赤の山にて 暴走した青と冷静な白
「クソガアアアア!!!!」
僕と
「
僕がつぶやくと周りの植物が再びヌイジュを絡めとろうと伸びていく。でも、さっきと同じにはならなかった。
「ジャマダあああアアア!!!!」
ヌイジュに多くの植物が絡みつこうとした瞬間にヌイジュが叫んだら、ヌイジュの身体から水が棘状に飛び出した。走ってる
「
僕が腰にいくつかある小袋の一つに魔力を通すと、小袋から薄っすら白い靄が出始めその靄がヌイジュに纏わり付いていく。
僕が魔力を通したのは僕が集めて乾燥させた地衣類の塊。相手が水を使うなら地衣類ほど相性の良いものはいなくて、薄い水の膜で覆われているヌイジュの身体の表面は胞子が着床して育つのに良い環境だ。身体の表面で成長するという事は身体を包み込むって事で、身体を包み込むって事は動きの邪魔をするって事だ。
「ガッ!!!! …………ク……ソガ」
おおー、予想通り派手に転んだ。しかも転んだ際に近くの樹木に頭からぶつかった。うん、あれは痛い。……おっ、どうやら頭をぶつけたせいでグラついている。攻めるなら今だね。
「降りるよ」
「ブ」
「
着地と同時に種を埋め急成長させて種を射つ。ヌイジュは体勢を崩してるしグラついてるから、これは確実に当たると思ったら当たらなかった。たぶん勘とか本能で動いたんだろうけど、まさか自分に
「……ろす、こ……、ころすコロスこロすコろス…………コロシテヤル!!!!」
やっぱり
カシュン!!!!
ヌイジュの口から、透明の管が瞬時に伸びてきて一瞬前まで僕の頭があった場所を貫く。危ないな。あれは当たったら死ぬ奴だ。
「僕の事が気に入らないのはわかるけど、
「ハァ、ハァハァ……、ダ……マレ、ギザマハ……ガナラズコロス」
「……お前が構わないなら、それで良いんだけど
「ダマレ!!!!」
「わかった。好きにすれば良い」
「ダマレェェェェ!!!!」
カシュン、カシュン、カシュン。ヌイジュが口から僕に向けて透明の管が伸びる度に管が樹木を苦も無く貫いていく。予想通り当たればケガじゃすまないな。一回目を避けといて良かった。
ちなみに
ヌイジュの
カシュンカシュンカシュシュン、カシュン。
僕を貫こうと何度も何度も
「クソオオオヲヲヲ!!!」
当たらない事にイラついてる。まあ、気に入らない奴を倒せないから当然か。うーん、当たらない理由を説明するべきかな。このまま続けて使ってると、まずい事になるんだよね。よし、一応説明しておこう。
「お前の
「ダマレ!!」
「理由を説明すると……」
「ダマレダマレ!!!!」
カシュン。僕の胸を狙った
「クッ!! ……ガハッ、ゴホッ」
「当たらない理由の一つ目は、お前の
カシュン、カシュン。僕は避けながら説明を始めた。
「基本的に
カシュンカシュンカシュンカシュンカシュンカシュンカシュンカシュン。おっと、数で押してきたか。……これくらいなら判断を間違えなかったら大丈夫だ。
「理由の二つ目は、
「バカナ……」
「信じれないなら続ければ?」
当たらない事実に愕然としているヌイジュに向かって近づき始めた。それを見たヌイジュは一瞬驚いた顔をするが、すぐに怒りと憎しみと少しの困惑が混ざった顔になり、また何度も
顔に放たれたものは首を傾ける事で、胸に放たれたものは斜め前に身体を倒したり横に跳ぶ事で、足に放たれたものは斜め後ろに跳ぶ事で絶対に止まらないようにして避けていった。……何回放ったか数えてないけど、これだけの連発できるのはさすがとしか言い様がない。でも……もう終わりだな。
「ねえ、自分の身体の状態に気づいてる?」
「ナン……、グガッ、ウグゥ、ゲボ」
僕が声をかけると同時に、ヌイジュは胸を押さえて苦しみだした。
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◎後書き
最後まで読んでいただきありがとうございます。
注意はしていますが誤字・脱字がありましたら教えてもらえるとうれしいです。
感想・評価・レビューなどもお待ちしています。
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