ネムレナイ夜の、自分と対談

第1話 俺と僕

それにしても、なんやろかね。

いつのまにか34歳やで。

今まで何してきたかって話やで。

いやいや、何してきたかって、色々してきたやん。

ちゃうやん、そういう意味じゃないやん。

そら、色々してきたよ。

酸素吸って二酸化炭素吐いてるだけやないよ。

まあ、食って、寝て、遊んで、セックスして、喧嘩して、他にも色々してきたよな。

何したかって、色々しとるやないか。

あんな、言いたいこと、ほんまに分からん？

今まで何してきてんやろってさ、「ロクでもない人生歩んできて、しょうもないことしかしてないなあっていう比喩やん」

お前はいつもそうやってネガティバーになる。

だから不眠症で鬱病やねん。

もっとポジティバーにならなあかんで。

そない言うてもやな、34歳の今の俺、見てや。ロクでもないやん。

仕事もほとんどやらないニートで、未だに地に足がつかず、自分がそんじょそこらの凡人ではない、何者かと信じてる、誇大化した自己顕示欲だけは一人前で、そのくせ、努力はロクにせずに、目先の欲に捕らわれて、なーんにも、なーんにも成功してへんで。

しっかりと地に足がついてたらさ、自分が凡人かしっかり理解してたらさ、Facebookでたまに見る同級生たちのように、サラリーマンなって、結婚して、苦労も多いけど、それなりに、人並みの生活出来てたやろうなあ。

はあ。タメ息しか出ん。タメ息しかでんわ。

あのさ、お前さ、それでも、まだ諦めてないんやろ？

ポジティバーに考えろっていつも言ってるやろ。

子供の頃、みんなさ、サッカー選手になるだ、野球選手になるだ、IT社長になるだ、どでかい夢を持ってたけど、奴らは諦めたんや。

自分の身の程をわきまえたと言えば聞こえは良く、賢く聞こえるかもしれんけど、要するにそれは諦めたのと変わらん。

お前はまだ、諦めてないんやろ？

「凡人」と身の程をわきまえて、地に足をついて、下を見ながら這いつくばって生きてるわけちゃうやろ。

お前はまだ、自分を諦めてない。

自分が何者であるかを信じてやまない。

それって、素敵やん？

諦めるなんて死ぬまですんな。

諦めるなんて、つまらん人生送ってないお前は、勝ち組や。例え、社会から見たら負け組かもしれんけど、でも、重要なのは、人生に重要なのは、己を貫き通すことや。

ええやないか。ビックバンのごとくの自己顕示欲。

その自己顕示欲のでかさは天才の証かもしれんぞ。

お前、相変わらず言うこと言うよな。

さすが俺やわ。

うん、俺は、諦めん。

俺は、ビッグになるか、底辺になるか、どっちかでいい。

生ぬるいのはごめんやで。

やったろやないか。

俺を馬鹿にしてきたやつに、社会不適応者の俺が、奴らに一泡吹かせたろやないか。