第19話

「八木っち、俺らよりやる気になっちゃってんな。なんか、嬉しい。」

「そうだな、俺、あの先生の前苦手だったんだけどさ、なんか誤解してたかも。」

「なんかわかる〜、部活の時めっちゃぶっきらぼうだよな。アドバイスもあんまないし、じ〜っと見て、って。」

「でもあれ、きっと俺たちの事ちゃんと見てたって事だったんだな。

どういうプレーするのかもだけど、どういう性格なのか、とか・・・」

「ああ!だから似ている人の真似ってそういうことか!」

「バスケってさ、プレーだけじゃなくて、もっと色んな事に繋がってるんだな。

「だな!もっと、なんつーか人がでかくなれそうだな!」


俺は勘違いしていた。

先生がたかが部活で生徒を見てたんじゃなかった。

もっと人と向き合うことも教えようとしていたんだ。


1回目の1年の当時、俺は合宿も断って冬休み、ちょっとグレた時期があった。

その時、若気の至りで眉毛を剃った。

それを見た先生が、怒鳴った。何やってんだ。

当時は、眉毛くらいでと思ったが

今ならわかる。

その行動ひとつで、何に関心があって、なにを見ようとしているか感じ取れるからだ。

バスケともっと真剣に向き合ってれば、それこそ邪念だったかもしれない。


「俺、今度は結構真剣だからな。」

「今度ってなんだよ。ミニバスさぼったことまだ根に持ってんの?」

「ちげーよ、強くなって自信つけて、お前とずっと、バスケやんだよ。」

「当たり前だろ!!俺、お前と最強なるからな。」


ちょっと能天気なだけどそれが好きなところだし、

俺を這い上がらせてくれる天才だ。

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