HEART BEAT NIGHT/ガンナーズ

日竜生千

第1

「ローラ」


「はい」


「ローラ」


「はい、先生」


「この腐れバンシー」


「はい…、先生」


「今回もまた赤点だよ」


「はい…」


「赤点の、赤点の、赤点の赤点の赤点の、赤点だよ」


「知ってます」


「何回赤点取れば気が済むんだい」


「永遠に」


「面白い回答で誤魔化そうとしてもダメです」


「面白いですか」


「むしろ憂鬱だよ、付き合うこっちの身にもなりたまえ」


「私はクビですか」


「落第つづきだから、このままじゃ退学だね。クビが繋がってるのが不思議なくらいだもの」


「それは、」


「そうだよ、僕の差し金だよ。僕が、この僕が教える生徒の中に落伍者がいてたまるか」


「できる気がしません」


「ローラ、この万年赤点の永久欠番」


「そこまで言わなくても」


「何事につけても君はやる気がなさ過ぎる、それは諸悪の根源だ」


「……ダメ……なら、ダメと……ひと言で済むのに……そこまで、どうして、私は私はっどうせダメな子ぉおおオオオオオうぶっ!?」


「黙れバンシー……そのチンケな感応汚染が通じるわけないだろう。いいかい、常に僕が上だ、だからいちいち嘆く必要はない」


「?……」


「口を塞いで悪かったが、落第決定ついでに君には養成課程をやめてもらう」


「……お世話になりました」


「で、


「……は?」


「学籍は残した。でも君には専用のカリキュラムが必要だ、だから、ローラ・ケンハート、君は


「そん……」


「今夜中に逃げてもいいがね、僕としてもこれが君に教える最後の機会になるだろうね」


「む……む……むッッ……」


「だから、逃げてもいいって言ってるでしょ。ただし、見捨てるつもりはないよ」


「むむむむむりですっ、いくら先生でも、私の不器用さは無理です、どうにも、どうにもならないのに、そんな、弟子とかそんな、もったいな、もった……」


「居残ってぶつぶつ陰気になっててもいーけど、明日の朝までそこにいたら、弟子にするから」


「ぁぁああああせ、せんせぇ、」


ズバンッッ!!

教室のドアは盛大に閉められた。

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