小説は懐中電灯。
木沢 真流
小説は——。
小説は面白くない
正直、小説にはうんざりだ。
なんであんな大量の活字を読まなくちゃいけないんだ。
せめてマンガにしてくれないか、マンガなら主人公、光景を目で見てすぐわかるし、文字を読む重荷も少ない。
どうせだったら、映像がいい。
レンタルショップで借りた2時間映画だったら、ソファに横になって何か食べながらぼーっと眺めていれば、いつのまにか内容を楽しめる。
それに引き換え、小説ってのはどうだ。
ひたすら文字を読み続ける、これのどこが面白いっていうんだ。
ただ字を眺めたって、美女は現れない、迫力のある戦闘シーンはその振動を伝えない。
きっと小説なんてものは、いわゆる化石となった娯楽。はるか昔にCGもなければ音声を発する機械も無い時代、仕方なく発案されたエンターテインメントに違いない。
じゃあなんでそんな古びて黄ばみきった娯楽が、今でも沢山の人を惹きつけてやまないのだろうか。
どうして「本屋」というところには山のように本が積まれていて、さらにはその魅力に取り憑かれ、人生を投げ打つ者がいるのだろうか?
その答えの一つがここにある。
このページの最後、その一行に全て込められている。
そもそもここに書いた気持ちというのは何を隠そう数年前の私の心の声そのものだ。何故こうも文字嫌い、楽なこと大好き、映像大好きだった私が、今こうやって活字の美しさ、文章に魂を吹き込む魔術、そしてその活字で綴られる世界の素晴らしさを語ることになったのだろうか。
それは次の事実を知ったからに他ならない。それは——
小説は懐中電灯。
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