不思議な所業
夜中に目覚めてから1本、
朝、起き掛けにもう1本、ネットで映画を見た
夜中に見た映画は、連続殺人事件の映画で、
犯人の目的は遺産横領だった
ストーリーの中で次々に遺産相続候補者が殺され、
そこには凶器があり、
恨みも持たれないまま殺害されて横たわる死体があり、
なぜか、犯人と主人公との濡れ場があった
犯人は探偵によって特定されたが、
最後に事故で死んでしまった
削ぎ落した紹介をすればこの字数になるが、
映画の時間は2時間半を超えていた
当時、この映画は大ヒットして十何億の興行成績だったはずだ
もう1本は、
バツイチの年上女と、少し年下の男が再婚して、
年下の男が、女房の昔の旦那に嫉妬しながら、
なぜか、自分も別な女と浮気したりして、
でも、年上の女が妊娠したことで気持ちも元さやに戻る
削ぎ落した紹介をすればこの字数になるが、
映画の時間は1時間40分だった
主人公の年上の女の濡れ場では乳房が見えず、
なぜか、浮気相手の女の濡れ場では乳房が見えていた
主人公の女は有名な女優で、
乳房なしの濡れ場を演じさせるだけでも、
当時、監督の功労が認められたのかもしれない
浮気相手の女の登場は、決して、ストーリー的に必要なものではなかったが、
おそらく、乳房なしの濡れ場を見せられた観客のため息を小さくさせるための当て馬だったのではないか、と推測する
しかし、
恨みも持たれていない人々が犯人に次々に殺されるストーリーを、
2時間半以上、僕はなぜ観たのか、
支離滅裂なストーリーかつ、
乳房も見えない不完全な濡れ場交じりの夫婦生活の映画を、
早送りなしに、僕はなぜ最後まで観たのか、
わからない
映画も、テレビドラマも、小説も、そして、詩も、
所詮は、みんな他人事なのに、
いちいち、時間を使って、
もしくは、お金まで払って、
多少つまらなくてもお付き合いしてしまう
もしかして、僕たちは、他人事にとても興味を持つ生き物なのかもしれない
僕たちは、実に不思議な所業をしているんだな、
と、朝っぱらから思った次第です
もっと言うと、
では、なぜ、僕たちは自分事をこんなふうに文章にして世に出すのか、
ということなんですが、
それは、
きっと、自分事なのに、誰かに「うんうん」って頷いてほしいから、
なんじゃないか、って
単純に思っています
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