第04話 魔王の子ども

「じゃあ、使うよ」

今、5年分も成長させられるというチート強化アイテムを麻央まおに飲ませている。


━━━━━━━━数分後

「みゅ?だ、誰??」

5年分の成長が数分で起きたわけだけど、普通に見たら、ス〇〇ーメ〇〇イドのクリ〇〇ルフ○○シュみたいだったな。え?例えが分かりにくいって?ネットに聞いてみ。隠し方が下手なのは気にしたら負け。

「パパ?」

「パパだってwww」

小声でかれんが笑っている。俺がパパだとそんなにおかしいか?まぁ、自分でも父親と言われるような気はしないけど。

「お姉ちゃん?」

「お、おね、おね、お姉ちゃん!?」

ニーナは一人っ子だったのか?やけにうれしそうだな。



━━━━━━━━━━━━━━━━

 あれから色々あって、かれんと麻央はとりあえず麻央の服を買うために外に行った。なので、今はニーナと2人である。

「ニーナ、1つ聞きたいことがあるんだがいいか?」

「いいよ、なーに?」

「今日出会ったばかりの俺をどうしてそんなに慕うんだ?怪しまないのか?」

「何言ってるのお兄ちゃん」

クスクスと笑いながらまさかの返答がきた。

「覚えてない?ニーナね、ルファだよ」

「え????」

思考が停止した。

「シュビリア・ルファ・ニーナ。これがニーナの名前だよ」

ちょっとまって、え、待って待って。ルファって、魔王倒す前にほんの少しの間一緒に行動していた小さな女の子のは・・・ずっ!?そういえば、声とかが似てるような似てないような・・・。

あ、魔王を倒す前の話はまた別の機会に。

「待ってくれ、え、ニーナが、あのルファ!?あの時の???」

「そうだよ。やっぱり合ってた。あの時は送ってくれてありがと、お兄ちゃん」

やっぱり間違いない。ルファだ。送ったまでは言ってないしな。

 確か、あの日は、森の中のダンジョンから出てきて、街に戻っていた俺は、帰りの途中で、魔物に襲われ、馬車に乗っていた人たちはほぼ全滅、見たところ唯一の生き残りであろう小学生になるかならないかくらいの小さな子が今に魔物に殺されようとしたときに俺がそこを通りかかった。そう、その殺されかけてた小さな子がニーナ(ルファ)だということらしい。その後いろいろあって、しばらく一緒に旅をしたんだっけ。

「ニーナ、まさかあの時のお兄ちゃんが、お兄ちゃんだとは思わなかったよ」

それは、俺もなんだがな。まさか、あのとき救った少女(幼女?)が一国の姫さんだとは思わなかったよ。護衛の人が2、3人ついてたから、貴族の子か何かかと思ってたよ。

「これでまた、お兄ちゃんにはニーナのお家に来てもらわないといけなくなったね。あの時のお礼ともう一つは・・・やっぱりまだ内緒」

えー、ちょっと待って、2つ目気になるじゃん。まさか、怒られたりはしないよね。怒られるようなことした覚えはないんだけd・・・あっ、姫さん誘拐の件!?いや、これはニーナが一緒に行くって言って来たわけだし。あーもう、考えても分かんないから考えないでおこ。

「ちょっと待って、俺はニーナのことをルファと呼んだほうがいいのか?それともニーナのままでいいのか?」

「ニーナのままでいい!」



━━━━━━━━数分後

「ただいまー」

あれから、まぁ、ニーナと思い出話とか世間話とかしてたらかれんと麻央が帰ってきた。

「パパー、これかわいい?」

タタタタと麻央が駆け寄ってきた。もう俺は父親確定なんだな。もういいや。

「おー、可愛いな。かれんに選んでもらったのか?」

「うん」

フリフリのワンピースを着た麻央がくるくる回りながら嬉しそうにしている。

「かれん、お前いい選択するな」

「にはは。やっぱり可愛い子には可愛い服着せなきゃ」

「だな」

「てか、あのアイテムって、言語能力も成長するんだな」

「確かにー」


「そういえば、この後はどうするの?」

「んー、そうだな。もう旅する必要もなくなっしな。とりあえず家でも探すか?」

「そうだn「お兄ちゃん!」

おっと、ニーナどうした??

「ニーナのお家に住んで!」

「いやいやいや、さすがに王城に住まさしてもらうのは····ね。しかも、いきなり行っても迷惑だろ」

「大丈夫!ニーナのお家はね、余ってるお部屋もたくさんあるから、ねっ?迷惑でもないから。お願い」

「大空、行こう、いや、行くべきだよ!それとも、ニーナ様を困らせるつもり?こんな可愛い子と住めるんだよ???あ、大空はニーナって呼んでるけど、私もそれでいい?」

「いい!ニーナのことはニーナって呼んで!」

「んー、そうだな。ニーナ、本当にいいの?」

「だから、ニーナはお兄ちゃん達に来てほしいって言ってるの!」


「じゃあ、いいか、もう。みんなで王城行こう」

ちょうど、地球のものでやってみたかったこともあるし。

「「やったー!」」

えっと、麻央はー、あっ、そもそも話聞いてないみたいだな。俺の膝の上に座ってうとうとと、今にも寝そうになってる。



「荷物はまとめたかー?」

「うん」

「じゃあ行こう【空間操作】」



━━━━━━━━王城

「おかえりなさいませ。ニーナ様」

「ただいまー。あ、そうだ、ニーナのお家にいる人全員集めて!お話があるの!」

「承知しました。では、どこに集めれば良いでしょうか」

「どこでもいい!」

適当だなぁ。

「では、食堂に集めます。勇者御一行様も、そちらに来ていただいて、ついでにお食事でもいかがですか?」

「いいね!行こっ♪お兄ちゃん!」

「私達も行っていいんだよねー?」

「何言ってるの?もちろんだよ」



━━━━━━━━王城 食堂

でかいなぁ。うん、でかいなぁ。いや、ね?大きいだろうなって思ってはいたんだよ。でもこれは予想を超えてきてる。


「ニーナ様。城の者を全員集めました。今から食堂に入れます」

「分かった!」

おっ、入ってくるな。まぁ、1000は余裕で超えてるだろうな。

「ニーナ様、申し訳ありません。食堂なら城の者が全員入ると思いましたが、残り3000名ほどが入れません。庭などに場所を変更しますか」

「お兄ちゃん!あの「にゅっ」ってつなげるやつ、あそこの壁にできない?」

「あぁ、【空間操作】ね、いいよ」

とりあえず外の人たちに聞こえるように繋げて、その後後ろの方の人たちにも聴こえるように繋げて······

「これでいい?」

「ありがとう!お兄ちゃん!」


『みんな!聞こえる?』

あ、みんな敬礼した。

『今からね、とーっても大事な話をするからね。お兄ちゃん達が今日からここに住みます!お兄ちゃん達は、ニーナの命の恩人でもあり、ニーナがs···わー、今のなし。お兄ちゃん達はニーナの命の恩人でもあるから、ニーナと同じように扱ってね』

「ニーナ様、お兄ちゃんとはどなたのことですか?ここに居られる勇者御一行様のことですか?」

確かに【お兄ちゃん】だけじゃわかんないのが普通だよなぁ。俺もニーナの実の兄じゃないし。

『お兄ちゃんはお兄ちゃんだよ!ここにいる、大空お兄ちゃん!みんなも知ってるよね?魔王を倒してくれたゆうしゃしゃみゃっ』

そこで噛むかー。

「承知しました!ニーナ様」

全員が同時にいうとすごい声量になるなぁ。


━━━━━━━━━━━━━━━━

 とりあえず住む予定の部屋に来た。

 って、ここに住むのはいいが、住んだとして何をしよう。

「ねー、大空そら、これから何して暮らす?」

「んー、そのことについては今俺も考えているんだけど全く思いつかない。もう本でも読んで暮らすか?」

「えー、漫画があるならいいけど多分なさそうだし嫌だ」

はは、かれんっぽい返事だな。

「そうだ!たしか大空は地球のことは何でも調べれるんだよね?」

「ん?まぁ調べるには調べれるが・・・」

「それを使って何か作って売ってみようよ!」

それはいい考えだな。今まで自給自足みたいなもんだったし、お金なんてほとんどないしな。ニーナが一国の姫さんで金はたくさんあるだろうけど、全部養ってもらうのも気が引けるしちょうどいいな。

「パパー、なにか作るの?」

「あぁ、俺が住んでいた国のものを作ろうかなって」

「んで、何作るの?」

「そうだな・・・シャーペンとかは?」

「いやいや、さすがにこの世界にもあるでしょ」

いや、ないと思うんだけどなぁ。ニーナにでも聞いてみるか。


「あの、ニーナどこにいるか知りませんか?」

部屋を出てすぐに見かけた人に聞いてみた。

「ニーナ様は、現在会議のお時間になっており、時間を作るのは難しいかと」

「そうでしたか。じゃあ、その会議が終わったらここに呼んでくれませんか」

「わかりました。大空様」

大空様!?いやいや、なんでそうなった。って、あっ、そういや、さっきニーナがニーナと同じように扱えって言ってたからか。

「え、えぇと、じゃあよろしくお願いします」


━━━━━━━━十数分後

「お兄ちゃん、どうしたの?」

あ、ニーナが来た。

「いや、ちょっと聞きたいことがあってね」

「なになに〜?」

「シャーペンって知ってる?」

「シャー・・・ペン?」

ないみたいだな。いや、もしかして名前が違って同じものがあるかもしれないな。

「かれん、シャーペン持ってるか?」

「一本だけだけどあるよー。ほい」

「こんなものだけど」

さあ、この世界にもシャーペンはあるのか???

「これ、どうやって使うの?」

あっ、この世界にはない模様ですね。これは。

「ここをこうして、これで文字を書いてみて」

かれんが教えてる姿見ると、なんか、ちょっとだけ歳のはなれた姉妹みたいだな。

「あっ、文字がかける!すごい!」

「ニーナ、それ、ほしいか?」

「うん!」

「よし、じゃあ、俺が作ってやる。どんなのがいい?」

ニーナが物凄く嬉しそうな顔をしている。シャーペン1つでここまで喜んでくれる子供、日本には多分いないぞ。

「なんでもいい!」

わーお、むずかし。じゃあもうシンプルなやつでいいか。このスマホは『企業秘密?何それ美味しいの?』とでもいうかのようにどんな企業秘密でも国家機密でも見れことができてしまうから、どうせなら、あの"折れにくいシャーペン"を作ってやるか。


「ニーナ、1つお願いなんだけど、これを作るには材料が必要なんだけど、ここに書いているもの、持っていたりする?」

シャーペンに必要なものを書き出したメモを見せながらニーナに聞いた。

「どうだろ・・・ちょっと待ってて!」


「どうしましたか、ニーナ様」

すごいごっつい人来たなぁ。

「この人はね、軍の指揮官だよ」

あー軍の人か。どうりでごっつい体つきなわけ・・・だっ!?なんで軍???

「これ、探してきて!」

「ニーナ様、これは何のメモですか?」

「これの材料だって!」

かれんのシャーペンを指揮官さんに見せた。

「お言葉ですがニーナ様、このような何に使うかもわからないようなものに軍資金、税金を使うのはどうかと思うのですが」

まぁ、当たり前な返答だな。

「でもねっ、でもねっ、これっ、これニーナほしいの・・・」

おいおい、そんなに欲しかったんだ。

・・・しゃーねーな。

「指揮官さん、ちょっといいですか」

「ん?どうした小僧」

「メッ!」

ニーナが入ってきたら話が進みにくいから、麻央にでもあいてしてもらおう。

「これは筆記用具です。ちなみに、現在軍で使用されている筆記用具はどのようなものですか?」

「急にどうした。軍でつかっているものか?軍で使っているものは木や石にもじを逆さにしたものをほってそれを刷ったり、細い鉄の棒の先にインクをつけて書いたりしているぞ」

前者は大量印刷のときかな。今後、プリンターでも作ったらこの人に渡してみよう。どんな反応するかなぁ。

「では、これを使って文字を書いてみてください」

「は?何を言っている。こんなもので文字が書けるわけが・・・ん!?か、書けるぞ!どういうことだ!?小僧、どんなトリックを使った!」

「トリックなんて何もありませんよ。それは、俺の生まれ故郷の筆記用具です。ちょっと手のひらにちょんとやってみてください」

「は?そんなことになんの意味が?手のひらにインクがつくだけだろ。実は

これはあの鉄の棒を使いやすくしただけのものだろ」

「いいからいいから」

てか、鉄の棒に正式名称ないのかよ。

「はー、ほら、こうやってインクがつくだけ・・・つかないぃ!?」

「どうですか、鉄の棒ななら、インクも用意しないといけないでしょう。ですが、それは芯がなくなるまでは単体で書き放題です。どうです?」

「おい・・・小僧・・・これは何というものだ?」

「シャープペンシルです。でも大体みんなこれを呼ぶときはシャーペンと呼んでいますよ」

「よしわかった。最優先でこの材料を探してきてやる。探してきてやるから俺にも1本いや、10本と軍員全員分くれ。金は払う。いいか?」

「えっ、軍員は何人いますか?」

ちょっと待って、絶対多すぎるって。

「そうだな、ざっと30万くらいか?」

おいおいおいおいおいおいおいおいおい、多すぎるよ。

「心配するな、作ってくれるのならここに書いてあるものの30万倍の量を持ってこればいいのだろう?俺は、新しいものに目がなく、この国や周辺の国にあるものはすべて知り尽くしている。その俺が全く見たことも聞いたこともない新しいものがあるんだ。全力で最優先で探してきてやる。いいだろ?」

あれっ、いつの間にかこっちがお願いされている側になっているんだけど。

「はー、30万個か、仕方ない、作りますよ。ですので材料お願いします」

ここで今更ながら思ったけど、自分たちで取りに行けばよかったのでは?軍に頼むってことは城内にはないってことだろうし。まぁいいか。


「ニーナ、指揮官さんが材料を探してきてくれるって」

「ほんと!説得してくれてありがとうお兄ちゃん」

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