たとえ夜景の見えるレストランでフォークを握ったとしても



腹が空いて目覚めたあと

ねぎだけ切って入れた味噌汁を沸かし

味付け海苔をおかずに

2合しか炊けない炊飯器のご飯を

あっという間に1合半食べた満足感は

「美味しんぼ」に出てくる

どのメニューよりもおいしかったりする


「腹が減っているときは何を食べてもおいしい」

その言葉が

バブル期の平和な都会の中では

負け惜しみにしか聞こえなかったのに

今は

とっても真に聞こえる

とってもあったかいことばに聞こえる


厳選素材も

化学調味料も

農薬も

有名シェフも

器も

BGMも

輸入も輸出も

関係ない


そこにある一杯のご飯とおかず

あったかい一杯のご飯と味噌汁


そんな存在を

なぜか

苦しいときにしか確かめられない



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