大神林の奥にて 中々激しい戦いと目にした事の言い合い
四体が世界樹のそばへ来れたすごさは理解できた。それなら四体が
「ちょっと待って。何で
「……ガア?」
「あそこにいるのは
「……ブオ?」
「
「……本当デスカ?」
「うん、世界樹も見てたから間違いない」
「…………アヤシイ」
ミックの発言に三体はうなずいた。
『ちょうど、この形態の肩慣らしもしたかったので、私は戦っても良いですよ?』
「ガア……」
「ブオ……」
「度胸ト減ラズ口ダケハ褒メテオキマス」
「…………ミノホドシラズ」
『うふふ』
あー、ミックが僕から離れたし、これは完全に戦いの流れだね。…………止めたら後でギスギスしそうで世界樹も止めようとはしてないな。うん、このままで良いか。僕は静かに世界樹のそばへ歩いていく。
「根もとに座って良い?」
『構わんよ。さて、どうなるかのう?』
「本気の殺し合いにはならないと思う。というか、そこまで激化したらさすがに止めるよ」
『ふむ、ならば枝はどこまで戦える?』
「その質問に答える前に、気になった事を一つ良い?」
『ああ、構わん』
「あの子の事を枝って言うのやめた方が良いと思うよ。初めは確かに世界樹の枝だったけど、今は大木になってる。それとも世界樹にとっては、あの大木でも枝って言うの?」
世界樹は僕に言われてハッとしている感じになっていた。
『……そうじゃな。確かに、あそこまで成長したものを枝とは言えんか。ふむ……、何と呼ぶべきじゃろうか?』
「あの子自身が決めるか、世界樹が名付けてあげれば良いと思う」
『…………難しいのう。すぐには決めれんわい。むしろ、お前さんが決めるというのはどうじゃ?』
「うーん……、名付けって重要な事だよね? その重要な事を力を貸してもらってる側の僕がするのは違うかなって」
『お前さんは、そういう風に考えておるのか……』
「変?」
『いや、そう考えるのも、お前さんの自由じゃ』
「含みのある言い方をされるのは気になるよ。でも、あの子にどうしたいか聞くのが先かな。…………まあ、聞ければだけど」
僕と世界樹が話している間に、
先制攻撃は
「……ガア」
「……ブオ
「ヌルイ‼︎」
「…………ムダ」
『なるほどなるほど、数と速さに特化した攻撃は打ち落とされたり当たっても効かないわけですか』
「世界樹は四体相手でもゴリ押しで攻め切れるよね?」
『好まんが問題はないのう』
「「「「…………」」」」
『もしかして、あなた達は意外と弱いのですか?』
四体が世界樹の発言にイラついてると、
「ガアッ‼︎」
「ブッ‼︎」
『……私の魔弾の返礼という意味なら、ずいぶん雑ですね』
僕の意識が障壁の観察に向きかけた時、鈍い爆音が響き渡る。見ると
「割と本気の二体の攻撃を防ぐのはすごいな」
『そうじゃろう。そうじゃろう』
世界樹のこの感じ……、孫を褒められたお祖父さん? やっぱりどんな存在でも自分に関係するものを褒められたら嬉しいんだなと、四体と
かれこれ一刻(前世でいう一時間)くらい四体と
今はにらみ合って膠着状態になってるけど、ここからどうするんだろ? 最悪の場合、お互いに相手を倒そうと無謀な攻撃を繰り返して自滅する事も考えられるから、いつでも止めれられる準備をして最悪になりそうな前兆を見逃さないように目を凝らす。
そんな緊張感の満ちている中、
『宣言しておきます。そばにいるのが一番ふさわしいのは私です』
「ガア……」
「ブオ……」
「マダ言イマスカ……」
「…………ホントウニミノホドシラズ」
『私は寝ている時でも腰に巻きつかせてもらってますから事実です。あなた達は寝相が少し悪くて寝台から落ちそうになっているところを助けた事はないでしょう? 私は何度もあります‼︎』
…………
「私モ旅先デ
「…………ヨウイサレタタベモノヲ、ハヤクタベタクテジットミテイタコトモアル」
「ガアッ‼︎」
「ブオッ‼︎」
四体と
『ふむ、お前さんは愛されておるのう』
「そういう事なの?」
『誰しも嫌いなものや興味のないものを進んで見ていたいとは思わんよ』
「…………なんか顔が熱い」
『別に照れる必要はない。ただ、今までの関係性がずっと続くと慢心せずに、いつも通りお前さんでおればそれで良い』
これが照れ。…………フワフワしてる感じだな。それに慢心せずにか……、僕の方が弱いのに慢心なんてできないよ。あと僕か四体と
…………そういえば、こんな何十年後かの事を考えるなんて、明日には死んでそうだった前世だとありえなかった。何回でも思う。この世界に生まれて良かったな。
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◎後書き
最後まで読んでいただきありがとうございます。
注意はしていますが誤字・脱字がありましたら教えてもらえるとうれしいです。
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