第26話

「あ、来た来た。遅いわよ〜。」

ショッピングセンターのなかにあるスポーツショップに、

八木先生の車で来た。

学校から30分くらいのところだ。

俺たちもたまに自転車でくる。1時間くらい話しながらかけて。

車だと早いな。

大人になってから都会に行きがちだった。


「こっちが、ジョー。こっちが枇杷島。」

「お世話になります。」

「お願いします!」

「こんにちは。お話はよく旦那から聞いてるよ。

NBA目指してる子がいるって!スポーツ栄養士してるマサミです。宜しくね。」

「・・・NBA」

「盛りすぎだよ八木っち!」

「いいだろ〜それくらいビックドリームがないとなぁ。」

「2人が合宿するって決めてから凄くはりきってて、家でもずっとバスケのこと考えてるのよ。」

「八木っちって、どれくらい強かったんですか?」

「まあ、プロにはなれなかったなあ。大学でリーグ出てたな。」

「すげーじゃん!」

「実業団断って教師なっちゃたのよ。同じくらい担当科目が好きだって言って。」

「八木先生の担当科目って、美術ですよね。」

「似合わねぇ・・・」

「おいこら、今日は誰がお前らの費用だすんだ?」


前より、プライベートなことも話せるようになった。

いろんな小さな悩みも、部活のささいなことも、

自分たちのストレスが最小限になって

バスケのことを考えれるように一生懸命になってくれる人が

応援してくれるひとがいる。

まだ始まってないけど、もう始まってる。


「あの、今日はありがとうございます。」

「なんだよ急に。」

「わざわざ、時間外だしそれにここまで面倒みてくれて、本当に。」

「おいおい、まだ合宿の1つも終わってないぞ。それにこの先何年も、何回もそれやってちゃお前疲れるぞ。もう二人三脚だと思え。

こういうのはな、1人じゃ目指せないんだ。

俺も、応援してもらった経験があるから、それを今お前たちに繋いでるんだ。

お前らも年取って、ビックドリーム目指してるやついたら、応援してやれ。

それまでは自分の夢を追いかけ続けろ。お前らまだ、ガキだぞ!

なんでもできるんだ。アメリカいって、スターにだってなれる。

かたや、その辺の趣味バスケで終わるのか、お前ら次第だ。

だから今はいいんだ。いっぱい全力なって追いかけろ。

その方が、楽しいだろ!」

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