赤の山にて 青の護衛と白の魔法
「僕の魔法は「同調」を基本としている……か。なんで、そう思ったの?」
「君が明らかに
「そんな事が理由になる?」
「ああ、十分になるよ。自分とは異なるものと意思疎通をする場合、何かしらの方法なり要因なりが必要になる。例えば「念話」、「魔力の相性の良さ」、そして「同調」だ」
「それだと他の可能性も出てくるよ?」
「いいや君は間違いなく同調」だよ。まず「念話」は基本的に自分からの一方通行で、
どうかなって僕に確認してくる割に、イリュキンの声は確信に満ちていた。
「まあ、正解かな。ただ、僕の同調はそこまですごいものじゃない。お互いがこんな感じの事を言ってるってわかるくらいで、同族になるなんてほど遠いよ」
「それでも構わない。そもそも同調できるもの自体が少ないから、その同調が使える魔法使いから話を聞けるだけで十分価値がある」
「なんと言うか物好きだね。……まあ良いか。それで僕の魔法の何が聞きたい?」
「教えてもらえるなら、どんな事でも構わない」
僕を見てくるイリュキンの本当に真剣な表情が悩みの深さを表してるな。
「……僕の
「かなり対象となる範囲が広い。…………つまり君は植物と協力できるという事か」
「簡単に言えばそういう事。まあ、いろいろ条件はあるけどね」
「それはどうい……、いや、すまない。弱点や条件は、軽々しく聞いて良い内容じゃなかった」
「その辺は当然答えたくない」
「すまない。ただ同調については……」
「……僕のは説明が難しい」
「何が難しいんだい?」
「僕の同調は、これって言う手順がない」
「手順がない?」
「他の同調は知らないけど僕の同調に関してはないね。強いて言うなら、それなりの時間を対象といっしょに過ごしてたり触ってたら、いつの間にか同調できてる感じ」
「へえ、かなり感覚的なものなんだね……」
僕のあいまいな同調の説明を聞いてイリュキンは感心しながら何かを考えるように顎に手を当てていた。
「黒の村の周りにあった植物を触ってたら、いつの間にかできるようになってたよ」
「……同調を欠片でも良いから感じたかったんだけど、さすがに虫が良すぎたか」
「それなら僕と手をつないでみる?」
「えっ?」
「この散歩で、イリュキンとしばらくいっしょにいたから同調できてるかと思ったけどダメだった。今までの僕の経験から対象に触ってた方が同調できるまでの時間が短いから、手をつなぐと早く同調できると思うけどどうする?」
僕がイリュキンに接触による同調を提案したら、また離れた場所からガサゴソと音が聞こえてきた。そういえば僕とイリュキンがさっきから、何かしようとする度に音がする。…………うっとうしいから撃つか。
「
「なっ!! ちょ……まっ」
なんかイリュキンが僕を止めようとしてるけど関係ない。とりあえず撃つ。僕が
「イリュキン」
「なっ、なんだい?」
「いつの間にか囲まれてる。うっとうしいから仕留める。
小袋から取り出した真っ赤な実に魔力を通してつぶやくと、その実から大量の真っ赤な霧を発生して僕の周りを埋め尽くしていった。そして僕がパチンと指を鳴らすと、真っ赤な霧がまるで意思を持っているかのように周りの気配に向かっていく。そして僕らを囲んでいた奴らの「ゲハッ」や「グ……ガ」と言ったうめき声が聞こえてくる。……何か忘れてるような? なんだろ?
「ブ……」
「あっ、ゴメン。思いっきり巻き込んだ」
「すぐに治すから耐えて。
今度は腰の小袋から取り出した青い実に魔力を通してつぶやく。すると青い実が液体状になって僕の掌の上に浮かぶ。
「ほら、これ飲んで」
「ブ……ォ……」
真っ青な液体を見て
「ブオ」
「良かった。ちゃんと効いた」
「ブ?」
「あの青い実の効果は知ってるけど、使うのが初めてだから、ちょっと不安だった」
「ブ!!」
「イラッとしてたとはいえ、巻き込んでごめん」
「ブオ」
「反省してる。以後気を付けるよ」
「君は何を考えてるんだ!!」
僕が
「どうかした?」
「どうかしたじゃない!! なぜ、いきなり魔法を発動させたんだ!!」
「なぜって、僕の知らない内に尾行されて囲まれてたからだけど?」
「……そうか、言わなかった私が悪かった」
「イリュキンの仲間?」
「そうだ。さっき言ったけど
「大事にされてるんだね」
「……護衛の存在を言わなかった謝罪は後でいくらでもするから、その
「ああ、そうだった。ごめん、直ぐにやる。
再び腰の小袋から青い実を取り出してから真っ青な霧を発生させたら、うめき声のしている方へ流していった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
◎後書き
最後まで読んでいただきありがとうございます。
注意はしていますが誤字・脱字がありましたら教えてもらえるとうれしいです。
感想・評価・レビューなどもお待ちしています。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます