本当に飼えるの?試される薮の中
ひとまず医師に診てもらってホッと安心した
その動物病院の帰り道のこと
信号は赤だ
自転車のガゴの中はさぞガタゴトするだろう
だいじょうぶかな?
カゴの中の結んだ袋の口を緩めて覗いた
その時ピョンと飛び降りた子猫
どこ行ったー?
どうやら道路脇の薮の中へ逃げ込んだらしい
自転車を道の脇に止めてカバンを肩に担ぎ
木と木の隙間からくぐるように薮の中へ
まだ9月の初め 草や低木の勢いは盛んだ
低木の枝や蔦が絡まり広がる薮
地面も見えない まして子猫の姿は見えない
かすかに聞こえる鳴き声を頼りに進む
木の枝を踏み 蔦を手で避けながら
巨大蜘蛛に蜘蛛の巣、巨大な蜂とトカゲ
そんなもの気にならない
子猫を見つけなければ!
かすかに聞こえる鳴き声がしなくなった
絶対絶命だ
その広さは奥行き十メートル
幅は田んぼ一枚分は軽くある
腰まで浸かる薮の中をとにかく進んで捜す
天気が良く太陽がジリジリ照りつける
汗・蜘蛛の巣・土まみれだ
捜すこと二時間…もうだめ!見つけられない
諦めるか?ここまで連れてきたのは私だ
責任感が自分を責める
そんな気持ちで頭の中がいっぱいだった
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