青の村にて 異常な内部と取引
おっ、ようやく口の中を歩ききって喉の入り口に着いた。それでその喉の入り口から食道を覗き込んでも出口である胃は見えない。魚ってそこまで食道が長くないと思ってたんだけど、
……やっぱり身体の中って色んな音がするんだな。心臓の鼓動に、血液が流れるザーっていう音、呼吸音、明らかに弱ってても生きてる命の音がする。前世の僕の死ぬ間際の僕の命の音はどんな音だったんだろう? 今の僕の命の音はどうだろう? 今は生きてるって思えるから、きっと良い音になってるって思いたい。
そんな事を考えながら
「これはひどいというか異常としか言えないな……」
僕は胃の中を一目見て思わずつぶやいてしまった。いや、僕じゃなくても
「ここまで岩石とか鉱物を溜め込んでたら、いくら身体の大きな
それで大量の岩石と鉱物でパンパンになっている胃の状態はといえば、血の匂いがするから同調で確認するまでもなく胃壁全体に傷が無数にできているみたい。でも同調で詳しく確認しても破れてる部分がないのは不幸中の幸いだ。ただ、この大量の岩石と鉱物を除去しないと胃壁の治療ができない事は問題だね。それに大量の岩石と鉱物でパンパンに膨らんだ胃のせいで他の内臓の圧迫してるみたいだし、まずは運び出しからか。
「
僕は身体を魔力で強化して近くにあった手頃な大きさの岩石を抱えた。
僕が
「ヤート、
「え?」
ラカムタさんがいつのまにか僕の隣に立っていて、ヌイジュの方を見たら直前まで戦っていたラカムタさんがいなくなったせいで右手を突き出そうとした中途半端な体勢で固まっていた。
「ヤート?」
「あ、うん、まだ治療はできてない」
「なんでだ?」
「今、僕が持ってるみたいな岩石や鉱物が
僕が言うと広場にいたみんながサーッと青ざめた雰囲気になってる中、ハインネルフさんが近づいてくる。
「ヤート殿が抱えてるものを見せてもらいたい」
「はい」
僕がハインネルフさんに持っていた岩石を渡すとハインネルフさんは岩石をじっと見た後、僕に聞いてきた。
「……これは
「そう、全部外に出せれば胃壁の治療もできるし他の内臓への圧迫もなくなるよ」
「わかった。皆のもの聞いていたな!! 静かに素早く
「「「「「おう!!」」」」」
「僕の
青の大人達が僕にうなずいて次々と
「手伝ってくれないの?」
「なぜ俺が貴様に力を貸す必要がある!?」
「
「なっ!! それは……」
「うーん……条件をつけたら手伝ってくれる?」
「条件だと?」
「
「ヤート!! 変な事を言うんじゃねえ!!」
僕とヌイジュのやり取りを見ていた兄さんが叫んだ。僕としては一人でも多くの運び手がほしいし真っ当な取引だと思うんだけど変な事かな?
「……どういうつもりだ?」
「今の僕にとっては
「…………やはり貴様は異常者だ」
「そうかもね。それで手伝ってくれるの?」
「……チッ」
ヌイジュは舌打ちした後に
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◎後書き
最後まで読んでいただきありがとうございます。
注意はしていますが誤字・脱字がありましたら教えてもらえるとうれしいです。
感想・評価・レビューをお待ちしています。
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