達川欽の宇宙旅行

@take8142

第1話 パウリーオン星①

星の名前:パウリーオン


星の色:ピンク


星の文化:桃色の円盤磨き





達川欽はパウリーロン星に降り立った。





木々も地面も建物も…全てが桃色で目が痛くなるようだ。





住民は「パオ」と挨拶してくると、脇目も振らずに必死で桃色の円盤を手で擦っている。





手に全神経を集中し、目を血走らせながら作業しているのだ。





達川欽:何をしているのだ?





住人:円盤を輝かせているのです。





達川欽:それは何の行動なのだ?





住人:この星では赤岩を円盤型にして、桃色に輝かせたものが高い地位を得られるのです。





どうやら元々は、地下から赤くてゴツゴツした岩が発掘されているようだ。





それを住民達は磨くことで桃色にし、ツヤツヤに輝かせる。





それを家の屋根の所に引っ掛けるのだ。





より大きく美しい円盤を飾っている家ほど裕福な家庭になっている。





この桃色の円盤こそがこの星でのステータスなのだ。





達川欽:私も磨いてもいいか?





住人:本来学校に7年間通ってから、予備塾で2年の実習が必要だが、特別にやらせてあげよう。





円盤は磨き出すと不思議な柔らかさがあった。





素手で擦るのがルールで、布などを使ってはいけないのだ。





布などを使うと絶対綺麗な楕円形にならない。





それくらい繊細な職人芸なのだ。





しかも擦りすぎるとすぐ傷がついてしまうので、触れるか触れないかの瀬戸際で柔らかく磨くのだ。





まるで豆腐職人のようだと思った。





達川欽:あっ、また力を入れすぎてしまった、傷がついてしまったぞ。





住人:まだまだ力加減が分かってないね。ほら傷ついた所が青黒くなっているだろう?





達川欽:うむ、なんとも惨めな色だな。





住人:石を喜ばせないと形も色もいい感じにならない。


ちなみに10回青円板を作った場合は地下に幽閉されるから注意だよ。





達川欽は何故か母親から引き剥がされるような悲しみを覚えた。





何とかしなければならない。

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