メタモフォーザ・シュピーゲル

@bigboss3

列車強盗

 ミネアポリスを暗い闇の中、私は特性の煙草をふかしながら外を眺める。眼前にはファイア・フライのように明るく輝く。当然その光のすべてではないのだが、ファイア・フライのように獰猛で獲物を狙う目がぎらついてもいる。ヤーパンではファイア・フライはひ弱で切ない生き物とイメージがついてるが、欧州ではガキが作れる年になっても肉食をやめられない奴と見なされている。実際、英国に供与され改造したM4シャーマンの名前にファイア・フライの名がつくほどである。

 私は再びオランダから自家栽培のマリファナ和えの紙巻きたばこを咥えチャッカマンに火を起こそうと引き金を引く。

「本部よりシエル、目標は中で会談中だ。出入り口付近で出てきたところを攻撃せよ。」

 私の耳の中にある骨に直接、接続官の綺麗だけど、規則やルールが服を着てるような私のオナホールが耳元で私の脳みそに醜く突き刺さる。全く休息の一つや二つくらいくれよ。まったくやってられない。

「本部よりシエル、セックス中毒につき機能不全を起こしている。」

「バカか、お前の脳波にそんな兆候はない。仮病使うなら病院に一生チューブで繋げてもらうぞ。」

 冗談が通じないのかこの接続官は。私はそうつぶやきながら火を固いブーツで踏みつけて、飛び降りた。

 私アンジェリーナ・摂津・ジョイスはそのまま地上に軽やかに降り立つと、カモフラージュを解除し、武装を展開した。両手両足は人間のような生々しく美しい褐色肌から特殊転送式強襲機甲義肢のカーボンと油圧と特殊金属で構成された武装に私達は変わる。

 私は一見原始的な武器、特殊カーボン製リニア弓矢と特殊繊維金属と炭素繊維でできた米陸軍御用達の斧が二つ手にしていた。

「ライアット、シャラシュカ、そっちはの準備は出来てる?」

「ライアット、いつでもいけます。」

「シャレード、こちらも準備はばっちりです。」

 ライアットといわれる少年の名は具志堅・播磨・クロード。日本難民出身の少年で、アメリカ人兵士と沖縄住民の間に生まれた少年であった。奴は母子ともに難民となって台湾、東南アジアと流転し、最後にたどり着いた北欧で右派系キリスト組織に場母親への姦淫を強制された過去を持つ、その際彼は白人たちから散弾銃を奪うと、彼らの家族を見せしめに吹き飛ばし、その体の一部をプレゼントと称して送り付けたという。その後NGOで保護され新しい家族を作り、軍に在籍したという。その時のあだ名は「ブラッドオブポップコーンメーカー」というさえないものだった。そして、どういう了見かスピンアウトしてMSSに配属になったという。

 シャレードことラトゥーニ・朝蜘・ハザンはアフガニスタン難民の母とカースト信仰のインド人男性との間に生まれた両性の子供。彼は父方家族にさげすまれ、危うく殺されかけたという過去を持つ。その後母親がパキスタンに逃げ込み、そこで稲作を教えていたヤポンスキーに彼を託しこと切れたという。

 私の紹介はここで省くとして、今回の任務はヤーパンを中止に結成されたテロ組織、「待望の会」、「自由戦士団」、「ジョハルの手」の三派が手を組みミネアポリスに対する大規模テロを画策しているという情報を入手。そこで奴らは私らの出番ということになった。

「敵は駅に停車している偽装された密輸列車に乗り込む模様。三人はすぐに追撃せよ。」

「「「ヤー。」」」

 私達はすぐに先に頭が口から上半分吹き飛ばした男3人のまたがるバイクを奪い、追撃の準備をした。私達は他の機械児童と違い空を飛ぶ術がない、どっかの漫画のように飛行能力も潜水能力もない。ほぼ現地調達といった具合だ。

 データから解析するに目の前の機関車はかつてヤーパンが計画した蒸気機関車の発展型であることということだった。

「データが着ました。敵は郵便列車に化けて荷物を運んでいた模様。」

 郵便列車か、まったくミネアポリスの駅員は頭のおつむが砂の中の小石のように軽いんじゃないのか、それともコンピュータ万能論が頭の中に張り付いて自分の目で見るという原始的な考えを忘れているのか。私はあきれて欠伸が出るのを堪える。

「スゲーー、D200型蒸気機関車だ。」

 また、ライアットの鉄道フェチが始まった。あいつの鉄道に対する知識と愛着はウィキペディア並みだ。あまりの深さに私たち二人が閉口して、思考が宇宙の果てまで飛んでいくような感覚になるため、聴覚能力を遮断している。

「あの機関車はKD50のボイラーと機78-2の走り装置にシャプロンの242A1の機構とウォーデールの26型の燃焼システムを搭載した機関車で……。」

 もううんざりだ、早くゴミ共を一掃してシーツの上で3Pしたい。

「わかったから、あんたの機関車知識はベットの上で聞いたあげるから、今は逃げ込んだ連中らを始末するほうが先。」

 私の言葉を受けてライアットは黙りこくった。頭の中の無線に歯ぎしりの音が聞こえてきそうだ。実際私はいろんな人間と寝ている。世間で言うバイセクシャルというものだ。つまり男でも女でも愛することができるという思考だ。私がアメリカにいたころは今で言う「ヒッピー」な生活をしていた。

 その中の気に入りはライアットとシャラシュカと接続官の女の三人。特に三人には非合法で手に入れた彼らサイズのキャットスーツを着させて、その互いの抱き合うときにこすれる感触を楽しむのが趣味だ。最もそのたびに迷惑な顔をされるが。」

「シエル、ライアット、僕がチャフを放り込むから、電波障害に気を付けて。」

「「ヤー」」

 私達はそう言うと、すぐに武器を構えて攻撃態勢に入る。

「行くよ―――。」

「シャラシュカがそう言うと、二つの手榴弾が郵便車の窓を突き破った。それから2秒ほどたった瞬間郵便車から光が走った。中から目を抑えた重武装の兵士が顔を出した。私はすかさず弓を男の頭に狙いを定めて矢を離した。

 矢は男の頭を団子のように串刺しにして、そのまま動かなくなり、そのまま転落して、車輪に巻き込まれた。男の体はたちまちひき肉になり者たちを真っ赤に染めた。

 ライアットは鍵のかかった鍵にスラッグ弾を撃ち込み、粉砕した。それと同時に私らは突入を開始。中には複数のテロリスト共が使い古しのM16と中国製AKを両手に携えこちらをにらむ。

 もっともこの程度の敵は私らの敵ではない。私らはすぐの秒殺に入った。

 まず私は持っていた斧で男2,3人の頭をスイカのように叩き割り後ろから仕掛ける奴に投げ付けた。

 ライアットは弾を焼夷弾に切り替え、至近距離でぶっぱなし、体を火だるまにしたうえ、体の一部を吹き飛ばす。

 シャラシュカは持っていたシャレードを抜き銃を構える人間を包丁で切られる野菜のように微塵切りにしていく。こんなに楽しい人肉料理の調理は他にない。

「あー、楽しかった。」

 シャラシュカのすっきりした笑顔を私達に見せる。それは互いに共通する気分だった。岡良いと思うだろうけど私達は悪党どもを肉や野菜のように切り刻むのは、ストレス発散につながるし、コドンぽの砂遊び並みに楽しい

「それじゃ、さっそく機関車に向かおうか。」

「そうだね、荷物は確保したことだし。」

 そういってシャラシュカは横にある金属の箱を叩いて最後の仕上げに期待を膨らませる。ちなみに横のコンテナは5トン分のセムッテクス爆薬である。

 ふと私は、この機関車の速度が上がったような気がした。私は慌てて先頭の機関車とつながる溶接された貫通扉をぶち抜き機関士の中に駆け込んだ。案の定、機関車は自爆用ドールである意味自動運転状態になっていた。

「どうする。」

「決まっている。こいつを止める。」

「僕は壊したくないけど。」

 私達はすづに行動に移った。まずライアットが、ショットガンに冷却弾を詰め込み、すぐに自動ドールの機能を無効にしてしまう。こうなったら完全に無人機関車。今度はシャラシュカがブレーキレバーを引いて機関車の車輪を止めようとした。当然ブレーキは効かず、ますます速度を上げる。

「こうなったら奥の手だ。」

 私はそういうと、運転室から外に出てボイラーを渡って戦闘に向かう。ボイラーはやかんと同じで熱々でカーボンで覆われた義手が熱センサーを通して私の頭の中に熱いという電気信号を送る。

 私はそのような信号よりももっと別の者に視線が向いた。それは線路際の踏切であった。そこにはタンクローリーが立ち往生していたのだ。「なんでこんな魔の悪いことが起きるのよ」私は心の中で毒ついた。

 私は急いで最後の手段に取り掛かる。機関車の先頭に立つと私は体中の義体のリミッターを解除して、力業で列車を押し返しにかかった。こんな非常識よく思いついたもんだと我ながら思った。体中の至る所で悲鳴が上がり、爆発音も聞こえる。しかしそのような状態でもありえないというほどの効果が上がっている。速度が急激に落ちているのだ。恐らく誰が見てもこんなのありえないというだろう。

 速度見る見る間に落ちていき、ようやくタンクローリーの一歩手前で停止した。私は思わず安どの声を上げた。瞬間擬態が大爆発を起こし私は一瞬記憶が飛んでしまった。


「ああ、よかった。シエルも死んだし、機関車も止まったし。」

「うん、これで僕達もお役御免といったところだね。」

 二人の会話を聞いた私は思わず怒りのあまり無事だった無線機でオープン状態で怒号を浴びせる。

「おまえらー、勝手に人を殺すなー。罰として今夜はSMだーー。」

 二人は一瞬お浴びえた悲鳴を上げたが、その直後に私達3人は大きな高笑いを上げた。お互い無事であることを喜んでの笑いであった。

 私は異端の鏡。いかれていてもこの街を守るのが使命。最もそれは楽しみのためのオブラートではあるのだけれど。

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