黄土の村にて 縁の夢と植物の主張
気がつくと僕の視界には白黒でザーッと乱れる何もはっきりしたもののない景色があった。…………感覚的には夢だけど、あの流れ星が絶えず降り注ぐ白い大地の夢とは違う感じだね。どうしたものかなって思っていると、ザーッと乱れていた景色が、どこかの映像を映し始めた。
……これは大きな窓から見える景色か。うん? 遠くの方に空の果てまで達している深緑色の光の柱が見える。あれは間違いなくリザッバとリザッバの空間に対して僕が発動させた
僕は自分の魔法を遠くから見るとこんな感じなのかと感心していたら、後ろの方からチッという舌打ちが聞こえた。振り向くと、細かいところはボヤけてわからないけど豪華そうな部屋が広がっていて、さっきの舌打ちは部屋の真ん中にある机を囲んでいる五人の内の誰かがしたみたいだ。…………うーん、影絵みたいな見た目だから人相とかはわからないな。
『おのれ、またしても我らの邪魔をするか』
『これまでが順調すぎたと言えば、それまでだが…………ここに来て防がれ続けるのは、なぜだ?』
『そんな事はどうでも良いわ‼︎ 早急にこの世界を侵食せねばならんのだぞ‼︎ 攻め手を増やすしかない‼︎』
『この世界の支配は完全ではないのだ。確固たるものになるまでは暗躍するしかあるまい……』
『そんな悠長な事を言っている場合か‼︎』
間違いなくこいつらは敵だね。会話の内容もそうだけど、声や雰囲気が気持ち悪い。というか、僕が面倒くさい目に会うのは、こいつらが原因みたいだな。どういう奴らかわかったよ。その時が来たら思いっきり全力で潰そう。…………それにしても、なんで僕はこいつらを夢で見てるんだろ? 直接的な接触はないから夢を見ようがない。誰かにこいつらを見させられてる……?
あ、僕がこの夢について考えていたら、また見えている景色がザーッと白黒に乱れ始めた。そして完全に乱れて何も映すものが無くなると辺りが暗くなってくる。…………少し引っ張られる感じもするから目覚めみたいだね。
僕は
「変な夢だった……」
思わず言葉にしてしまうくらい変な夢だったから、こういう夢を見たってラカムタさん達に相談した方が良いのかな? …………特に何かできるわけでもないし、はっきりとした理由がわからないからやめておこう。ただ、僕とあいつらに繋がりができていて、いずれ雌雄を決する事になるかもしれないくらいに軽く考えておくか。いろいろとズレてる僕は変に悩むと良くないからね。さて、起きよう。
…………あれ? ふと周りに意識を向けた時、妙な事に気づいた。なんか空気がピリピリ張りつめてる? リザッバを倒してから
「……は?」
夢とは別な意味で思わず声が出る。予想外過ぎてどう反応したら良いのかわからない。みんなも外にいるから実際に見に行くか。僕は最低限の身支度をして建物から出て
まず一つ目を説明するとリンリーと青のイリュキンと
二つ目は
そして最後の三つ目だけど、ここが一番最悪な事態になる確率が高いね。なぜならにらみ合っているのが、身体中から危険な植物を生やしている機嫌の悪いディグリと僕の姿の
広場の周りで見てるみんなからは何とかした方が良いけれど、できるなら自分からは関与したくないっていう気持ちが伝わってくる。あらかじめ感知していた赤のクトーに青の
…………うーん、二体は僕がすぐそばまでやってきても、まったく相手から視線を外さない。これは話ができるかな?
「ディグリに
「…………」
僕の質問にディグリは答えてくれず、
「このまま何も答えてくれないと僕が勝手に
「…………」
「…………答えてくれない?」
「…………」
「はあ……」
本当に何も答えてくれないから仕方がないと割り切り、
「…………デス」
「え?」
「アノモノガ貴方ノ姿ヲシテイルカラデス‼︎」
「確かに見た目が同じだとややこしいけど、そこまで怒る事?」
「貴方ノ姿ハ貴方ダケノモノデス‼︎ 緊急時ハ許セテモ日常デハ許セマセン‼︎」
「ディグリは何でそこまでこだわるの?」
「貴方ハ私ニ、コノ姿ヲ得ル機会ヲクレタ方デ、イワバ私ニトッテノ親ノヨウナ存在デス。ソンナ存在ヲ軽々シク扱ウノハ私ガ許サナイ‼︎」
ディグリが自分の思いを吐露すると、その思いの強さを表すように身体が攻撃的に変形していく。それを見た
…………どっちの意見も僕が軸というか原因になってる。僕がいくら気にしないって言っても、二体のこだわりというか覚悟がかたまってるからお互いに譲れないんだね。うーん、このままだと最悪
「ねえ、ディグリ、確認だけど
「ハイ、ソウデス」
「わかった。
「それじゃあ
「ハ?」
僕の発言にディグリと
「
「いつも僕と同じ姿の
「ツマリ、イザトイウ時ハ、コノモノガ白クナリ貴方ト入レ替ワルトイウ事デスネ」
「うん。擬態能力はすごい武器だから生かしたいんだ。黒に隠れてくれない?」
完全に屁理屈な説明を終えてディグリと
なんとか三つの内の一つを鎮める事ができて良かった。ただ、ディグリと
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◎後書き
最後まで読んでいただきありがとうございます。
注意はしていますが誤字・脱字がありましたら教えてもらえるとうれしいです。
感想・評価・レビューもお待ちしています。
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