23:59
にんぎょひめは、王子さまとむすばれてはいなかった
遊園地のうさぎの中には、知らないおとこのひとが入っていた
道徳の教科書は、カラフルなもえるごみでしかなかった
世界はあんがい嘘つきで、そのくせ嘘をつきつづけてはくれなくて、信じていたものが、じつはどこにもなかったのだということを知るたびに、ぼくは、ぼくのこころのどこかが、すこしずつ壊れていったのを知っていた。ぼくは世界の嘘に気づくたびに、すこしずつ、たいせつな宝箱のなかみをうしなっていったのだ。
それなのにぼくはいま、きみのこころを守ると言いわけをしながら、きみに嘘をつこうとしている。
これからきみをひとりぽっちにしてしまうこと、でもこころまでひとりぽっちにはさせたくないこと、未来のきみをきずつけることと引きかえにしてでも、いまのきみを守りたいこと、ぜんぶ、ぼくのわがままな自己満足だ。
世界も、ほんとうはあのときのぼくを、守ってくれていただけだったのだろうか。
「ひとは、しんだらおほしさまになるんだよ。きみがわらっていられるように、おそらのうえから、いつもみまもっているから。だいじょうぶだよ。だからどうか、なかないで。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます