第11話 熱い川とバナナとワニの園♀

 …………。


 空気が湿っていて温かい……近くから、水の流れる音が絶え間なく聞こえる……。


 柔らかな寝台に寝そべった私の顔のそばには、ヤシ科の観葉植物の植木……グミのような実がっている……ナツメヤシか?


「あ、目が覚めた! 気分はどう……? ちょっと顔色がよくなったわね」

 目の前には、カラカルの――!?




 ……。

 おおおッ、じゃねぇか、コレはァ!!


「ん……? やけにじろじろ見てるけど……」

「み、見てないっ! 見てないってば!」

「……吸っても出ないわよ?」

「そ、そんなつもりじゃないよっ!!」


「うむ……どうやら其方そのほう……ヒトのハナコは、飲み水を所望しょもうのようじゃぞ」


 カンムリヅルさん! だから、そんなつもりじゃないってばっ!!

 ……いや、確かに水分は欲しいかもしれないけど……。


「よし! アードウルフさん、お水を先生に!」

「さあ、ハナコさん、飲んでください!」


 フレンズたちにビン入りの水を口にあてがわれる……。これは、先ほど見つけたラムネのビンに水を汲んできたのか……。

 ごくごくごく……冷たくてたいへんおいしい……飲み残しの炭酸飲料が混じっていて、ほんのり甘い……。


ですか!?」

 ブフッ!!


「はぁ、はぁっ……」

「あ、

「だいじょぶですか……!? そんなに急いで飲むから……」

 そ、そういう問題じゃないっ……!


「だいじょうぶ。アンタ、『地面のトイレ』からお水飲むのイヤがってたでしょ。だから『背が高いトイレ』からお水を持ってきたから」

「……気ぃ利かしてくれてありがとう。便器じゃなくて、洗面台の水か……」




 上半身を起こした私の周りには、見慣れたフレンズたちの顔……。


 なぜ、みんな一糸纏わぬ姿なのだろう……?

 目のやり場に困るぞ……。


 それに……どこだっけ、ここ……? 記憶がぼんやりする……。


「……豊かなと甘いの流れる……楽園……オアシス……。ここはもしや、聖書に描かれし約束の地カナンでは……!?」

「推理が全然ちがうわよ。寝ぼけてるわね。ここは『せんとう』よ」




 ……うぐぐっ……頭痛あたまいたっ……! 気分悪っ……。

 顔や胸のあたりに、黒く乾いた血がこびりついている……鼻から出血した名残……。この症状は貧血か……。


 ここは……あの銭湯の脱衣場の横の空間らしい。パーテーションで仕切られていて、今私が寝そべっているのは、指圧や整体用のベッドのようだ。




 ああ……気分が落ち着いてきた。

 そして、だんだん思い出してきたぞ……さきほどの私の醜態……。


「す、すまんっ、カラカル! さっきの……たいへん申し訳ないっ!」私はもうたまらなく申し訳なくなって土下座した。


「えっ!! ……ちょ……。そりゃ、アタシもいろいろ言いたいコトあったけど……いきなり謝るなんてズルイわよ……」

「いやっ、本当にごめんなさいっ! 気が変になってたんだ……あんな嫌がることを無理やり……」


 大切な友達である貴女を、本能のままに押し倒してしまうなんて……とてつもなく罪悪感が……。


「いやぁ~……いきなりだったから確かにビックリしたけど……そんなにイヤでもなかったんだけどね……」

 え……!? カラカル、ど、どういうことそれ……!?




「ハナコが好きななら……アタシ、別にいいかなって……。さっきみたいに、いきなりされると怖いけど……」

「ええっ! つまり!? い、いやそのっ! 女の子同士ではちょっとッ……! よ、よくないぞっ! ……イヤ、べつに差別的なイミでは無くっ!! ウン、そういう恋愛のカタチも全然アリだとは思うっ!!」

「……耳を舐めるの、好きなのか嫌いなのか……どっちなのよ?」


「大好きぃ……。い、いや、イカン! そんな、本能のままにカラダをむさぼるなんて、フケツです! よくない! ダメです!」

 ううう……しどろもどろ。


 そこへ、アードウルフが割って入ってきた。

「ハナコさん! じゃあ、私の耳も舐めてください!」


 な、何を言い出すんだ! アードウルフさん!

 「じゃあ」ってアナタ、全然話の前後がつながってないじゃない!


「ダメですか? 『おふろ』の水でお耳をよく洗いますから!」

「むしろのほうが私は……。って、いやっ、何を言わせるんですかっ!?」


「ハナコ、相変わらず何を考えてるのか……よく分かんないわね~……。う~ん、それじゃあねぇ~……逆にアタシが舐めてやるっ!」

 え゛っ!! どういうこっちゃ!


「うみゃ~! 喰べちゃうぞぉ~! はむはむ!」


「あぁん! らめぇ~………! らめっ……そこナメナメしちゃらめなのぉ~……そこは弱いのぉ~……」

「はむはむ……ヒトの弱点は耳なのかしら……うみゃみゃみんみ~」

「んあぁ^~っ……! らめなのぉ~……!」

「わ、わたしもっ! この大きな耳を舐めてください! さあさあ、ご遠慮なく!」


 なんやねんこの展開……。

 全裸の女の子同士で、おたがい耳を舐めたり、舐められたがったり……。




「キャァァァーーーッ!!」

「ウワァァーーーーッ!!」

 浴室から響き渡る、突然の悲鳴!


「あ、あの悲鳴はっ……! すっかり忘れていたけど、ニシキヘビとナイルワニの声よっ! くっ、名探偵の私としたことが……とうとうが出てしまったのねっ!」

 生き生きとした顔でを言うキリン。


 ちなみにって私のことか……?


「なんだか知らないけどたいへんでありますっ! さあわたくしたちも急ぎましょう!」


「さあっハナコさん、そんなをしてる場合じゃありませんよ!」

「そうねっ、アードウルフ! アタシも耳なんかしゃぶってる場合じゃないわっ! は置いて行きましょう!」


「ま、待てェッ、おいこらっ! 今の言葉は聞き捨てならんけどっ!」


「……」

「……」


 うぐぐ……な、なんだようっ、みんなっ! そ、そんなを私に向けてっ……!


 それもこれも、元はと言えばあなたたちがっ……。

 でも、原因は私なのか……?


 ……いや、なのは健全だろっ!

 そうだろっ!


「さあ、みんなァ! 事件現場へ急ぐわよっ! 私、『みっしつのドア』を体当たりで壊すのをやりたい! 名探偵っぽくっ!」

「余のお城を壊すのは御法度じゃぞ。まったく、どいつもこいつも……余の縄張りで大騒ぎしおってからに……。余のお城は『てぇまぱぁく』と違うのだぞ……」




 私はフレンズたちを追いかけて、脱衣所の自分のリュックを片手に持って、奇声の聞こえる浴室へと向かったのだが……。




 だが! じゃんぐる銭湯の奥地で、我々フレンズの見たものとは!


「ウワーッイッ!! わははははっ!! すっごーいっ!! たっのっすいいぃー!!」

「『せんとう』がこんなに楽しいものだったとはのう!! わたしだってもう……たまらんのじゃよ~!!」


 大浴室では、ニシキヘビとナイルワニのふたりが、大きな湯船のお湯の中で飛び跳ねたり、潜ったり、蛇行したり、回転したり……おたけびを上げて、目をきらきらと輝かせながら、ものすごい勢いで泳いでいる姿であった……。


 ふたりとも、テンションめっさたけぇ~……。




「じゅ、十二分に銭湯を楽しんでますね……おふたりとも……」私はふたりに声をかけた。


「そりゃあもうーっ……オレもナイルワニも水辺が大好きだしな! ……このへんてこな『せんとう』の中に初めて入ったけど……こんなに素晴らしいっ、湿り気たっぷりの場所だったなんてぇっ!」

わたしたち爬虫類の気分は……えっと、『変温けもの』って言うんじゃったかの――? とにかく、こういう温かい場所に来ると、もう興奮して……いてもたってもいられなくなるのじゃよ~!」


 そう叫びながら、水泳オリンピック選手以上の要領で、湯船の中を泳ぐニシキヘビとナイルワニ。


 その潜水や跳躍の巧みさ、物凄さ、力強さ……。

 あらためて、フレンズとは動物が変身した超人……人間以上の生命力の持ち主であると思い知らされる……。




「アレェ? ところでお前ら、ハダカになってるけど……それってヘビの真似とちがうか?」

「ふふふ、驚くべきことにですねぇ……わたくしたちの毛皮や羽毛は、『ふく』と言って……こーやって、ぜんぶ外れるのですよっ!」

 と、ニシキヘビの疑問に答えるヘビクイワシ。

 脚長くてスリムで……やっぱり超スタイルいいよなぁ……。


「おう。それじゃあやっぱり、ヘビの脱皮じゃないか」

 たぶんよく分かってないアフリカニシキヘビ。


「ふーん、フレンズは脱皮できるのか。そうじゃったのか~……。おお~、ハダカのキリンは、生まれたてのワニの赤ちゃんのウロコみたいに、すべすべぷにぷにじゃな~」

「うももーっぅ! そ、そんなにさわっちゃ、くすぐったいわよ!」

「脱皮ということは、そのうちまたカラダが固くなって、新しい毛皮が生えてくるのかのう?」


 キリンの豊満な胸や腰を、まるで母親が子供を撫でるかのように触るナイルワニ……。

 ……う~ん、女の子同士……あぁ~ん、たまりませんですわ~……。


 ム、いかんいかん……あんまりキレイなものを直視してると、また鼻血が……。


 ふたたび貧血になっても困るので、私は浴室内を観察することにした……。




 このジャパリ銭湯バスの女湯に入って、いの一番に目に飛び込んでくるものと言えば、正面の大きな一枚の壁に描かれた「ペンキ絵」である。銭湯のこういうモルタルやトタンの大壁は、向こうの釜場――ボイラー室とを区切る、頑丈な防火壁であるらしい。


 さて、銭湯のペンキ絵の定番は、ごぞんじ富士山――それも、海と岩場とを共に描いた「西伊豆」、近景に砂浜と松林のある「三保の松原」、本栖湖・河口湖・山中湖などの湖から見える富士を描いた「富士五湖」――この三つの風景、通称「御三家」テーマのどれかであることが多いという。

 あるいは変わったモチーフとしては、赤富士やスイス・マッターホルン、イタリア・ヴェスヴィオ山など色々あるそうだが……。


 だが、この「ジャパリ湯」のペンキ絵こそが、地球上で一番の変わり種――虹色の煙の絶え間なく噴き出る、あの「サンドスター火山」を望むサバンナの風景を壁画に描いているのである!

 近景には、雨季サバンナ地方の花咲く大草原や、青々とした葉が生い茂ってたくさんの実をつけるバオバブの木――それも日本松を意識したような曲がった形状である。そしてサバンナの野生動物達が壁面に散らばるように、生き生きとした、ビビッドなタッチで描かれている。


 女湯と男湯の境の壁に目を向けると、そちらはジャングルの風景や獣達を表現している、趣向を凝らした装飾的なタイル絵である。




 サバンナを表す大壁のペンキ絵と、ジャングルを表すタイル絵や観葉植物……。


 どうやら、ジャパリパーク中央の高原地帯から流れる大きな川によって成立する水系の周辺環境――サバンナと熱帯雨林の「熱帯の水辺の生態系」を、この銭湯のメインテーマとして、絵・彫刻・観葉植物……そして入浴客であるフレンズ達によって表現しているのではないか!?


 芸術と園芸による生物空間バイオトープ……人工的小宇宙ミクロコスモス……なんとまあ、壮大なモチーフであろうか!




 ……いや、ちょっと待てよ。

 湯気の中で全体をよ~く観察すると……。


 流れるプールの「ナイル風呂」。高所からお湯の流れ落ちる「ヴィクトリアの湯」。……安全性とか大丈夫なの? やたら頑丈なフレンズが入浴するぶんには、まあいいだろうけど……。


 湯船の水の出口は、マーライオンやシャチホコ、東洋の龍みたいな像など、統一感のない装飾がされている……。


 節操が無いというか、エネルギッシュそのものなフレンズ達が喜びそうな、遊び場空間というか……カオスすぎる。とりあえず色々詰め込んだおもちゃ箱のような内装。


 もしかして設計者の人、とくにテーマとか何も考えずに、完全に遊んでるだけでは……?




「このサバンナの動物たちはティンガティンガ派の作風。あのジャングルの獣はアンリ・ルソー風のタッチ……。むこうの動植物のタイル絵はまぎれもなく、伊藤若冲の『升目描き』のオマージュ……う~ん、和洋折衷というか総合芸術というかチャンポンというか……やっぱりカオスだなぁ……」


「ハナコ! さっきから絵ばっかり見て、どうしたのよっ!」

「はひッ!」


 変な声が出た。

いきなりカラカルが後ろから跳ぶように抱きついてきて、私の喉を舐めるものだから……。ほんと、心臓が飛び出るかと思った……。


 それアレでしょ、ネコ科の獣が獲物を仕留める時の必殺技フィニッシュ・ホールドでしょ……。


「や、やめてくれ……ビックリするから……」

「ああ、ゴメンゴメン。姿を見るとついうっかり……」


「そっ、それに……む、むむむ……背中にあ、あ、し……」

「え? 当たってるって……?」

「お、おおおっ……い、言わせないでよ! もう!」


「なんでそんなに興奮してるのよ……? 顔がものすごく赤くなって……ここが温かいから、だけじゃないわね。もしかして、またの?」

「ぐぬぬ……そうだよッ! 毒だよ毒ッ! 体に毒すぎるわこんなんっ!」


 いや、もうね……女の子のハダカを見るだけならともかく……。のは、本当に刺激的すぎるよ、私には……。


「せんとうの絵、たくさんあるし、きれいよね」

「……カラカルの身体のほうが、もっときれいだよ……」

「……え?」

「な、なんでもないよっ……!」




 で、そういうわけで、ちょっと距離を置いてから会話……。


「……ねえ、ハナコ、その『毒』は大丈夫なの?」

「や、心配してくれてありがとう、カラカル……。あ、いやいや、触らないでちょうだい……毒が移るといけないから……」


「ねえ、あっちの『おふろ』は、『毒を取ってくれる』らしいわよ、ヘビクイワシが『文字』を読んでたけど」

解毒デトックス効能のある温泉風呂か……。それよりもカラカルも、ほら、みんなと一緒にお風呂に入ってきたらどう?」

「いや、アタシは大丈夫よ……。アンタが入ったきたら?」


「それじゃ、一緒にお風呂入ろうよ。私が背中洗ってあげるよ」

 恥ずかしいから目つぶるけど。

「い、いいってば! アタシはけっこう! 背中なんて、アタシは体柔らかいから手も足も届くから自分で洗えるしっ!」

 そう手足にツバをつけて背中へ伸ばして見せる。


「でも、ここまで付き合わせちゃったんだし……せっかくだから一緒に入っていこうよ。ずっと歩いたから、汗かいてるでしょ?」

「汗かいてるの好きだしアタシ! だいたい、お水というのは飲むものであって、ああやって体を浸けるものじゃないしっ!」


 何度も私が誘っても、頑固に断るカラカル。

 ……なんだかミョ~に突っぱねるけど、一体どうしたんだ……?




 もしや……!?


「はは~ん、もしかしてぇ~……♪」

「な、なによう……! そんなニヤニヤして……」

「もしかして、カラカルはなんじゃない? お湯――んじゃないの?」

「そ、そんなことないっ!」

「そうかそうか。じゃ、問題ないね。一緒にお風呂に入ろうよ」

「ヤ、ヤダぁッ!」

「まぁまぁそう言わずに……。お耳もシッポもお湯でよく洗ってあげるよぉ~……」


 カラカルのの触れるのは、ドキドキするし恥ずかしいけれど……それ以上に……それ以上に、私にはっ……がっ、首をもたげてくるのであるッ!




「ヤッ、ヤメロォ~! アンタ、もしかして!?」

「ぬふふ……アライグマの獲物を洗うような仕草はね、あれは獲物の毒抜きをしているんだよ……」

「え、獲物の毒って……。毒に当たってるのは……ハナコ、アンタのほうでしょ!?」

「そのとおりなのだ……。このふさふさの房毛のついた耳と、なめらかな尻尾は『毒』すぎるのだ……。きっとカラカルにもこの毒が移ってしまったに違いないのだ……。だから……ハナコさんと一緒にお風呂に入って、毒を抜くのだっ!」

「やぁ~っ…… やだ~っ! ほんと言うと、水に漬かるのは怖いんだってばぁ~っ!」




 そういうカラカルを引っぱって行き……いくつかある浴槽の一つへと連れていく……。


 彼女は抵抗しようとするが、手袋やブーツも脱衣所に脱いできてしまったために、それらの裏側についたために、様子……。


「毛を逆立ててテイコウしてもムダだっ! さあ、お風呂に入ろうッ!」

「やあぁ~だぁ~ッ! やぁ~めぇ~ろぉ~っ!」

「さっき『耳もシッポもイヤじゃない』って言ってたでしょっ!」

「水の中は~ヤダー! 中はやぁ~っ、なぁ~っの~っ!」


 ふふふ……。イヤがるのを無理矢理……ってのはよくないことだけれど……。


 だけど、一緒にお風呂に入って体を洗うのは衛生的だし、カラカルのためだよね……。


 健全よね? ひどく健全よね?

 耳舐めと違って、女の子同士でお風呂入るのは一般的よね? フツーよね?




 耳、耳、耳……尻尾、尻尾、尻尾……。


 あれ……もしや、また私、サンドスター温泉の強力な毒気――の効能に惑わされているような……。



 ええいっ! 添え前食わぬ男の恥よっ!

 ……女の子やぞ、私……。


 ああもうっ! そんな細けぇことどうでもいいっ!


「耳と尻尾を洗わせろォっ! お湯によっ!」

「うみゃぁ~っ! らっ、らめぇ~! 水に体をなの~っ!」

「人間――いや、フレンズだれしも初めてがあるものなのだ! だいじょうぶ、手取り足取り、からっ!」

「ふ、ふぎゃーッ! 水のッ! よーっ!」




 そうこうしてカラカルを引っ張ってきた浴槽は……「アマゾン風呂」だって?


 濁り湯……温泉成分によって、泥のような色をしたお湯……まさにアマゾン川を模した湯船というわけか。




 ……などとプレートの解説を読んでいたらいきなり、が、ぷかぁ~っとお湯の中から浮かんできた。


「ウワーッ!!」

「うぎゃあーっ!! フレンズ水死体どざえもん!」

 カラカルと私は思わず叫んだ。




「キャアーッ!! びびび、びっくりしたぁーっ!!」

 黒スクール水着の黒髪フレンズが叫んだ。


「ぎょえーっ!! 死体が生き返った!」

「ウミャーッ!! 水怖い!」

「キャーッ!! いつのまにか知らないフレンズがいっぱいぃぃっ! こわいぃっ! こわいよぅっ!」

 と、ぞれぞれ叫ぶ我々三人。




 さらに、のような物体が、たくさん湯船に浮かび上がってきた。


「ぬわーっ! こっ、今度は!」


 どどどっ……どうなってんだっ!?

 この銭湯はっ!?




「セルリアンこわい!」

「水こわい!」

「知らない人こわい!」


 ギョロリと眼球を見開いて、我々を見やるブイ型セルリアン達……。


 こころなしか、コイツのほうも私たちを怖がってないか?

 叫びをあげる口こそ無いけれど。

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