クロウ救出作戦3



通路は開かれた。

不謹慎にも本を片手にワクワクしていた僕らを無邪気なチビうささんが前足をもって粛清してきた。

そんな分かりやすくボタンがあったんだね。

そ、そうだよ、謎解きに時間を掛けてる暇無いもんそうだもん。


そのうち異変に気づいた警備さんがやって来るかもしれないので先へと進もう。


ここからも先頭はチビうささん。

地下通路に罠みたいなものは設置されていないみたい。

ただ灯りがロウソクのみで薄気味悪い。

それに牢獄のように檻がいくつか整備されていた。中には誰も居ない、クロウさんがいたら泣くところだったよ。

こ、怖くないけどヴァルさんを抱きしめておこう。

ヴァルさんも僕の腕にガシッと掴まっている。

震えているのは寒いからだよね、僕もそう。



思ったよりも長めに続く通路を進み、ある扉の前で止まった。僅かな隙間から光が溢れ出ている。

他に道は無い。

おそらくここで終着点。

索敵で確認した6人も留まったまま。

こんな場所にクロウさんが居るとは思いたくない。頼むからいないで。

そう願いつつ扉に手を置く。



「いやぁっやめて!!」


いよいよ開けようとした時、扉の奥から懐かしい野太い声の悲鳴が聞こえた。

こ、この声は…。







扉を開けると目に入ったのは、大きなベッドに四肢を固定されたクロウさん。

その上に跨りうへへへと満面な笑みを浮かべたいつしかの帝国の姫さん。

二人を囲むようにうへへへへと笑い合いクロウさんの四肢を手で押さえる四人の女性さん達。


僕はそこで愕然とした。

その女性さん達の中につい最近知り合えた優しいお姉さんのロアナさんの姿が。

そんな…嘘、でしょ。


今の彼女にあの時のおっとりした微笑みはなく、よく体験した神様達と同じ獰猛な狩人の笑みをしていた。


あぁ、ロアナさんもそうなんだ。


この世界の女性は9対1の割合で変態な化物が蠢いている気がする。


悲しんでばかりもいられない助けなきゃ。

少し潤んでしまった瞳を擦って突然の来客にグリンと首を向ける5人と対峙する。



クロウさんは今も尚、いやぁやめてぇと嘆いていた。



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