第3話

「舞川、ちょっといいか。」

美術教科の八木先生が、顧問だった。

「枇杷島のことなんだがな。アイツはどうも、お前と立ってねぇと本調子でねぇんだ。アイツいつもあんなのか?」

昼休みにわざわざ呼び出されたから、てっきり怒鳴られるものだと思っていたが

意外と先生も生徒を見ている。

「部活以外じゃ、もっと楽しそうっすよ。練習とか1on1は、俺も楽しいんすけどね。」

「見てりゃ分かる。俺も若い時そうだったからなぁ、ゲームの楽しさってのが掴めないと、チームプレイはきついからな。」

「俺たち、ガキの頃から2人でバスケで遊んでたから、5人でプレイするとか、ゲームとかまだ分かんねぇのかかも。」

「つっても、お前ら2人は、1年坊主のクセして3年より上手いからなぁ。俺としては使いたいんだよ。舞川のアウトサイドと枇杷島のインサイドなんてのは、願っても無いゴールデンコンビだしな。お前はSGだと思ってるみたいだが、俺からしたらPGだぜ、こんな話、ガキにするかよ。」

「ならすんなよ、先生。俺いまいちシューティングもポイントも分かってねぇすもん。」

「俺は、お前と枇杷島と2人でベンチ入れた時から、今いる一軍全員ひっくり返してでも2人ねじ込むつもりだ。だがまだそのタイミングじゃねぇ。お前がポイントガーターとして自覚が持てて、枇杷島が機能できるチャンスが見えたときだ。ゲームしながら成長すりゃいい。だか、肝心なお前の気持ちも持ってこなくちゃいけない。楽しくなきゃ意味ないだろ?」

「俺が楽しくバスケしてなきゃ、枇杷島も楽しくねぇってんすか…」

「お前らをもっと楽しくバスケさせてやりてぇんだよ。」

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