第19話 俺、ようやく大事なものゲット
「何で悩むんだよ?何か問題あるのか、女神サマ?」
俺は我慢できずに女神に問いかけていた。
それまで順調にでれでれしていたのが、俺のところで急に止まっただと!
解せん、解せんぞっ、女神!
おっぱいの揺れも気のせいか、止まってるぞ。
ああ、これは腕組んだせいか。
たまには、おっぱい以外にも注目する必要はあるな、うん。
「うーん、何と言いますか……」
「ノリ悪いなー。もー、言っちゃおうっ、サクッと。パーソナリティから決めちゃってっ!」
「実はですね、そのパーソナリティなんですが……」
「はい?」
「あなたのパーソナリティ、わからないんです」
「はあ?」
「あなたのパーソナリティ、わからないんです」
「は?」
「ですから、あなたのパーソナリティ、わからない、って言ってます!」
「だから、それ、何でだよっ! 理由を言え、理由を!」
本当に俺だけ問題発生多いな。
何かに呪われてんのか?
まさか、目の前のこのおっぱいか?
……なら避けようのない運命ってやつだな。
「あなたが8人に分かれるとき、他のパーソナリティが分離した残りが、あなたなんです」
「残り?」
「はい、残り物、残り汁、出がらし、絞りかす、廃棄物、カスカスカス、こいつ人間のクズ、そんなところですね」
「……」
容赦ないなー、女神っ。
俺は何も悪くないはずのに、何でか生きてちゃダメみたいに思えてくるじゃねえか!
負けてたまるかよっ!
「『ザン=パン』にしますか?」
「は?」
「おっと、いきなりでしたか、あなたのお名前です。『ザン=パン』。なんだか格好良くないですか、これっ」
いいこと思いついた、って顔して、目をキラキラさせながら、そんな台詞を言うなー!
「却下だ!」
「えー、だって闇っぽい『ザン』も光ぽい『パン』も格好いいじゃないですか。闇と光を合わせたら、きっと最強ですよっ!」
「だから、そこを、合わせるんじゃない! まぜるな危険だっ」
街で飯食ってるだけで、「あー『ザン=パン』が食ってるー」ってなるんだぞ。一歩間違えて「が」が消えたら、「あー『ザン=パン』食ってるー」だぞ。
俺、とっても貧しそうじゃねえかよ!
「もー、わがままですねえ。じゃあもう能力から決めちゃいましょう。『ヒモ』さんで!」
「きゃ、却下だ!」
「よう、ヒモっち、調子はどうだい? ね、ほら、なんだか楽しそうじゃないですか」
「良さげに聞こえるようなアピールしようがプレゼンしようが、ダメなもんはダメだ! 俺にそのイメージ戦略は通用しねえぞ!」
「うーん、こっちのほうが愛情あるんですかね? 『ヌーノ』ってどうです? 可愛くないですか?」
「却下! そういうのは求めてないんだよ。それに、もう能力でも何でもないじゃねえかよ」
「私がだっこして一緒のお布団で寝たいタイプのぬいぐるみなのになぁ、きっと」
くそう、今度は色仕掛けか。
このおっぱいと一緒の布団か、ぬいぐるみの俺……動けねえじゃねえかよ!
揉めないおっぱいはタダのおっぱいだぞ、コノヤロウ。
「きゃーっか!」
「私、やる気無くしました」
うおーい、女神、素直に責任放棄すんな!
まあ、でも、俺のせいもあるのか?
いや、これ、どう考えても女神のせいだよな。
どうすっかな……。
「もう『サイキョウ』でいいじゃねえかよ、面倒くせえ」
こらっ、魔剣のテュニス!
確かに、俺のこの、名前の決まらんグダグダにイライラするのはわかるが、横から余計なことを言うんじゃ無いっ!
「はっ、『サイキョウ』……」
うん? 何だ女神……。
またキラキラを取り戻しやがって、嫌な予感しかしねえぞ!
「『キョウ』はどうでしょう?」
これだよ……。
「お前、もう既にそこに一人いるの忘れてないか!」
「……チャリ」
おいおいおいおい、刃物をこっちに向けるな。亡き者にしようとすんな。
口にだしてるだろ、俺はお前の味方だあああ、魔殺士キョウ。
「そうでした。これは私としたことが、うっかりさん」
よかった、キョウは暗器を収めてくれたぜ。
かなり反省しろよ!女神。
「でも、そう考えますと、『サイ』だと『セイ』さんと間違っちゃいそうですね」
「まあ……そうだな」
実は自分で考えて、ちょっと良いかな、って思ってたんだよな、それ。
まあ、俺の尊敬する魔法のセイと被ってしまうのは本望ではない。
2人でサイ=セイとかコンビ狙ってたことは、忘れよう。
ああ、忘れるさ、涙を飲んでな。
『レイ』くらいに離れてればよかったなー、畜生。
そして、まいったな、紐も布も最強もダメとなると、もうネタがないぞ。
こういうときは……おっぱいだな。
ここぞとばかりに女神のおっぱいを見てみる俺。
うむ、癒される。いろいろ忘れさせてくれる一品だよな、全く。
しかし、やっぱり、気になる。
そのおっぱいの上に見えるやつの顔が、まだ戦意を失ってなさそうなんだ。
「女神……?」
「『イッキ』ってどうですか?」
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