大神林にて 四体の関係性と淑女で母親な木
黒の村を出発してからしばらく経った時、僕はミックに背負われて
「ミックは人型の身体でも、かなり自在に動けるようになったね。こんな速い速度で移動ができるようになってるとは思わなかったよ」
「…………ナレタ」
本来なら高速移動中なので舌を噛む可能性などから会話をする余裕はないはずだけど、ミックは僕にできるだけ負担を与えないように気を付けてくれるから大丈夫。唯一心配なのはミックの機嫌だね。
「ミック、僕は気にしてないから」
「…………アイツラジャマ」
「
「…………ホントウニジャマ」
思い出したのかミックも機嫌が悪くなってきたな。事の起こりは、いつものように三体の口論からのにらみ合いで三体が動かなくなったからだ。この時、三体は三体で自分達が戦うと周りへの被害が大きくなるから、にらみ合いの段階で抑えるという気づかいをしてくれたのは間違いない。
でも、ミックは僕が
「…………コノママススム?」
「うん、進行方向は合ってるから、このままでお願い」
「…………ワカッタ」
移動をミックに任せて、僕は三体の様子を探るために界気化した魔力を後ろに放つ。…………三体もミックを追ってきてるね。ただ気になるのは爆走じゃなくて静かに走っている事。ディグリは滑るように進むから静かなのは当然として、
「ミック、少し寄り道したいから向こうに進んでくれる?」
「…………ワカッタ」
ミックに背負われて着いた場所は、前に僕と三体が魔石と戦ったところだ。…………よしよし、魔石の寄生してた大樹だけが目立ち他は樹々は痩せ細っていたり地面は土が露出していたりと、およそ
「
「…………ミック。…………ヨロシク」
あれ? ミックと
その後、
「ここに来るまでの走り方が、すごく静かだったけど何かあった?」
「ガア」
「ブオ」
「周リノ植物達ヘノ配慮デス」
「ああ、そういう事」
わかりやすい理由で良かった。僕が納得しているとミックが僕の前に出て三体をにらみつける。
「…………オマエラジャマ。ジカンノムダ」
「……ガア」
「……ブオ」
「ソノ点ツイテハ謝リマス」
僕からも三体に何か言っておくべきかとも思ったけど、とりあえずミックがわかりやすく言ってくれたから、このまま四体の会話を聞いておこう。
「…………ナンデジャマスル?」
「ガア……」
「ブオ……」
「邪魔ヲシタワケデハアリマセン。コノ方々二負ケタクナイカラデス」
「…………イマスルナ」
「「「…………」」」
ミックにキッパリと言われ、三体は何も言えなくなっていた。意外と……は失礼か。ミックは関係性とか状況を判断してくれるのは頼りになるね。というか独立した個体として僕のそばにいるようになったのはミックが一番最近なのに、ミックの方が三体を圧倒する関係になってるのは見ていて興味深い。
「とりあえず、いったん
「ガア」
「ブオ」
「ワカリマシタ」
「…………ダメナラハコブ」
「もう大丈夫だけど、もしもの場合はお願い」
三体が気まずくなっている中、
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◎後書き
最後まで読んでいただきありがとうございます。
注意はしていますが誤字・脱字がありましたら教えてもらえるとうれしいです。
感想・評価・レビューもお待ちしています。
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