遊部
でびる
第1話〜絶える望みと始まりの世界
ここに9人の若者の物語を綴りましょう。
彼らは「遊部」。
本来なら⦅あそびべ⦆と読むこれを、彼らは⦅あそぶ⦆とし、日々遊び楽しく暮らしていました。各々が持つそれぞれの能力と共に。
キャラ紹介
矢坂 仁(ヤサカ ジン)
遊部所属。銀髪の少年。中性的で女っぽい。
常に冷静だが、キレると止まらない。
自分は俺。相手はお前。
能力は刀を召喚し、操る能力。
眼帯をしている。
成長期に移る前に能力者になったので、身長は低め。
身長が周りより低いことを気にしていて、身長や体の細さからよく女の子と間違われる。例、ナンパ男や服屋の店員さん。
矢坂 結衣(ヤサカ ユイ)
仁の妹。血の繋がりはない。(仁の奥さんになる)
冷静な仁とは対称的に、非常に明るい優しい子。
能力は冷気を操り、全てを凍らせる能力。
先生になるのが夢で、仁と離れて学校に通っている。
髪の色は黒。
身長は仁と同じくらい。
骨本 六花(コツモト ロッカ)
遊部所属。銃器製造会社の息子で、十三代目会長(の予定)。
銃の扱いに長け、一時は傭兵として海外に行っていた。
ナイフは、あまり得意ではないらしい。
近接戦闘も、銃がないとキツい。
能力は、狙った場所に確実に当てる能力。
髪は黒茶。味噌汁が好き。
身長は高め。
北村 秋夜(キタムラ シュウヤ)
遊部所属。ひ弱な少年。
恥ずかしがりやな為、あまり他者とは関わらないが、仲間とは楽しそうに交流している。
普通の常識人。
能力は、触れた相手の考えていることがわかる能力。今は全身サイボーグとなり、能力は使えない。
身長は仁と同じくらい。
他の女子より女子らしいので、性別を間違えて産まれたとよく言われる。
金堂 華乃(コンドウ カノ)
遊部所属。眼鏡をかけた、研究大好き少女。(実は男である。実験で元に戻れなくなった)
よくわからないものを作る発明家だが、実用的な物も作るから凄い。
能力は、傷や怪我を自分に移す能力。
髪は長め。たまにハサミで切るが、すぐ元に戻る。
身長は、少し低め。
佐々倉 緋音(ササクラ アカネ)
遊部所属。普段は普通の少女だが、狂気の心を併せ持つ殺戮者。
生き血を吸ったり、血肉を食ったり、拷問したりと、相手に苦しみを与えることが趣味。
動物は、人間と違って可愛いので殺せない。
能力は肉体を変化させる、戦闘に特化した能力。
髪の色は白髪を無理やり青く染めたため銀髪味がかった水色。瞳は赤。
身長の低さがコンプレックス。
佐々倉 涙音(ササクラ ルイ)
遊部所属。緋音の妹だが、血は繋がっていない。
名前も出会った時に緋音からつけてもらった名前である。
姉と違い、血が苦手。
血は、見るのも触るのも、臭いも駄目。
絵を書くのが好きで、休みの日はスケッチをしに行く。
能力は、書いた絵を引っ張りだして、現実に持ってくる能力。一度に持ってこれるのは一つまで。
髪は紫。瞳は金色。
身長は姉である緋音を少し越えるくらい。
湯川 黒成(ユガワ クロナリ)
遊部所属。モデルのように身長が高く、料理好きな少年。
髪を金色に染めていて、赤いバンダナを巻いている。
買い食いが好きで、常に何かを食べたくなる。
能力は、以前までは静電気ほどのエネルギーを操る能力を持っていたが、今は膨大なエネルギーを量産し扱う能力になっている。
金髪、身長はかなり高い。
広瀬 鷹(ヒロセ タカ)
遊部所属。物静かな少年。あまり喋らず、行動で示すタイプ。常にフードを被っていて表情はよく見えない。
能力は自身の存在を、認識させない能力。能力使用中は呼吸を止める必要がある。
簡単に言うと、最強の透明人間。赤外線センサーさえも欺く。
髪は黒。身長は高め。
悠己 火呂(ユウキ ヒロ)
遊部所属(幽霊部員)。サングラスをかけた少年。
人助けが趣味で、相棒である鷹を連れ全国各地を駆け回り、お土産を持って帰ってくる。
能力は、人間の限界を越える能力。
人助けにしか能力を使わないようにしているので、戦闘はあまりしないようにしている。
身長は、鷹と同じくらい。
-----絶える望みと始まりの世界-----
ある日のことだ。
いつも通りの時間に目覚め、ニュースを見ながらパンと味噌汁のハーモニーを楽しんでいたら、電話が鳴った。
まぁ朝飯食ってるし、後でかけなおすか。
と思っていたのだが、何秒待っても何秒待っても電子音が仕事をやめず、ついに箸を置いて電話を手にし、通話ボタンを押して耳元に近付けた。
もしもしと言う間もなく、スピーカーから大音量が耳へ来訪した。
受話器を持つ手が、一瞬で離れた。
『もしもし六花!お前どこいんづやこらぁ!』
通話相手の暴言に耳を傾けながら、俺は大事なことを思い出していた。
『今日結婚式だべよ!早く式場こい!』
結婚式と言うより、結婚祝いのパーティーと言ったほうが正しいのだろう。
新郎と新婦の元に集まったのは、かつて遊部の鬼神と呼ばれ日本中に恐れられた心の友と、核家族が一週間は食っていけそうな料理の数々だ。
六花は思った。とてもいい結婚式だ。
「六花久し振りだZEェェット!」
緋音が、シャンパン(瓶)を投げてくるまでは。
「ブッフォ!?」
完璧に油断していたので避けきれず、顔に当たって鼻血が吹き出た。
「ナイスリアクション!流石六花だZE!」
「隙アリアリィッ!」
他の奴等に瓶で二、三回頭を殴られて、緋音は動かなくなった。初めの一撃が見えなかったところを見ると多分、(酔っ払った)透明化している鷹だろう。
「緋音ぇぇぇ!?」
六花の声は、緋音に届いただろうか。
「多分聞こえてないと思うんで、火葬しますわー」
そう言って涙音は、緋音にシャンパンをバシャバシャとふりかけている。が、緋音の身体が突然の自然発火…いや、自然発火じゃないね、透明で見えないけど鷹だねアレ。見えない確信犯だわ。
「ギャアアアアア燃エルゥゥゥゥゥ!」
「なんだ、生きてたのか」
六花はホッと肩を撫で下ろした。
「そろそろ人として死にそうだから、そっとしておこうぜ」
ぼおぼおと燃え盛る緋音に、油をたらしながら華乃は笑う。
「バカヤロお前ら!火事になったら、どうするつもりだ!」
流石に家主である仁の、大黒柱ストップがかかった。
「焼くなら暖炉で焼け。わかったな!」
「やっぱ外道だわコイツ!」
お前が言うなよ、と六花を見ながらみんなが言った。
ギャーギャーと騒ぐなか、一部始終をみていた花嫁は、静かに笑っていた。
能力者が集められた如月学園卒業後、暇をもてあました遊部のメンバーは、とりあえず職につくことになった。
真っ先に職を得たのは黒成で、飲食店のバイトから正社員になり、今も働いている。
そして緋音は、能力に関する実験を行う研究所へ。能力の強化を図る薬を作る研究らしい。妹である涙音はイラストレーターを目指すために、能力者とは関係のない普通の専門学校に通っている。
その他は、まぁ就職したりしなかったり。
華乃は今までのように部屋にこもって日々研究開発。お手伝いメイドを作りたいと喚き、色々な妄想でハァハァしていた。何をお手伝いさせる気なのか。
秋夜は、菅野の手伝いをしながら人工筋肉の開発に勤しんでいる。
なんつーか、社会に失業者が溢れるなか言うのもなんだが、仁や六花は何一つ苦労することなく、家の会社のトップになりました(笑)。
そして新婚な仁の妻、結衣は教師になるために、今も勉強に励んでいるのだった。結婚しても二人はまだ別居生活であるが、結衣のお腹の中には仁との間にできた小さな命が宿っていた。
まぁ、就職せずに旅行を楽しんでいる馬鹿もいるが、多くは語るまい。
明るく楽しい現在。未来は、更に明るくどこまでも輝き続いていく。誰もがそんな気がしていたし、そう、思っていた。
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