天使なんていやしない



たとえ太陽がいつも通り沈んだとしても

僕は満足できないだろう

それは 君の意思が僕をごまかせないからだ


君の車のドアの閉め方

君の手の置き方

君の振り返り方

君の外を眺める横顔


君の意思の表れひとつひとつが気に掛かる今の僕に

天使なんていやしない



たとえ月がいつも通り昇ったとしても

僕は満足できないだろう

それは 君の意思がぼんやり見え隠れするからだ


君のグラスの持ち方

君のため息のつき方

君の寝返りのうち方

君の舌の動かし方


君の意思を確かめようとする今の僕に

天使なんていやしない



夜が明けていく

君を

そして

僕を確かめるための夜が明けていく

僕が演じるスマートな恋を包み込む夜が明けてく


もう 隠せない

もう 嘘はつけない

もう 黙っていられない

もう・・・



たとえ太陽がいつも通り昇ったとしても

僕は笑っていない

もうとっくに愛想笑いはしていなかったんだ

それを 残念ながら

僕が 一番好きな太陽が証明してしまう






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