青の村への旅にて 兄さんの行動と釣り上げ
河辺での一騒動から大河に沿っての移動を始めてしばらく経った。僕は
「ドウカサレマシタカ?」
「前に
「エエ、コノ方ガ私ニハ楽デスネ」
「ディグリは全身植物だから、そうなるか」
「ハイ」
今のディグリがどんな方法でみんなと並走してるかと言えば、上半身は人型のまま動かさず下半身を蛇のように伸ばし左右に高速で蛇行させて前に進んでいる。しかも、他のみんなは河沿いとはいえ地形によって飛び越えたり飛び降りたりと上下動があるけど、ディグリはみんなよりはるかに上下動が少なくスルスル滑るように移動していた。
「良ケレバ私ノ身体ニ乗ッテミマスカ?」
「ブオ!!」
「イケマセンカ?」
「ガア!!」
「フム、今ハ良イデショウ。デスガ、無様ナ事ニナレバ私ガソノ背ニ乗セル役目ヲイタダキマス」
「ブオ」
「ガ」
「絶対ニアリエナイデスカ……、私は何度カ、アナタ方ノ無様ナ様子ヲ見タ事ガアリマスヨ?」
「「…………」」
「何カ?」
高速で移動しながらのにらみ合いはやめてほしい。
「
「ブ、ブオ……」
「大人気アリマセンデシタ。スミマセン」
「ありがとう」
ドバーーーン!!!
にらみ合いが終わり、ホッとしたのも束の間、横の大河からかなり巨大な物体が水面を割って飛び出てきた。……水面から鋭い牙をむき出しにして口を開けている姿は前世でいうワニにそっくりだね。突然の事態に全員が河沿いから飛び退き戦闘態勢になった。
「あれは
「姫さま、河沿いから離れて移動しましょう」
「そうだね。あの魔獣は陸地での動きは鈍いから、タキタの言う通り大河から離れるとしよう。みんな行く「飯だーーーー!!!!
「ちょっと、ガル!!」
イリュキンが号令を言おうとした時に、兄さんが大河の水面から出ている巨大なワニみたいな魔獣に向かって弾丸のような速さで跳んでいき、ワニみたいな魔獣が反応する前に
「まったくガルったら食い意地を張りすぎよ」
「ガル君らしいですね」
「あとで説教だ」
「あそこまで堂々と動かれたら、いっそ清々しいから不思議だね」
「ふむ、見事な動きですな」
みんなが兄さんの行動にいろんな反応をする中、かなり無茶な動きだったし勢いがなくなって兄さんは河に落ちた。その様子を見ていた僕は気になった事をつぶやく。
「兄さんって泳げた?」
「「「あっ」」」
「ガボッ、ゴボッ、ガハッ」
完全に兄さんは溺れてる。
「ディグリ、兄さんを河から助けて」
「オマカセヲ」
僕が頼むとディグリは腕の形にまとめてる蔓を解き兄さんに向かって伸ばしていく。少し離れてたけどディグリの蔓はすぐに届いてしっかりと兄さんの身体に絡みついた後、ディグリは兄さんをグンっと釣り上げた。うん、良い感じに兄さんがこっちに飛んでくる。
「
「ガア」
僕が言うと
「兄さん、大丈夫?」
「ハァハァ、ゲホッ。お、おう、大丈夫だ。ディグリに
「ゴ無事デ何ヨリデス」
「ガ」
「そうだ!! 飯は!?」
「……言う事はそれだけか?」
「おっさん……これは、イデデデデ」
いつのまにかラカムタさんが兄さんの隣に立っていて、険しい顔で兄さんを見下ろしていた。さすがに兄さんもまずいと思ったのか慌てて何かを言おうとしたけど、ラカムタさんがその前に兄さんの頭をガシッと頭をつかむ。……兄さんは乱闘の時もラカムタさんに頭をつかまれてたけど大丈夫かな? まあ、兄さんの行動は不用心すぎるからしかたないといえばしかたないよね。
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◎後書き
最後まで読んでいただきありがとうございます。
注意はしていますが誤字・脱字がありましたら教えてもらえるとうれしいです。
感想・評価・レビューなどもお待ちしています。
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