日曜日



7時15分。

起床。

でも、今日は、この時間に起きていい。

8時に出掛けても仕事に間に合う。


隣でまだ寝ている君の顔を

見ようとしたら、うつ伏せになっていて見れなかった。

なんと、正座しながらうつ伏せになって眠っている。

こんな器用な寝方がよくできるものだ。

誰に似たんだろう。


そっと、戸を閉めて階段を下りる。

湯気がかろうじて立っているマグカップのコーヒーを飲んで新聞を広げる。

日曜日は、どうでもいい記事のオンパレードだ。

ぺらぺらめくって、あっという間に1面に戻った。

テレビを点けてみたら、

どこかの遠い島の野生の馬の番組だったので

消した。


食パンを半分だけと、

スクランブルエッグを2口、

バナナを半切れほどいただいて朝食は完了。


音がない日曜日の朝の庭は、

休日を感じさせない緊張感がある。

「庭が緊張してどうする?」

と、一応思うけど、思い過ごしかもしれない。


車のエンジンをかけると、いつもと同じ音がする。

左右を確認するも、

道路はひとっこ一人歩いてはいない。

僕の車だけが、道路を走る。

そのうち、また何台かとすれちがい、

何台かが僕の後ろを走るだろう。


ラジオをつけると、

眠たくなる音楽と共に仏の話が始まったので、

消した。


消すと、当たり前だけど、風を切る音だけがした。


それだけで、いい。

そう思えるのは、なぜか、日曜日だけだ。



仕事がはねた午後から何をしよう。

冬服は、去年買ったから今年は我慢だし、

スポーツ番組は、ゴルフしかやっていないし、

旅番組は、絶対に行けそうにない遠い所だし、

スタックした砂浜に再挑戦するには心が追い付いていないし、


そうか、

君か。

君となら話すことが思いつかなくなるくらいにゆっくり時間が過ごせそうだ。

帰りに君の好きなパンを買っていくよ。

予告はしないけど、

ほんの近くまでデートに誘うから、

きっと「うん」と言っておくれよ。




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