黒の村への帰りにて 意図せず与えた不安と帰還
一夜明けて僕達は
「リンリー、ちょっと僕の身体を支えててもらって良い?」
「…………まだ疲れが残ってるんですか?」
リンリーの言葉を、みんな聞いてたのか緊張感でピリピリしだしたので、きちんと否定しておく。
「違うよ。どうせなら帰り道沿いの植物達の状態を確認しようかなって思ってるだけだよ」
「なるほど同調や
「そういう事。僕の身体を任せて良い?」
「大丈夫です。任せてください」
みんなの緊張感が解けリンリーも快諾してくれたから、僕は目を閉じて身体の力を抜き
……考えてみると、イーリリスさんに習って
「ヤート君……」
「うん? リンリー、どうかした?」
「なんかすごく魔力が集まってますが……?」
「ああ、いざという時のために
「そうなんですね。私は大丈夫なので気にしないでください」
「わかった。辛くなったらすぐに言って」
「わかりました」
リンリーの負担を少なくするため、送られてくる魔力の量を二割くらい減らす。さりげなくリンリーの様子を確認したら小さくホッとしていたから、これで良いはず。他のみんなの様子も特におかしいところはない。この感じで黒の村まで突き進もう。
あれから黒の村への旅路も
「あー……、
「そうなのか? 俺には何も感じないぞ?」
「ラカムタさん達は僕が
「……ねえ、ヤート。それって黒のみんなは大丈夫なの?」
「逃げた動物や魔獣と同じで巨大な魔力が近づいてるって感じてると思う。ラカムタさん」
「そうだな。お前達は先に村へ戻って
「俺達は待機だ。ヤート、あの二人が村に到着する時はわかるよな?」
「うん、植物達に教えてもらえば良いから大丈夫だよ」
「それなら、ヤートが到着を感知するまで待機だ」
僕が村の様子を探ると、やっぱり僕達のいる方を警戒していた。遠くの状況を調べる手段がないと警戒するしかないからしょうがない。そんな事を考えていると村のみんなの対応が決まったようだ。
「ラカムタさん、村からも
「……偵察だな」
「そうだね」
「途中で
「両方ともまっすぐ進んでるから、どっちかが進路を変えたり隠れてやり過ごすとかしない限り対面するよ」
「わかった。ヤート、そのまま状況の確認を頼む」
「うん、任せて」
「ラカムタさん、
「そうか、村から出てきた
「なんか魔力の原因が僕っていう説明をされたら頭を抱えてから、ため息をついてた」
「…………そういう事もあるかもしれないな」
ラカムタさんを始めみんなが僕から視線をそらす。…………なんか納得できない。
「ゴボン、よし、それじゃあ村に向かうぞ」
「……わかった」
僕達は再び移動して
そして、ようやく黒の村の門が見えてきた。すでに門の近くには黒のみんながいて僕らを出迎えてくれている。そして、その中にはサムゼンさんとヨナさんもいた。
「
「うむ、ご苦労。無事に戻ってこれて何よりじゃ」
「先に言っておくが、ヤートの魔力の件に関してはわざとじゃないからな」
「それはわかっておるわ。ヤート、黒の村からもヤートの魔法は見えたし感じられたぞ」
「全力でやらないとダメな状況だったから大規模な魔法になった。カイエリキサさんやグレアソンさんのおかげで魔力の制御が上手くなったから、次はもっとうまくやる」
「できるだけ地形に影響を与えんようにな……」
「大きめの森ができるくらいだから大丈夫だよ」
「…………それを大丈夫とは言えん」
黒の村のみんなも、ラカムタさん達も、四体も、サムゼンさんとヨナさんも、全員が
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◎後書き
最後まで読んでいただきありがとうございます。
注意はしていますが誤字・脱字がありましたら教えてもらえるとうれしいです。
感想・評価・レビューもお待ちしています。
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