(受付済)ヴィラン:『千変万化の貴婦人』シエラザード

「嘘よお馬鹿さん 嘘よお馬鹿さん 全ては幻 全ては幻 世界は全部幻なの」


 シエラザードは、当代最高の幻術使いである。

 カンパニー情報局の重鎮と言われるが、本当のところはトップ以外の社員はよくわかっていない。なにしろ、情報局だけでなく、各地の支社に同じ名前の社員が全部で5人いて、どれが本物なのかわからない。そして給料もちゃっかり5人分もらっている。

 普段は表に出ない人物だけあって、彼女自身も戦争には乗り気ではないが、

ビンイン・ジ・エンペラーに「秘密をばらす」と脅されて、仕方なく参戦している。

 ただしその実力はやはり本物で、何も知らない他陣営の代理を自らの陣地に誘い込み、精神破壊の末に自殺させているほか、分身を操って各陣営のスパイ活動に励んでいる。




【キャラクター名】シエラザード 通称『千変万化の貴婦人』

【性別】女性

【所属陣営】❤

【性格】最悪である。

 精神攻撃を好み、絶対安全なことをいいことに、上品に罵ってくる。

 目立つことはせずに、あくまで裏方に徹し、自分の意のままに支配する、典型的な黒幕体質。特に女性相手には非常に辛らつに接する。


【武器】

部屋:

 彼女は、中央王城の地下の一室を丸ごと異空間化している。彼女から部屋を出ていくことは一切せず、彼女の分身を作り出して、対戦相手を部屋へ誘引する。この部屋に誘引された時点で、すべては彼女の意のままとなる。詳細は後程記述。


アバター:

 シエラザードの分身体。最大10体を同時に操り、やられても本人には全く影響しない。

 見た目は若い貴族の女性だったり、芋っぽい小娘だったり、役割に応じて変わる。そのうちの一体は、J陣営代表のフーダニットの傍に控える側近に擬態しており、この分体からJ陣営の情報が❤陣営に筒抜けになっている。

 もっとも、本体は気まぐれで情報を握りつぶすので、同陣営でもあまり信頼されていない。

 なお、アバター自体は攻撃力こそ皆無だが、実態がないので物理攻撃は全てすり抜ける。


【容姿】

 異質な容姿のダークエルフの貴婦人。顔はかなりの美人だが、肌は青白く、髪は長い水色、黒一色の目に金色の瞳が怪しく光る。

 上半身は、黒を基調とした美しいパーティードレスだが、下半身はまるで籠のようになっており、金属の加護の中には青い炎が燃え盛っている。その炎の中心には、これみがよしにベルが浮いている。ただしこのベルはダミー。

 空中に浮き、常に不敵に笑っており、あらゆる存在を見下す。ただし、彼女の手品の種を知っている、ビンイン・ジ・エンペラーや姫木眞白は大の苦手。


・特殊戦闘:

 シエラザードとの戦闘は、特殊な条件下での戦いになる。

 彼女が待つ部屋は、青白い光に照らされた図書館のような場所。5メートル以上の高さを持つ天井までそそり立つ、本がぎっしり詰まった無数の本棚や、青白い炎が照らすシャンデリア、そして壁の燭台もすべて青白い炎が燃える。ただ、中には黒い色の炎が燃える燭台もある。

 まず前提条件として、この空間内にいる間は、シエラザード本体は、冗談抜きでありとあらゆる攻撃を受けても即座に、無限に再生し続ける。

 というよりも、本来は攻撃が届いていないのだが、あえてダメージを喰らったふりをしている。この時点でいくら攻撃しても無駄なので、だまされないように。


・本体の攻撃:

 その攻撃は「苛烈」の一言。

『ネクロフレイム』:床を広範囲に焼き尽くす青白い業火。焼かれた部分はしばらく想像を絶する痛みが襲う。

『カルマブレイク』:真っ黒な落雷が連続で降り注ぎ、当たった部分は石化する。

『タイダルアシッド』:血のような赤色の津波。特に金属はあっという間に溶ける。

『無間地獄』:突如として床が消え、フロア3階分の高さを落下することになる。


 ところで、これらの攻撃が本棚や壁にあたっても、それらの箇所は傷一つつかない。無間地獄でフロアを落とされても、いつの間にか天井は元の高さになっている。この現象を解析できれば、攻略の糸口がつかめるかもしれない。



・隷属の幻

 室内には常にうすい靄が立ち込めており、時々その靄の向こうから人間が現れる。

 彼らは見た目一般人だったり、どこかの陣営の代理だったりするが、その表情には生気がなく、ひたすら敵対者を攻撃するために向かってくる。

 シエラザード曰く「敗北者のなれの果て」で、たとえ倒しても、恨みがましい台詞を残して消えていく。こうなると、心が強くない対戦相手は精神に異常をきたし、狂うことになる。

 これでもまだ屈しないと、今度は対戦相手の親しい人物や、昔懐かしい人物を出現させる。

 彼らは甘い言葉で対戦相手に近づき、心臓に手を伸ばしてくる。この実態が体内に手を伸ばして心臓を握りつぶすと即死なので、絶対に近づいてはいけない。

 それでもなお対戦相手が抵抗すると、その親しい人物の幻影を自爆させてくる。


 こうして、心を壊された者は、シエラザードに心を操られ、ベルを自主的に捨てさせられる。

 実態以上に苛烈な精神攻撃を乗り切るには、オペレーターの激励が不可欠であり、彼女との戦いはいろいろな面で、オペレーターとの絆が試されることになる。



・全ては幻……

 実は、これらの現象はすべて幻術。目の前に浮かぶシエラザード本体と思わしき人物も幻なので、どんな攻撃も無意味。

 逆に、実際の体はいくら攻撃を受けても傷一つついていない。しかしながら、脳は着実にダメージを受けたと思い込むようになるため、仕組みが分かっていないとどうあがいても勝ち目はない。

 それに加えて、空間自体がすべて幻術化しているため、解除手順を踏まない限り脱出できない。一応、自力で異世界移動できる実力があれば、無理やり脱出することも不可能ではないが……


 ただし、思い込みが現実化する空間なので「自分は無敵だ」とか「自分は攻撃を受けても再生する」と、心の底から思い込めば、まったくダメージを受けないことも可能だし、「空を自由に飛べる」と思えば本当に飛べるようになる。


 社長戦争時の時点で、いくつか彼女の攻略方法が情報として流れている。例えば……

・カルテル教の聖印を掲げる

・銀製武器じゃないとダメージが通らない

・猫が弱点

 などがあるが、これはすべて嘘。シエラザードが意図的に流した偽情報である。



・撃破方法

 壁に並ぶ燭台の中に、黒い炎が燃えるものが8本紛れている。それらに「消えろ」と言葉を掛ければ炎は消える。8本すべての炎を消せば、幻はすべて消えてしまう。

 結界に詳しい人物がいれば、黒い炎が空間を構成するカギと見破るかもしれない。

 このように、シエラザードはどのような相手にも勝てる能力がありながら、ネタが割れればどんなに弱い者でも倒すことが可能。



 そして、幻術を破った先に待ち構えるのは――――

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