13 あの頃…

 私の幼い頃は、朝はお豆腐屋さんや、納豆屋さんがリヤカーや自転車に乗せて売りに来た。

 納豆屋さんはネギや鰹節、辛子など薬味をいっぱい持っていて納豆の上にたくさん乗せてくれた。

 一番早かったのはアサリ屋さんで朝漁りの新鮮なアサリやシジミをお味噌汁の実に売りに来ていた。

「あっさり~しっじみ~・・・」と籠ったおじさんの声が聞こえてくると

遠くからそのイントネーションで「あっ! あさり屋さんだ」とすぐ分かった。

 近所のそれぞれの家から器を持って人が出てきて、アサリ屋さんがやって来るのを待った。

 今はプライバシーの侵害だと個人情報保護法ができて、隣の人の職業も聞いちゃいけないらしいけど…あの頃は…

今日はあそこのうちのお味噌汁の実はあさりだとか、お豆腐だとか味噌汁の実まで分かったもんだった。

 夕方、お豆腐屋さんのラッパの音が聞こえてくる頃は、真っ赤な夕日が空を染め、家に帰らなくてはいけない時間だった。

 皆が貧しい時代だったけど平和だったなぁ~あの頃…。


 それからは大型スーパーなど出来て、お豆腐屋さん等専門店はどんどん廃れて行った。

 人工知能も凄い進歩だし…“アレクサ”の…「灯りを消して…ハッピーバースディー歌って~♬」あのコマーシャル衝撃的!

凄いヒット商品らしい…!

でも、最近は又、お豆腐専門店はブームで、お得意さんを増やしているらしい。

 銭湯の賑わいなんかを見ると人の価値観が又変わってきているのかも知れないと、思ったりする。

デジタルとアナログ…さあ、どっち?…便利な方がお好き?


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