ミストリアのギルド事情



ミストリアの王都に訪れて一晩が過ぎた。

昨日は到着すぐに気分が悪くなって観光する余裕も無かった。

事前に事典で調べておいた宿屋に急いで向かった。

今朝のご飯と昨夜の晩御飯でどうしてデザートがおすすめか分かった。

毎食にデザートが添えられているからだ。

スロウハートではどちらかと言えば贅沢品で味わうのに少し高くついていた。

でも、ここではお手軽なお値段。

さらには異世界で味わえると思えなかったケーキやプリンといった懐かしき故郷の味。


事典では神様が自慢げに私が神託で広めたんですよーと語っていた。

これには神様に感謝。だからって教会へ行くよう催促しないでほしい。



行けたら行くと胸に秘め、この国の冒険ギルドへ行く。生活の為に働かないとね、余裕はあるけど将来はヴァルさん達と住むお家も買いたい。

頑張って稼ぎます。



到着して思ったことがある。

スロウハートに比べてギルドが小規模だ。あのサイデルの街よりも少し小さい。ここって中心地だよね、どうしてだろう?



疑問に思いつつも中に入ると、冒険者がやはり少ない。外の喧騒な雰囲気より落ち着いてて僕としては有難いです。

それでも、うさぎと小さな蜥蜴を頭に乗せた子供ってのは目につくようで結構視線を浴びてしまった。


も、もう慣れたもんね。

少し視線を落として依頼の貼られた掲示板へ。



掲示板にある依頼はどれも護衛ばかりと僕の苦手なものばかり。討伐系が高難易度以外全くない。

とりあえず、この山岳地帯の調査というのを選ぶ。

上位冒険者指定だけど僕は条件に当てはまるから問題ない。


早速、暇そうにボーっとしている受付のお姉さんに受理してもらおう。




「あ、あのーここれをお願いしみゃ…ます。」


噛み噛みで顔が熱い。せ、成長したもん。

微笑ましそうに笑うお姉さんに依頼の紙を渡す。


「ふふ、はいこちらですね…ってこれ高難度依頼ですよ。僕、間違えて持って来られたんですか?」


「い、いえ、それで間違いな無いです。僕、一応Bクラスの冒険者でし…。」


「ふふ、またまたーえっ!?」


僕は絞り出すようにギルドカードを提示する。

すると、お姉さんはおっちょこちょいな弟を見るような目からしばらく会わないうちに成長して一瞬弟が誰だか分からなかったみたいな驚きの表情へと変わっていた。


受け渡されたカードを僕と交互に何度も見比べて、大きく深呼吸した後に平静を取り戻す。

もっとカードに見合うだけのダンディな大人になりたいな。



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