山は危険でモフモフ



何か神様が操作している気さえする運命に逆らって僕は帝都を最短距離で目指している。

これだけ高い山登りなんてあっちの世界以来。

ただ危険度は異世界側に軍配が上がる。鬱蒼と覆う森林がより危なく見えてくる。


索敵魔法で調べた限りでは登れば登るほど魔物の数も強さも上昇しているみたい。


人外とドラゴンさんとうささんっていう最強パーティでも油断は禁物。

気を引き締めて行こうと思った矢先、新たな出会い。


頭の上のチビうささんがクゥークゥーと鳴けば、辺りからガサゴソと茂みや木の枝が揺れ動く。

そして、ひょっこりと現れたのはチビうささんと同族のうさぎさんに小動物ズ。

なんとにゃんこさんまで居る!


確かにこの山脈は危険地帯過ぎる。

たまらず丸1日もふもふという欲望に溺れていました。

ここは危険、山脈を越えなきゃという思いをスリスリ攻撃で籠絡してきちゃう。



もう一日延長してようやく重くなった腰に鞭を打つ。

流石に本格的な山道まで来ると、付いてきていた小動物さん達も危なくて行けないようだ。

残念だけど、本当に残念だけどここでお別れ。

別れを惜しんでしっかりと堪能して僕達は再び山脈突破を目指す。


ここからは可愛いものは無し。

ロックリザードが出たり、ワイバーンが出たり、新たにデススパイダーという蜘蛛型の魔物が出たりとじゃんじゃん湧いてくる。

正直、これぐらいなら死ぬ心配は無いけど作業みたいに単調で疲れてしまう。



ふいーと息を吐きつつ着々と進める。

けれど、一旦ストップ。

この山脈の中で最も高い位置にある場所に非常に気になる存在を感じる。

ちらりと終始自信満々なヴァルさんを見る。

あ、冷や汗が凄い。



せっかく、ミストリア王国で解決したと思ったんだけどなぁ…。


「ヴァルさん、もしかして知り合いがいるの?」


「……うむ、とても知り合いな気がするのである。」


うーん、もうあっちもこっちの存在に気付いているだろう。

まだ姿は伺えないのに威圧がびしびしと伝わってくるもの。

でも、ヴァルさんの事を思えば遠回りをするべきか。



「コータよ、構わない。そのまま進むのである。吾輩はもう怖いものなどない、大丈夫である!」



自信に満ちたヴァルさんを信じよう。

僕達は威圧を放つ存在へと近づいて行く。



歩くこと数十分、鼻息の荒い真っ白色の巨大なドラゴンさんが待機しておりました。



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