全部隣の席の女の子♪

席替えは僕にとって「痛し痒し」のイベントだった

隣の女の子とせっかく仲良くなったというのに もうお別れで

だけど 新しい出会いにときめいていたりするからだ


運命のくじで

お目当ての女の子が遠くの席になったことに落胆していることを表情には出さずに

ガーガー音をさせて机を移動させて

遠慮気味に机をそっとくっつけて座って

なんとなく黒板の方を見ながらも

横に座っているお目当てではない女の子の

だけど 僕を受け入れてくれてそうな気配を感じ

女の子の表情を想像しているときにはもう

これからの数週間がバラ色に思える予感を感じている


最初は

おそらく班長さんかなんかを決めるときに

顔をちらちら見ながら ちょっとした会話を

それからあとは

忘れてないのに コンパスなんかを貸してもらって怒られたり

消しゴムの粕をわざと手で追いやって

「やめてよ」の声を待ったり

先生の話を聞いている振りして

笑わせるネタを考えてはすぐに披露して

「授業中でしょ」と笑いながらいさめてくれるのを待ったり


不思議と

どんなに仲が悪かった女の子でも

隣の席になると

授業中に二人で正座を命ぜられるほど

誰よりも仲良くなってしまった

なんでだろう


ちょっと数えてみようか

うんうん・・・


ありゃりゃ

今でも 好きになった女の子の名前を全部覚えてる

しかも 全部隣の席だった子だ♪



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