キリン

camel

1-キリンと私

 家に帰ると、キリンがいた。あの首の長い、背の高い動物が私の家で脚を広げ、天井に頭を打たないようにしていた。

「辛くないですか」

「ツライです」


 聞きたいことは山程あるが、首の調子を聞いていた。キリンは人の言葉を喋り、首の調子を訴えた。何もかもが理解を越えている。


「外に出ませんか」

「出たいです」


 成程、キリンも困っている。脚が震えているようにも見える。しかし、彼はマンションの扉を出られるのか、エレベーターに乗ることはできるのか。苦し紛れに提案することしかできなかった。


「ベランダに首だけ出してみてはいかがでしょう」

「そうですね」


 キリンはそわそわしつつ、移動した。ベランダのガラス戸を開けてやると、長い首が外に出た。青空にキリン。綺麗だが、異質なことに変わりはない。解決策が見出だせぬまま、私はキリンの背中を見ていた。

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