がいいとは感じなかったので、選んで二層構造にするか、いっそ一つだけを選んで掘り下げて書くともっとコンパクトに、かつエッジの効いたお話にできるような気もします。

 ピノキオのリブート版といった風味の面白いお話でした。

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