決戦にて 死んだふりと空間の穴の使い方
「まずい……、みんなの事を全く考えてなかった」
『あのもの相手にあれほど魔法を使ってしまうのは仕方ないが、例え周りを囲んで衝撃が拡がらないようにしていたとしてもやりすぎなのは否めないぞ』
「……そうだよね」
『まあ、ヤートと付き合いの長いもの達なら大丈夫だろう。それで見つかったのか?』
「今、探してるけど…………、良かった。みんな無事だった」
みんなは初めに探した場所にはいなくて、探索範囲を広げた結果、僕と世界樹からかなり離れた後方にいるのを見つけた。みんなの身体を調べてみても異常はない。気になるのは今現在もそれなりに地面が揺れているのに、みんなが落ち着いてる事。もしかしてけっこう前から避難してたの?
『やはり無事だったか。…………ほう、あの落ち着きようは、どうやらヤートが周りに影響を与える魔法を使うと予想していたようだな』
『あの黒のもの達は、
『ハッハッハ』
世界樹の乾いた笑い方が少しイラッとするけど、今回に関しては僕に非があるから納得しておくのと、みんなに謝るのは後だ。
「シール、世界樹」
『心得ています』
『爆発はおさまった。さて、あのものはどうなっているか……』
流れていた和やかな雰囲気は収まり、僕達は
「
『やめてください。このまま跡形もなく消し飛ばすのを推奨します』
『我も同意見だ。死にかけていようが得体の知れない存在の内側に触れるのは賛成できん』
「……わかった。それじゃあシールの意見でいこう。このまま攻め続けるね。
僕は
『ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアア‼︎』
『フン、やはり死んだふりだったか』
『汚らわしい。存在も言動も全てがだ』
身体を内外を浄化されていくあいつの叫び声と
「
『キサマラゴトキニハ、ヤラレヌゾォッ‼︎ オアアアアアアアーーーーーーーーーー‼︎』
僕が障壁を張った次の瞬間、あいつの魔力が爆発的に高まり
『逃がさん‼︎』
世界樹はあいつの光線が吐き終わると、トドメを刺すために接近していく。……何か気になるな。確かにあいつは
「世界樹、止まって‼︎」
『どうし、何っ⁉︎』
僕の制止で世界樹が止まると、世界樹のすぐ目の前、正確に言えば、世界樹の頭に乗っている僕の目の前に空間の穴が開いた。すぐに世界樹は退がり、あいつから距離を取る。
『ヤート、どういう事だ? まさか……?』
「あいつの思考を読み取ったわけじゃない。あいつがボロボロなのに笑った気がしたから呼び止めただけ」
『何が目的だ?』
「たぶん僕とシールと世界樹の分断だね」
『だが、空間の穴は開けられなくなったはずだぞ‼︎』
「僕ができなくしたのは、境界を壊して世界の外へ出る空間の穴の事だよ」
『この世界の中で別の場所につなげるのは可能というわけか……』
あんなボロボロでも世界樹の言った事を実行する力は残してたらしい。……いや、あいつの力の総量を考えたら、僕だけが通れるような小さな穴を開けるのはほんの少しの力で済むのかもしれない。
『チッ……』
『……往生際の悪い』
『しぶといな』
「
『ムダダ‼︎』
やっぱり不用意にあいつに近づくのは危険だと判断して魔弾と魔槍を撃ち込んだけど、あいつが無数の空間の穴を開けて全てをどこかに流してしまった。こうなるといろいろな攻撃を試して、確実にあいつへ当てる方法を考えないといけないから厄介だね。それにあいつはあいつでどうにか回復をしようするはずだから、しばらくの間は状況が動かない。僕は、そう思っていた。でも……。
『ヌウウウウウッ‼︎』
『何だ? あのものは何を始めた?』
「自分の上に空間の穴を開けた?」
『狙いがわかりません』
僕達が、あいつの意図を読めずに警戒していると、あいつの頭上に開いた空間の穴から何人もの
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◎後書き
最後まで読んでいただきありがとうございます。
注意はしていますが誤字・脱字がありましたら教えてもらえるとうれしいです。
感想・評価・レビューもお待ちしています。
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