第14話 水の潤い

 「久しぶりに海にも目をむけてみよう!」


 『海では巨大生物が多く誕生しているため、縄張り争いが厳しく、生存競争で知的生物は伸び悩んでいます。』


 「そうなんだー。ん?このマーメイドたちは何やっているの?」


 干潟に大量に集まったマーメイドたちが、泥をぶつけ合っては下半身のヒレで飛び跳ね周り歌っている。


 『ジャイアントテールザウルスの亜種である。ジャイアントミニテールザウルスがマーメイドたちの国を襲っていますので助けを求めて祈っています。』


 ジャイアントなのにミニって何?…あー。長かったしっぽが海に進出したことによって短くなって、後ろ足がヒレになったのかー。

 「そいじゃ。助けますか。アレいきますかー。」


 『それはよした方がいいです。』


 「なぜに?なぜなぜ?」


 『運命様に祈った訳じゃありません。』


 「へ?」


 『マーメイドたちが祈っているのは、水の精霊です。』


 「ほへ?」


 『マーメイドたちの生活は常に水との隣りあわせです。ですから、水に生活の潤いを求めて祈るのです。』


 「そんなことして意味あるの?」


 『ない。と言いたいところですが、この星には魔力が満ちています。これだけ多くの知的生物がめれば創造されます。』


 マーメイドたちの周りに水色の輝く玉がぽつりぽつりと現れだし、数時間後に辺り一面いっぱいに玉が現れる。マーメイドたちがくたくたになったころ、祭事を取り仕切っていたマーメイドが玉の大群を引き連れてジャイアントミニテールザウルスへ向かっていく。玉の大群は暴れるジャイアントミニテールザウルスにまとわりつき、ジャイアントミニテールザウルスを海の底へ底へと引きずり込んでいく。


 「水圧ってすごいね。」


 『はい。』


 あれ?なんか、むしょうに角煮を食べたくなってきた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る