属性は何を選択すればお嫁さんにしてくれますか?

青姫そよか

第1話 それは私ではありません!!

 テレビを見ていると僕が追っかけているアイドルの雪子が政府広報に出ていた。


「みんな?日本は好き?雪子は大好きだよ。でもね。このままだと日本の人口はあっという間に半分以下になっちゃうの。」

そして音楽に合わせて彼女はリズミカルに踊り歌う。

「日本好きななら成人したらすぐ結婚だよっ。ね♪雪子も結婚するよ!」

「異論は認めないんだから!!!」

とビシッと指差しポーズ。

ナレータが入る。

「日本では18歳のうちに婚約届けを提出することを義務付けられています。違反者には100万円以下の罰金及び政府が指定した者との結婚交際を強制執行されます。」

雪子がまた喋る。

「一日総理大臣の雪子との約束。みんな守ってね。政府広報でした。」


 僕の名前は悠太。少子化が進んだ日本では18歳になったらその一年で結婚相手を決める必要がある。法律を破ったら最後、無理やり国が決めた相手と結婚することになる。

と僕はそのアイドルの雪子と実は恋愛関係にあるんだ。どうやってアイドルと恋愛関係になったかって?実は彼女19歳なんだ。つまり法律を破ってしまい、僕とマッチングされることになったわけ。僕は断ることもできたんだけど、もちろん可愛いあの子をものにできるとあっては、異論はない。本人曰くアイドル活動に忙しくてそれどころではなかったと。それにしても皮肉な話だ。自分で出た政府広報の「異論は認めないんだから!」と言う名台詞が彼女自身に適用されてしまったのだから。


今日は2回目のデート


1回目のデートは彼女は相手が僕であることが不服であったらしく、常にそっけなかった。はっきり言って、全然楽しくないデートだったわけだが、デートの日は容赦無くセッティングされる。毎週日曜日は具体的には会わないといけない。と言うのが決まりである。もし破ったらどうなるかって、そりゃ刑務所行きに決まっている。

なんて世知辛い、いやありがたい世の中だ。


ドキドキしながら彼女を待つ、どうせ遅刻だろうか。1回目の時のように。そう思いながら、僕は1時間も前に待ち合わせ場所でドギマギしながら待っている。


するとあろうことか5分も経たないうちに、彼女がやってくるではないか!


「ユウタくん、待った?ユキコは思い直したの。ユウタ君みたいな素敵なダーリンで良かったって。ね、もうすっ飛ばしてラブホいこ?ね、ね。」

「ちょっと、ユキコそれは恥ずかしいよ、まだ2回目のデートなのにホテルは!」

「そんな、どうせ1年以内に初夜なんだし、楽しもうよー。ねー。ユキコのファンだったんでしょ?ずっと。嬉しいな。」

嘘だろ、あんなにつっけどんで、針のむしろと言ってもいいようなデートが、2回目にしてこんなに変わっていいものか?


「ね?ユータくん?行こ?ホテルにレッツゴー、イェイ!」

「うん、そこまで言うなら」

ここはビシッと決めるぞ。とその時。


「ちょっと待った!ユータ!その娘とホテル行ったら最後、刑務所と罰金刑が待っているわよ?それでもあなたはホテルを選びますか?そうですか……。」

ともう一人のユキコが肩を怒らして、立ちふさがった。

顔を真っ赤にして怒っている。必死に言葉を続ける。


「えぇ」

「ねぇユータ、私のファンだったんでしょ?本人と双子の妹の区別もつかないのかしら?」

「ええええええ」

「もちろん、悠太くんは私と結婚してくれる、よね?異論は許さないんだから!!!」


こうして僕を巡る双子の姉妹のガチファイトは始まったのであった。




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