吾輩は最強種である



チビうささんとのウキウキな探索を始めて4日ほど経過した。


キャンプセットのお陰で安全に睡眠も出来て体調はバッチリ。

でも、やっぱりキャンプの領域外では魔物同士の争いがあるのか血痕をよく見かける。

魔物の気配は常に警戒しているつもりだけど、それでも搔い潜ってくる魔物がいるんだろう。

気をつけよう。




出てくる魔物もワイバーンやオーガにトロールといった上位ランクばかりだ。

でも、頭の上のチビうささんはしがみつきながらアトラクション感覚で僕の動きを楽しんでいる。

意外に肝が据わっている。



また新しい果実も発見した。

ベリーという果実。

見た目も味も苺。

間違いなく神様は地球を参考にしている。

百科事典にも『地球の食べ物は全て美味しいんですもん。しょうがないですよー』と表記されている。

ふう、まあ神様だから仕方がない。

最近はそう思うようになりました。




そして、随分と拓けた場所に出た。

ここどこだろうと辺りを見渡し、大きな存在を見つける。


いや、ここに来るまでにひしひしと存在感が伝わってたよ。

でも、チビうささんが早よ行け早よ行けとタシタシと急かすんだもん。



うわーでかいなぁ。

ファンタジーの王道のドラゴンさんだ。



刺激しないように恐る恐る近づいてみる。

あちらさんもとっくの昔に気づいていたのでゆっくりと瞼を開き、伏せていた顔を上げる。



見下ろされてるし、威圧をバンバン放っているけど人じゃないなら大丈夫です。

チビうささんは大丈夫かな?と思ったけどクゥークゥーと楽しげだ。

これが怖いもの知らずってことかな。



「ほう、我を見ても一切恐れた様子がない。随分と小さき勇者達よのう。」


うわ、喋れるんだ。

でも、やっぱりドラゴンさんだからか、冷や汗をかいてない。


「こんにちわ、えーとドラゴンさんですか?」


「ふはは、我に挨拶か。面白い。そうだ、我は泣く子も黙るこの世界の頂点、最強種である。ドラゴンである!ドンッ!!」


えへんと大きな鼻をひくひくさせ、胸を張るドラゴンさん。

なんか和んじゃう。



せっかくだし、仲良くなれるといいな。


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