第16話 転生の三人
背の低い玄関扉を潜ると、別の世界だった。
匂いも嗅いだことの無い香りが充満していて、森の木々みたいに所狭しと置かれた沢山の棚。中身も本を中心に、不思議な道具や器具が突っ込まれた木箱など、とりとめもない。
でも、不自然なくらい綺麗で、埃一つ無い。
「この本棚の奥にソファーがあるから座っててヨ」
案内されたそこは、いりくんで置かれた本棚の先にあった。
「ちょっとした迷路みたい」
ソファーは革張りの二人がけのものが斜め気味に向かい合わせに配置されていた。
「その都度、作業する場所替えててネ、手の届く範囲に色々配置してたら、気付いたらこうなってたヨ」
ルノみたいだなと思いつつ、ソファーに腰かけ辺りを見回す。
かといって、床に何かが置きっ放しということはないようだ。
家では、ルノが散らかしたあとをチコが片付けて回ってたりするのだけど。
「そういやヴァスカルカ、聞きたいんだけどさ」
おそらくキッチンへ向かったヴァスカルカに、僕は少し声を張り上げた。
「なんじゃらー」
「父さんとはどういう関係なの?」
返事が返ってくる前に、彼が戻ってきた。
木のトレーには木のカップが二つと、鉄製のティーポットみたいな形をしたものが乗っている。
ヴァスカルカはトレーを歪な形の木のテーブルに置きながら言う。
「ネルザールとは、あの子が子供の頃からの付き合いヨ。ワタシがこの森に入ったときにばったり会ったのヨ」
「ずいぶん前だね。ヴァスカルカは何歳なの?」
「いくつだったかなー。たぶん百六十歳くらいだと思うのヨ」
「えっ、ゴブリンって長寿なんだ」
「んにゃ。まちまちヨ。ワタシが特別長生きなのだヨ。それでなのだ。ネルザールは妹を連れていてナ、その子が毒蛇に咬まれてしもてたのヨ」
それって母さん……、だよな。
「ワタシはあての無い旅の錬金術師だったのだヨ。毒蛇の毒くらい〝ごぶぶのごーぶ〟なのだヨ。そんでネ、二人に懐かれたのだヨ。旅にも疲れてきてたし、ここにひっそり住むことにしたのだネ」
「なるほど……って、ごぶぶ?」
「人間語で〝ちょちょいのちょい〟みたいな感じなのだヨ」
「う、うん。あのさ、その妹って……」
ここまで言って、僕の素性は隠しておかなければならなかったことを思い出した。村人達は知ってはいるけど、無闇矢鱈に言いふらすことは出来ないし、したくもない。
けれど、
「そうだヨ。ノアールの母親なのだヨ」
「え、やっぱ僕の産まれ、知ってたんだ?」
「もちろんなのヨ。ノアールの葬式のときの人形は、ワタシが作ったのだヨ。そんなことをネルザールが頼める相手は限られているのだヨ」
「そうだったんだ。ヴァスカルカは全部知ってるからこそ、父さんは君を頼ったんだね」
うんむ、と頷きながら、ヴァスカルカがポットのお茶をカップに注いでくれた。
キッチンでお湯を沸かしていた素振りも時間も無かったし、このポット自体がお湯を作ることのできる魔道具なのかもしれない。
「そうだネ」
と言った彼の顔に、僅かだけど影が差した。けれど、すぐに僕を見てはにかむ。愛嬌のある人懐っこい表情だった。
「ちょっとあの子の事、思い出しちゃったヨ」
「母さんのこと?」
「そうだヨ。いろいろお話しようカ?」
「うん、聞きたい」
ヴァスカルカが煎れてくれたお茶は、母さんが好きだった紅茶だった。
僕は熱いお茶を少しずつ口に含みながら、彼の話に耳を傾けた。
※
「じゃあ母さんって真位の炎魔法も使えたんだ」
この世界には、魔法難易度ごとに序列名がある。
現時点での最高到達点が〝神域〟次点で超位、以下は、真位、導位、上級、中級、初級となる。
真位の魔法使いとなると、それこそ戦争では英雄クラスらしい。
何気なく「火魔法が得意なのよ」と言った母さんの実力を、こんなところで知らされるとは思ってもいなかったし、それに、自分のことみたいに嬉しくなった。
「そうだヨ。教えていたワタシも、生徒の出来が良くて楽しかったヨ。ワタシの元で導位の魔法を習得してネ、ロンサール魔導学院へ行って真位になったのだヨ。
でも魔術や錬金術はあまり興味がなさそうで、ワタシの本分だったから少しがっかりだったのだヨ」
「錬金術って、金属を作ったり、薬品を作ったりするんだよね」
「実利ではそうネ。インゴットの作成なんかも、鍛冶師より錬金術師の方が上手な場合も多々あるネ。でもネ」
と、ヴァスカルカは一呼吸置いて、ソファーから少し身を乗り出させた。
「錬金術師としてのワタシの研究はネ、命の〝創造〟から繋がる、ユグドラシルそのものなのだヨ。
ちなみに命とは、魂と肉体が合わさった生命体のことヨ」
「生命体を造る……、そんなこと出来るの?」
「器、すなわち身体だけならネ、簡易てきな物なら簡単ヨ。あ、葬式のノアール人形は偽装に凝ったから魂の器としては使えないけどネ。それでネ、その器に魂を定着させるのが難しいのヨ。
魂はユグドラシルが管理していると言われているの。その魂を人為的に、人工物へ組み込むことで、ユグドラシルの事を少しでも知ることができたら良いナ、と、ワタシは考えているのだヨ」
何とも難解な話だったけど、面白いと僕は思った。
それに、
「ユグドラシル……、世界樹とか言われている大樹……、あと数年後には見られるんだ。そういえば僕らフォーサイスにあるロンサール魔導学院へ進学希望なんだ」
言うなり、ヴァスカルカが目を輝かせた。
「ほっ! ロンサールは良いらしいぞぉ。さっきも言ったけどネ、あの子もロンサールで成長して帰ってきたヨ。
それにネ、近くに〝あいつ〟もいるのだヨ。いろいろ学べるチャンスなのだヨ。気に入られれば……だけどネ」
「あいつって誰?」
「ノアールは見たことないカ? ルルノル族」
「本でしかない。まだ村から出たことないんだ」
成人しても小さな種族だ。
「そうかそうか。ルルノル族はネ、大人でもお人形ちゃんみたいに可愛いのだヨ。そしてネ、種族的にも魔力総量が高くてネ、魔法や魔術が得意なのが特徴だヨ。
ワタシが言った〝あいつ〟はネ、そんなルルノル族の中でもネ、魔導の頂点なのだヨ。名前は大魔導師ルル・ダイアンサスだヨ」
「魔法や魔術は分るけど、〝魔導〟って? 魔法使いや魔術師は聞いたことあるけど魔導師は初めて聞いた。そういえば学院名も魔導学院だし」
「魔導師は、全属性の魔法と魔術の両方を〝導位〟まで修めた者だけが名乗ることを許される、いわば〝称号〟だネ。多分まだ十人もいないと思うヨ。
ちなみにネ、〝大魔導師〟なんて称号は無かったのヨ。ルルがネ、魔法も魔術も〝神域〟まで極めちゃった所謂バケモノだから、回りが勝手にそう言い出しただけなのだヨ」
「バケモノ……」
うん、そうヨ……。と呟いたヴァスカルカが、遠い目をしだした。
「まぁあいつは〝二つ名〟が示す通り、違う意味でもバケモノなのだけどネ……。おっと、これ以上は言ってはだめネ。ワタシ殺される。姉弟子の言いつけは絶対なのヨ」
大魔導師についてやたらと親しげに話すと思ったら、姉弟弟子の関係だったのかと納得した。
とりあえず、ヴァスカルカの姉弟子であり大魔導師と言われる女性が、とんでもない人物だということはわかった。
フォーサイスへ行ったら会ってみたい。
「あ、そうそう。ルルはネ、チェコートの師匠でもあるのだヨ。知ってた?」
「えっ! 入学試験の前に、チコの師匠に会う予定なんだ。僕の魔法の事を知りたくって」
「おうわー! そうなのかっ。それはそれは……」
哀れみの目で見られている気がする。
「んお? ノアールの魔法のことってなんだネ?」
尋ねられ、逆に、博識な彼ならわかるかもという希望を抱きつつ、僕はこれまでに抱いていた疑問をゆっくりと振り返りながらヴァスカルカに伝えていく。
伝えながら、実際魔法を実演したりもしてみた。
「ふむむー。チェコートが一時期ここに通って本を読み漁ってたのネ」
「それきっと僕の魔法について調べてくれてたときかも」
「なるほどネ。チェコートの言う通り、ルルくらいしか答えを出せないかもだネ。というか、ルルでも知っているかわからないヨ。
〝
「さっき言ってた魂と肉体をくっつけて、ユグドラシルのことを知るってやつ?」
「そうだヨ。現時点で分っていることがあってネ。死んだ肉体から抜けた魂はユグドラシルへ還るの。そしてまた、新たな器に宿ってネ、別の生を受けるのだヨ。これをネ、ユグドラシルによる〝魂の循環〟と言うのヨ。
当然新しい命には、前世の記憶も能力も宿ってないのネ」
前世の記憶……。
その言葉に心臓が強く脈打った。
「ワタシたち知的生物ですら到達不可能と言われている高みに、ユグドラシルは存在するのヨ。ただネ、〝竜の子〟という例外を除いては……だけどネ」
「例外?」
「そうヨ。竜の子の誰かが使ったと言われる魔法があるの。魔法区分は当然精霊魔法じゃないヨ。もしかたしたら、
その魔法の名をネ《
転生魔法。
要するに、ユグドラシルを介さず魂の転生を意図的に行うことができる、そういう魔法なのだろうか。
「それでネ、ここが大事。ユグドラシルの魂の循環では、記憶も能力も引き継がれないのだけどネ。転生魔法では〝能力の引き継ぎが可能〟だというのだヨ」
「記憶は、引き継がれないんだ?」
「そうだネ。そう書いてあるヨ」
書いてあるって、文献かなにかがあるのだろうか。
「ユグドラシルのことを知るためのワタシの研究はネ、その転生魔法を魔術に落し込み、
部屋の奥の方で「モッ、モッ」という声がした。
がさごそと音がしたあと、ぺったんぺったんという奇妙な足音が近づいてくる。
僕の目の前で、ヴァスカルカに本を手渡したそいつは、身長が五十センチ程の白くてのっぺりもふもふっとした、人形だった。
短い手足に、胴の延長みたいなずんぐりと大きな頭。
顔にはつぶらな黒い瞳が二つ、少し上下位置がずれて付いていた。
鼻や口、耳は見た感じ付いて無い。
「ありがとネ、モッフォル。いいこいいこネ」
ヴァスカルカがモッフォルの頭を撫でると、全身で喜びを表現しているのだろう。モッフォルは手足をぴこぽこ上下させながら、「モッフォ、モッフォ」と鳴いた。
「この子が
「そうだヨ。モッフォルと言うのだヨ。ご挨拶だヨ、モッフォル」
モッフォルは言われた通り、関節の無さそうな身体を、くにゃりと人形みたいに折り曲げてお辞儀をしてくれた。
「初めましてモッフォル。僕はノアール・カーライル。よろしくね」
手を差し出してみると、モッフォルも指の無い手を差し出してきてくれた。
握手してみる。
すべすべのっぺりもふもふっとしていた。
この不思議な感触はどうなっているのだろう。
「モッフォルはネ、前世は《アイビースライム》だったのだヨ。ワタシの助手として色々調教した優秀なスライムだったのネ。でも寿命で一年前に死んでしまったの。その時までにワタシ、必至で転生魔術を作ってネ。なんとか間に合って大成功したのヨ」
僕はヴァスカルカの言葉の一つ一つを、今までの常識が覆ってしまう心持ちで真剣に聞いた。
スライムの調教。研究の助手。助手の寿命からの、転生。
凄すぎて、理解するのに時間がかかった。
「じゃあ転生魔術で生まれたモッフォルには、前世の能力があるんだ」
「そうなのだよ! モッフォルがアイビースライムの力を使った時にワタシ大喜びしてすっころんで頭ぶつけたくらいネ!
モッフォル、ワタシの横に座って、そこからこの本を手渡しでノアールに渡してみるのだヨ」
手渡し?
ヴァスカルカの横で僕とは対角線上。さらに〝ハの字〟配置のソファーだから、手が届くわけが無い。
なのに、モッフォルは、本を器用に掴んだ指無しの手を、にょいんと僕へ伸ばしてきたのだ。
「伸縮性のあるスライムの身体をネ、ワタシの自信作の身体で覆ってあるのだヨ。だからアイビースライムの特性とか能力はそのまま使えるのだヨ。他にも細かい所まで行き届いた掃除にネ、害虫駆除なんかも完璧に覚えていたのだヨ」
主人の讃辞の連続に、モッフォルは嬉しそうに、モッフォモッフォと鳴いていた。
いちいち全てに驚いていたら何も進まないと、僕は手元に届いた本に目を落とす。
古びた革の装丁の薄い本だった。
表紙はおろか、背表紙にも何の記載もない。
「六百年以上前に《竜の子》アーシュレイン・ハウリングが書いた、アーシュレインの書だヨ。あ! 忘れてたヨ。その本は複製も無い一点物なのネ、貴重すぎるのだヨ。だからネ、ワタシが持ってること誰にも言わないでネ。
竜の子が来たら見せようと思っててネ、ネルザールにもその本の存在は言ってないのだヨ」
僕は頷くなりすぐに本をめくる。
手が、目が、脳が、この本を早く読めと急かしたててくるかのような感覚だった。
汚い字はまるで殴り書きのようで、アーシュレインの知っている知識を急いで書きだしたみたいな雰囲気すら、生々しく伝わってくる。
まずはざっと目を通す。
薄い本は、最後まで埋まらず、途中で記述は終っていた。
注釈や感想も僅かだけの、ただ書き残しておいたほうが良いと彼が思った事柄だけを、箇条書きで記した本だった。
その中でも特に気になったのが以下の項目だ。
⇔
・子竜歴614年、聖竜の月、二つ満月の日に、竜の子三人が転生した子供が生まれる。
・ノアール、ルノルーシュ、そして俺アーシュレインの三人や。
・他の竜の子は死んだ。
・術者本人曰く、転生魔法による転生には、能力の継承があるそうや。
・ただし記憶の引き継ぎは無いらしい。ハンパや。
――そしてここからがらりと書き方が変わる。
・竜の子にはそれぞれ特殊能力が備わっとる。
――ここまではこの国の、少し訛りのある口語調の文だったのだけど。
『以降は
・俺、アーシュレイン・ハウリングには《竜の目》。
来世の俺へ。この能力の自覚がないなら、まずは〝目〟を集中的に鍛えてみろ。
・ノアール・ロードナイトには《反転魔法》。
世間では重力魔法か? などと騒がれとるが、そんな生優しいもんとちゃう。
反転を使った魔法はイメージ次第や。くれぐれも細心の注意を払って練習しとけよ。
・ルノルーシュ・エリュシオンには《空間魔法》。
絶対に使うな。少なくとも俺に会うまでは使うなよ。
◎こっからが重要や。この文字が読めてるお前は
ええか、絶対にこれだけは守ってくれよ。
『瑠乃、お前は精霊魔法、魔力の直接操作、念話、オーラ。それ以外使ったらあかん。わかったか。
上でも書いたけどな、空間魔法を思い出していても、使うな。絶対やぞ』
野明がこれを読んだなら瑠乃にそう伝えろ。
俺もこの記憶を得たらお前らを探しに旅立つことやろ。瑠乃を見つけ出したら伝えるつもりやが、おそらくお前らのほうが先に
当然瑠乃がこれを読んでもやぞ。
お前は悪ふざけが過ぎるからな。
これは冗談やない、絶対に守ってくれよ。
最後に。
俺に会うたらこの本を俺にも見せたってくれ。
ほな、また会おうや。
アーシュレイン・ハウリング
前世名、灰原
⇔
「何だよ……この内容……」
気が付いたら僕はソファーにもたれて溜め息を吐いていた。
〝日本語〟で書かれたページを開いたまま、本を膝の上に落し、脱力する。
「え、ノアールはこの最後のページ読めるのかネ?」
ヴァスカルカがそのページを指差し食い付いてくる。
「読めた……」
「なんだってエ-!? これ何語なのだヨ? こんな文字は見たことがないのだヨ!」
「何語……」
日本語と答えてもどこの国か問い詰められるだけだろうな。
たぶん違う星だとあやふやなことを言うよりも、
「おそらく竜の子だけの言語じゃないかな。竜言語? とでも呼べばいいかと」
「竜言語……、この文字の読み方教えて! いや、時間がないならせめてこのページの内容だけでも教えて欲しいのだヨ!」
さすがは研究者といったところなのだろうか。
未知の知識への探究心には凄まじいものがあった。
竜の子アーシュレインがわざわざ母国語で書き記した内容を、この世界の住人に伝えて良い物か迷ったのだけど、僕は教えることにした。
といっても、僕の項目と、僕ら三人がいずれ出会うというところだけだ。
ルノとアーシュレインに関しての記述には触れていない。
ヴァスカルカには、他言は無用と言い含め、訳もどこにも書かないことを約束してもらった。
内容は全て彼の頭の中だけに留めておいてもらおう。
※
ヴァスカルカの家を後にした僕は、山の緩やかな斜面を登っていた。
といっても、気が付けばここに居たという感じだ。
ヴァスカルカと別れてから今までずっと考え事をしながら歩いていたらしい。
「日本……か」
日本こそが、僕の母国だと今は確信できた。
たぶん前世ではなく、前々世なのだろうけど。
もう一度整理してみる。
今生の僕はノアール・カーライルだ。両親は亡くなり、今は伯父であるカーライル家の実子という扱いで生きている。
そしておそらく前世が、ノアール・ロードナイト。
絵本や物語りに出てくる世間では大人気の人物。
さらに前々世。アーシュレインの書にあった〝野明〟というのが、日本で生きていたころの僕の名前だ。
それにアーシュレインの日本人名である、灰原吠人。この読み、この字面。記憶の中にわずかな落ち着きを感じる。
その感覚は、ルノに告白されたときの、すとんと腑に落ちた感覚に似ていた。
「僕ら三人は、前世でも、前々世でも、知り合いだったんだろうな」
そんな三人が、
これを偶然という言葉なんかでは、到底片付けられない。
僕らが別の星で生きた前々世のこと。
僕らが英雄と言われた前世のこと。
僕らが出会うであろう今生のこと。
死季物語りについて。
聖竜とは、死竜とは、死者とは、そして竜の子とは。
他人とは違う精霊魔法に似た僕の魔法のこと。
竜の子としての、僕だけの特殊能力だという、反転魔法のこと。
ルノの空間魔法のこと。きっと剣を出したりドレスをしまっていた、あのいつも使っている便利魔法のことだろう。
その空間魔法を使うなと言う理由。
そしてそんな僕らを今現在取り巻くこの世界のこと。
この世界に生きる全ての魂の循環器、ユグドラシルのこと。
母の死の真相のこと。
「わからないことだらけだな」
もう日は傾いていて、山林の中は薄暗い。
そこに北からの冷たい風が吹き抜けた。
「でも、全て、繋がっている気がするんだ」
立ち止まって考えていた僕は、口に出す。
そしてまた、一歩を踏み出す。
乾いた落ち葉が軋み、踏んだ小枝がぱきりと折れる。
「絶対に全て解き明かしてやる」
~to be continued~
********************
るの「今回は今までになかったくらい、設定とか伏線とかの回収やら設置の回だったね」
のあ「うん。ルノがいないだけで話が進むすすむ」
るの「その言い方酷くないですか」
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