普遍なるもの
行けども行けども続く 木立
緑を増して風に揺れる 木々
見る見るうちに大きくなっていく 森
日本の中の
誰も知らない田舎の中の
誰も知らない山の天辺から
360度 見渡しても
同じ風景が続いているパノラマに居て
誰が 世界の森林破壊をイメージできる?
二酸化炭素の心配ができる?
はるか上空の空気の層を按ずることができる?
そこに居ながらにして
問題の渦中を見出し
普遍なもの以外を信じろ というのは無理な話だ
そして
やむなく 里に下りても
そこで 普遍なもの以外を想像する余力は
ない
普遍なものを見つけ出すことだって 大変なのに
普遍じゃないものを見つけ出して按ずる余裕なんて
俺には ない
錆びた乳母車を汗を拭きながら押して歩く老婆に
重いリヤカーを停めて青い空を見上げる老爺に
虫に刺されていることも知らずに遊ぶ子どもに
暑い中 手を繋ぎあって歩く若い男女に
近所の噂話を眉間に皺を立てながら話す中年の女に
マフラーをいじって爆音を轟かせながら走る高校生に
何を どう 言え
と 言うのだ
そして
吸殻で満杯になった灰皿の処理に悩む
この俺に
何を どう 想え
と 言うのだ
いっそのこと
普遍なんて ないんだ
って 言ってくれ
大きな声で
俺にもわかる言葉で
言ってくれ
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