第3話
「舞川、ちょっといいか。」
美術教科の八木先生が、顧問だった。
「枇杷島のことなんだがな。アイツはどうも、お前と立ってねぇと本調子でねぇんだ。アイツいつもあんなのか?」
昼休みにわざわざ呼び出されたから、てっきり怒鳴られるものだと思っていたが
意外と先生も生徒を見ている。
「部活以外じゃ、もっと楽しそうっすよ。練習とか1on1は、俺も楽しいんすけどね。」
「見てりゃ分かる。俺も若い時そうだったからなぁ、ゲームの楽しさってのが掴めないと、チームプレイはきついからな。」
「俺たち、ガキの頃から2人でバスケで遊んでたから、5人でプレイするとか、ゲームとかまだ分かんねぇのかかも。」
「つっても、お前ら2人は、1年坊主のクセして3年より上手いからなぁ。俺としては使いたいんだよ。舞川のアウトサイドと枇杷島のインサイドなんてのは、願っても無いゴールデンコンビだしな。お前はSGだと思ってるみたいだが、俺からしたらPGだぜ、こんな話、ガキにするかよ。」
「ならすんなよ、先生。俺いまいちシューティングもポイントも分かってねぇすもん。」
「俺は、お前と枇杷島と2人でベンチ入れた時から、今いる一軍全員ひっくり返してでも2人ねじ込むつもりだ。だがまだそのタイミングじゃねぇ。お前がポイントガーターとして自覚が持てて、枇杷島が機能できるチャンスが見えたときだ。ゲームしながら成長すりゃいい。だか、肝心なお前の気持ちも持ってこなくちゃいけない。楽しくなきゃ意味ないだろ?」
「俺が楽しくバスケしてなきゃ、枇杷島も楽しくねぇってんすか…」
「お前らをもっと楽しくバスケさせてやりてぇんだよ。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます