FUL(L) Course



雲の後ろからの月明かり

グレーのビルの壁を色っぽく照らして

さっき降った粉雪は

とっくにアスファルトを黒く濡らしている

もうわずかになったネオンに照らされたビル風は

何枚も重ねた衣服を貫き

体の一番熱い場所までたどり着こうとしている



久しぶりの再会と

最初のビールから7時間経つけれど

その間に

言葉は語られ

微笑みは交わされ

料理は口に運ばれ

グラスは注がれ

気持ちは応えられた



そして

たわいもないクイズの答えを考えたり

たわいもないクイズのヒントを教えてあげたりしながら


だけど

言いたいことの半分だけをそこに置いたまま

言えないことの全てをそこに置いたまま

向ってくる冷たいビル風をやりすごしながら

歩いた



手を振ってから気がついた


そういえば

デザートを食べていなかった




引き返して

君をいただいてもいいかな?




君といただいてもいいかな?






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