エマ・キャンベル
名前 エマ
種族 人間
年齢 18
職業 ギルド受付嬢
レベル 28
HP 3400
MP 1900
スキル アイテムボックス・鑑定・剣術(中級)・体術(中級)・初級魔法(熟練度3)・風魔法(熟練度2)・土魔法(熟練度1)・水魔法(熟練度1)・魅了(上級)
ユニークスキル 疑心暗鬼
称号 受付嬢・怖いものなし・遅刻魔
……ほーう? なんだぁ、これは。怖いんだけど。怖いんだけど!
なるほど、鑑定スキル持ってたから僕のこと分かったのか。魅了はさっき使われたやつだろう。なんとなく分かるから、とりあえず『疑心暗鬼』を鑑定する。気になりすぎるよ、これ。
疑心暗鬼……疑わしきは罰せよ。鬼を召喚、使役し、相手の理性を奪うことができる。使役する人物が望めば攻撃させることも可。
…………うん。
「こっっっわ!!!!!」
「その反応はー、疑心暗鬼、鑑定したのかな?」
「しました! しましたけど!」
「大丈夫、大丈夫! 今のところ使ったことはないし、使う気もないから!」
「……本当、ですか?」
「そうよー。……多分きっともしかして」
「不確かだ!」
にこにこと微笑みながら話すその人が、とてつもなく恐ろしい……。なに、この威圧感。威圧のスキル持ってなかったから、これは素だよね? 素って逆に怖い!
「まぁ、少なくともウタ君やアリアに使うつもりなんてこれっぽっちもないわよ。他の人には、そのときが来れば使うかもだけどね」
「さらっと言いましたね」
「ところでー、お金を両替したってことは、街に行くんでしょ?」
その言葉に、ようやく当初の目的を思い出す。朝ごはん! ……とたんに、ぐぅぅ……と、お腹がなる。
「あ……朝からなにも食べてないんだった……」
「ぷるっ! ぷるるっ!」
「スラちゃんもお腹すいたって?」
「ぷるんっ!」
あとで氷をあげよう。そうしよう。
「ふふっ。おすすめの喫茶店があるのよ。教えてあげようかー?」
「え?」
「玉子サンドが絶品でねー! 店主のおじいちゃんもいい人だし、行ってみたらどーお? アリアともよく行くのよ」
「そうなんですか? ……あの、アリアさんとエマさんは、どういうご関係で?」
すると、エマさんはどこか寂しそうにふっと笑った。そして、思わせ振りに髪を耳にかける。
「……知りたい?」
ゆっくりとうなずく。
「実はね――アリアと婚約してるのよ」
…………。
…………え?
え? は? えぇ?! えっ、ちょ、それって……えっ???!!!
「――私の弟が」
「すっごい悪意を感じる倒置法!!!」
び、びびったぁ……。まさか、アリアさんとエマさんってそういうあれなのかと本気で思ってしまった自分を恨みたい。
冷静になれー! すーはー、すーはー……。いや別に変態じゃないから。深呼吸ね、深呼吸。
……よし! 冷静になったぞ、多分。
「お、弟いるんですか」
「そう。ほら、アリアって女の子じゃない? だから時期王がいないってなってね。小さい頃にうちの弟が選ばれたのよ」
「アリアさんは、王になれないんですか?」
「そうじゃなくって、この国は代々二人の王がいるのよ。王と、女王とね。
アリアのお母さんはあの子が小さいときに亡くなったから、ずっとエヴァン国王一人でやってるけど、戴冠式後には二人になるはずよ」
アリアさんのお母さんかぁ……。どんな人だったんだろう? あんな人のお母さんだから、きっと、強くて優しい人なんだろう。
「そういえば、その、アリアさんの婚約者だっていう弟さんは何してる人なんですか?」
「あー……えっと、分からないのよ」
「…………え?」
分からない、とは……?
「一年前から音信不通で……。どこにいるかも分かっていないの。アリアの戴冠式まで、あと二年しかないのに」
「そう、なんですか」
「でも気にしないで! 多分、そのうち帰ってくるわよ。私たちが忘れた頃にひょっこりね」
それから一度言葉を切り、「でも」と、エマさんは続ける。
「でも、アリアが婚約破棄にしないって決断してくれたのは、嬉しかったわ」
「…………」
「やっぱりね、時期国王なのに行方不明だなんて、あんまり印象がよくなくてね。別の婚約者を探そうってなったのよ。
……でも、アリアがそれを断ってくれた。あの子を信じるからって、言ってくれた。それはそうと、ウタ君、お腹すいてるんじゃなかったの?」
「あっ」
意識した瞬間、またお腹の虫がぐぅぅと大きく鳴いた。
「ふふっ。あのね、ここのギルドを出て、まっすぐ右に進んだら、十字路があるんだけど、そこの角の『五月雨』っていうお店よ。青いお花の看板が目印だから、すぐ分かると思うわ」
「『五月雨』……ですか」
なんか、すっごい日本臭がするのは気のせいだろうか? 五月雨って。
エマさんにさよならを言い、道なりに進んでいく。言われた通り十字路があったので、その角のお店を見る。
「……これ、か?」
『喫茶 五月雨』
と書かれた看板があることから、ここであることは間違いなさそうだ。それにしても、日本感がいなめない。
入り口のところにかかっているのれん、狸の信楽焼のようなもの、障子、そして、エマさんが言っていた『青いお花』とは紫陽花だった。……えー、日本。
そっとのれんをくぐり、障子の扉を開けて中に入る。
「こんにちはー」
「おぉ! にいちゃん! いらっしゃい!」
そこにいたのは、白髪の元気なおじいちゃんでした。
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