明日やろうは馬鹿野郎



いよいよ街に到着。

検問の列に並んで、駐在する門番の質疑応答が済めば通過できる。

ただそれだけ。それだけのことなのに、僕には非常に難関だ。


列にはざっと十数人並んでいる。


ゴクリと喉を鳴らし、覚悟を決める。

一歩また一歩と足を進める。



着いた先は、ごつごつと岩ばかりの場所。足場が危険なため人気がない。


今日は一度、人と関わったんだし無理することはない。

異世界来たばかりだし。

もう夕方でお腹空いてるし。

走り過ぎて足ガクガクだと思うし。

なんか痛い気がするもん。


そうだ、明日にしよう。

明日の自分はきっと大丈夫。


夕飯を済まし、今日を終える。




次の日、また検問付近で足を止める。

なんだか今日は昨日に比べて騒がしい。

人も多い。


今日はやめておこう。この騒ぎが落ち着くまで、ね?



そして、次の日また次の日。気づけばあれから2週間経っていた。

そろそろ神様から頂いた食料が尽きそう。

食べれるのは、モウウルフの肉ぐらいしかない。この岩場にちょこちょこ出現したロックリザードは堅くて食べられないし。


もう限界が近づいている。


いよいよ覚悟を決める時がきた。

1週間ぐらいまで続いていた謎騒ぎも落ち着いている。

並んでいる人も今は3人くらいだ。


いける、いくんだ‥


フードを深めに被り人の視線になるべく触れないようにする。


震える両脚を奮い立たせ列に並ぶ。

まるで、処刑台へと進む囚人の気分だ。


1人、また1人と門を通過していく。


今は目の前の人が門番と応答中。

冷や汗が止まらない。

今、相当顔が青くなっていることだろう。



いよいよ僕の番がやってきた。






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