やせいの女帝があらわれた
王城から脱出して3日ほど経過した。
ずっと籠っていたので、宿屋の従業員に心配されてしまった。
今更ながら国王さん達を無視して逃げ出したことに震える。
もしかしたら、不敬罪的な事になってて捜索されているかも。
どうしよう、このまま引きこもっていようかな。
でも、サイデルの街にも帰りたいし、隠れ続けるのも限界が来るかもしれない。
思いきって外に出てみよう。王都から出るために、ギルドとかで様子を伺ってみよう。
月見亭で食事を済まし出発だ。サイデルにないお肉が美味しかった。ビックボアという魔物のお肉。これは帰りに狩っていこう。
弁当を持たせてくれたうさぎの憩い亭のおばさんへのお土産に。
百科事典で確認しつつ、ギルドに向かう。
サイデルの冒険者ギルドも大きいと思ったけど、ここも大きいなぁ。その分、人も多いんだろうなぁ。
次々に出てくる溜息が止められない。
ギルドに入る。
うっ、視線が集まる。気にしない気にしない。
こっそりと依頼に僕の捜索が無いか確認だ。
「だーれだ?」
突然、視界が真っ暗に。
な、なに何?にゃに?
「だ○☆!?\♪☆*○!」
「ああ、ごめんね!そんなに慌てると思わなくて、ごめんね。ちょちょっと大丈夫!」
どうやら両目を手で塞がれていたみたいだ。
少し狼狽するところだった。
後ろを振り返り前髪の隙間から確認する。
「だ、だれ‥えっ!ララお姉ちゃんがどうしてここに!?」
「そうです、ララお姉ちゃんですよ。寂しくて会いに来ちゃった。てへ」
てへじゃないよ。
ララお姉ちゃんは受付さんなはず。
もしかして、仕事サボって来たの‥
「ララお姉ちゃんはう、受付嬢じゃ‥。し仕事サボったの?」
「違いますよ違いますよ、だからそんな哀しそうな顔はやめてください。確かに私は受付嬢でもありますがもう一つの顔があります。ふふふ‥それは!」
「しょ、しょれは?」
両手を掴まないで。
「ふふそれは、冒険者としての顔です!
なんと誰もが憧れるAクラス冒険者ですよ。驚きましたか?惚れ直しましたか?」
ララお姉ちゃんは腰に手を当て、フンスと胸を張って威張る。
「す、すごいですね。でも、なんでここに居るんですか?」
「それは貴方に会いに。ついでに、王都までの護衛依頼をしたので。」
護衛依頼?
もしかして、僕が断ったから代わりにララお姉ちゃんが受けてくれたのかな。
ララお姉ちゃんは優しいなぁ。
「ところでコータくんはギルドに達成報告ですか?」
あ、そうだ。達成報告もしないといけなかった。
でも、ギルドにまで捜索の息がかかってたらどうしよう。
あわあわする僕を心配そうに見つめるララお姉ちゃん。
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