天涯記

浅黄 東子

第1話プロローグ

 やたらと鼻につく鉄と重火器の臭いに鼻筋に皺を寄せる、あちこちから聞こえる爆音を聞きながら騎兵銃型の歩兵銃を持ち安定して長時間飛べるように備えられている補助具に視線を移す、がたがきているのか魔力の吸われようが半端なくなってきた事に一つ舌打ちを落とした。




 目の前を飛ぶ部隊長を見る、隣で同じように飛ぶ同期を横目に9人居た部隊が自身を含め三人しか居ないことにこの最前線がどれだけ過酷かを示している。


 元々この地区を担当していた科学的魔法部隊がバルカル国の科学的魔法部隊に応戦してるのを見て援軍は要らないと判断する。


 もう一度視線を戻すと目的だった戦車の群れと歩兵達が見えた、部隊長が合図をした瞬間に上昇する戦車の射程距離から離れ上空から打つ手段だ。




「科学的魔法第三部〈爆発〉射撃準備」




 無線機から部隊長の声が響き射撃準備のために構える、引き金に指をかけ狙いを定める科学的魔法〈爆発〉の準備を始める。


 少し高度が高いが問題は無い。




「撃て!!」




 それと同時に発砲。渇いた音を鳴らした後科学的魔法のおかげで銃弾の周りを密閉空間にし高圧をかける戦車に打ち込まれた瞬間衝撃で爆発それを何度も繰り返す。




 断末魔、爆音、銃声。




「こちらタイフェ00、科学的魔法者第三部隊、殲滅完了」


『タイフェ00了解した。所定の任務を遂行せよ』


「了解。任務を遂行する」




 本部への無線機を切り部隊長は部隊無線に切り替える、背負っている重い補助具と無線機の本体を背負い直し集中する。




「直ちに所定任務に切り替える、繰り返す直ちに所定任務に切り替える」




 鶴翼の陣を作り火力を抑えながら飛ぶ、少しずつ限界高度を下げていき空を翔る、敵国側の科学的魔法最大部隊と真っ正面からぶつかるように銃を撃ちながら突っ込む。


 相手に撃たれないように不規則な動きをとり銃弾を避けていく、相手との距離が50mくらいになった瞬間に上昇。小部隊を相手にしていた他科学的魔法部隊が科学的魔法最大部隊を包囲、瞬間、発砲。




 大きな爆発を起こし煙が立ち上る、所定任務の科学的魔法最大部隊の殲滅完了に肩の力がいくらか抜けた。








 戦歴1902年4月バルカル国ルチン地区にてヴァルレオーネ帝国元軍人が社会主義の思想を持った市長を射殺した。これによりバルカル国は元軍人コンラート・ベットリヒを捕まえようとしたがヴァルレオーネ帝国の観光客がコンラート・ベットリヒを射殺した。




 その事により戦歴1910年6月バルカル国は駆逐艦などを連れヴァルレオーネ帝国付近を泳ぎ、ヴァルレオーネ帝国はそれに対して南西方面へ攻撃開始。



 しかしバルカル国が南西ルアノ地区まで追い返しヴァルレオーネ帝国本部はバルカル国を追い返すために総員投入した。



 しかし、バルカル国の科学的魔法動員部隊に苦戦したヴァルレオーネ帝国は戦歴1916年1月バルカル国に武器や食料を支援しているアクアヴァルナ共和国に奇襲攻撃開始。


 科学的魔法小隊を構成し見事併合したが空軍部隊隊長が独断で隣国の唐頂国に敵地偵察航空機で自爆特攻。



 その際唐頂国にアクアヴァルナ共和国の最南端まで押し返されヴァルレオーネ帝国上層部は直ちにアクアヴァルナ共和国の開放と引き換えに連唐累不可侵条約を結んだ。




 そして戦歴1916年8月南西ルアノ地区奪還のため科学的魔法部隊を総員導入し見事成功。同盟関係にある葉書の援軍により何とか追い返す。



 これが約4年前の話しである。






 そして今、戦歴1920年5月連把戦争休戦し開戦に向けお互いにらみ合っている。

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